立川志の輔独演会
2/25に、横浜にぎわい座の立川志の輔独演会に行きました。
志の輔は落語家の集客力としては、今や5本の指に入ろうかと言われる人気者です。TVの人気番組の司会をしていることと、とに角この人の噺が面白いことが、人気の源泉です。
当日は新作と古典2席演じましたが、一席目のマクラは今話題のフジテレビとライブドアとの株買占め騒動と、西武の堤義明の疑惑を、日本人の金持ち嫌いということに結び付けて、自身の新作であるマツキヨをモデルにした本題”買い物ぶぎ”へ入っていく呼吸が見事です。
落語家の経歴には2つのタイプがり、多数派が若い時から落語が好きで好きで、大学のオチ研を出ると直ぐに憧れの師匠に入門する人達です。この他に一旦別の職業に就いてから、落語家になる少数派の人がいるのですが、志の輔は後者で、彼は広告代理店などサラリーマンを経験して30歳近くになって落語家になっています。この人のマクラの振り方や新作には、一般社会を経て形成されて感覚が、うまく生きています。
中入り後はお馴染み“妾馬”でしたが、これも能の魅力を語りながら、日本人文化論を語りつつ、すっと江戸の長屋の世界に入って行きました。“妾馬”という噺は、一見滑稽噺にみえますが、実は親子、兄妹の愛情がテーマの人情噺だと思います。志の輔の“妾馬”はオリジナルからは相当デフォルメされているのですが、噺の骨格はちゃんと残されています。この辺のアンバイが絶妙です。
志の輔の高座の魅力は、顧客満足度が高いことが上げられます。以前の彼の独演会で、風邪による高熱のためか、デキが今一つだったのですが、予定終了時間を15分もオーバーした熱演で、お客さんは完全に満足していました。こうしたサービス精神が、志の輔の魅力です。
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