中国は汚職を無くせるか
中国の第10期全人代が、3月14日閉幕しました。
今回の大会は、胡錦濤が党・国家・軍の長となり全ての権力を掌握したこと、台湾の独立を阻止するための反国家分裂法を決議したことが、最大の注目点となりました。
この陰に隠れましたが、もう一つ大事なテーマとして、中国国内の汚職・腐敗の一掃がありました。
この件での決議には、3割近い反対・棄権票が出たのですが、これは中国の政治体制の中では異例のことです、それだけ、この問題が中国にとっていかにデリケートな問題かが、窺えます。
結論的に云えば現在の中国で、汚職・腐敗の一掃など出来ません。
2年前の中国旅行で、若い夫婦が幼い子供を3人連れて歩いているのを見かけました。不思議に思って連れの中国人に聞いて貰ったら、お金さえ払えば二人でも三人でも子供は生めるのだそうです。文字通り地獄の沙汰も金次第の社会なのです。この先にあるのは、金のためなら何でもする、拝金主義の社会でしょう。
その時、私は周りにいた中国人に、現在の一人っ子政策の法律はどうなっているかを尋ねたのですが、誰も知らないとの答えでした。頻繁に法律がかわるので分からないのだそうです。
不便じゃないかと聞くと、欧米や日本は法治国家だけど、中国は人治国家だからとの答えが返ってきました。つまり一応法律はあるが、その運営はかなり弾力的に、言い換えれば担当者のさじ加減によって柔軟に運用されているということですね。
中国に進出した日本企業で、この柔軟な税制(わけの分からない協賛金、寄付金などを含む)によって苦しんでいる例が多いのです。
人冶国家に拝金主義の風潮、中国の汚職も腐敗もこれからも増え続くてゆくと思われます。
本気で一掃しようと思うなら、国のシステムを根本的に変える以外ありません。しかしそれは、現政権を否定することになりますから、今の中国政府がやるはずがありません。しかし一方、汚職・腐敗が広がれば広がるほど、繁栄から取り残された農民など内陸に住む人々の不満が高まるのは必至です。
政治は社会主義志向、経済は資本主義に向かうという中国の危うい綱渡りは、案外この辺から崩れていく可能性があります。
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