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« 尼崎・列車脱線事故 | トップページ | 脱線事故は、JR西日本の企業犯罪 »

2005/04/27

列車脱線事故の続報

jiko
最近気になる耳障りな言葉に“あってはならぬ事”があります。不祥事や事故があると、“あってはならぬ事”が枕ことばのように使われて、不快な思いをしています。
尼崎・列車脱線事故は、ついに死者90名を越え、死傷者およそ550名という、日本の鉄道史上最悪の惨事となりました。この事故のJR西日本の会見でも、“あってはならぬ事”が連発されています。
では、本当に想像もつかないことが起きたのでしょうか。

未だ事故原因は調査中ですが、現在のところ現場の急カーブを、制限時速70kmをはるかに越えた100km以上のスピードで進入したことが、原因の一つと考えられています。
この現場では、列車のスピードが134kmを越えると脱線する可能性があるのだそうで、安全を見て70kmという制限が設定されたようです。

ではなぜ運転手がこれほど速度を上げたかというと、列車に1分30秒の遅れが出ていて、しかも次の尼崎駅で接続列車があったこと、尼崎駅では1秒単位で遅れを会社に報告するよう義務付けられていたこと、そして何よりこの列車の運転手が過去に3回も処分を受けており、4回目の処分は避けたいという気持ちが強く働いたことによると推定されます。

では、なぜこの列車に遅れが出たかというと、前の伊丹駅で列車がオーバーランして、いったんバックさせて発車したからです。
伊丹駅のオーバーランも当初は8mとされていましたが、実際は40mであり、運転手と車掌が口裏を合わせてウソの報告をしていたことが分かりました。
列車の運行規則では原則としてバックは認められていない、ホームの停車位置の調整のみ、車掌の判断でバックができるのだそうです。そうしてみると、もし正直に40mと報告していればバックができず、伊丹駅は通過となって、運転手には相当重い処分が下された筈です。
それに後であんな事故が起きなければ、バレることは無い、だからウソをついたのです。

こうして考えると、この事故の直接原因と考えられるスピードの出し過ぎは、実に分かり易い。
自らのミスで起きた時間遅れを、必死で取り戻そうとスピードを上げて運転していたら、現場にさしかかり、制限速度をはるかに越えていたことに気付き、あわてて急ブレーキを踏んだか、あるいは減速できずにそのまま猛スピードで突っ込んだか、そして他の要因とも重なって脱線したのでしょう。
こう筋道をたてて考えてくると、会社側の“あってはならぬ事”どころか、十分あり得る、むしろサラリーマン経験者なら身につまされる状況であることが分かります。

運転手の不注意や本人の資質にスポットが当てられていますが、人間は必ずミスをします。
それでなくても、強い責任感とプレッシャーの中で乗務している列車の運転手に、遅れを1秒単位で報告させ、ミスすれば減給などの罰則を与えた、JR西日本の経営方針にこそメスを入れる必要があります。
毎日の通勤・通学で命を預けている列車の運転手さんたちの置かれている環境に、私たちももっと関心を持つべきでしょう。

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コメント

貴兄のBlogマイリストに加えて楽しく読ませて頂いております。教えて頂きたいことあるのですが、Blog記事に報道されている写真はどの様にして画面に挿入されているのか、テレビ画面をデジカメで撮ってやられるのか、カラー写真をスキャンされているのか、記事と関係なくて申し訳ないですが、差支えなければ、教えて下さい。

TBありがとうございます。
確かに社会に出て働いている以上致し方がない事情はあるでしょう。
(私は学生ですがその辺はある程度わかるつもりです)
普段目にしない、水面下の部分にも注意する必要があるんでしょうね。
本当に大惨事になりました。

犠牲になられた方々のご冥福を心からお祈り致します。

画像の取り入れ方というご質問ですが、検索サイト(gooが多い)で、キーワードを打ち込んで画像検索し、最も適当と思われる画像を選んでダウンロードし、ブログに取り込んでいます。
著作権を侵害しないように、注意はしていますが、場合によってはご迷惑を掛けているかも知れません。

home-9 さん、「矮人観場」からのトラックバックありがとうございます。

この記事でおっしゃっている通り、JR運転士の置かれている環境に関心を持たねばならないと思います。

メジャーリーグでは監督のことをマネージャーと言いますが、選手が活躍できる環境を整え、モチベーションを高めることができれば名マネージャーと呼ばれているようです。日本企業のマネージャー=管理職も見習うべきところがあるはずです。

TBどうもありがとうございます。
「あってはならぬこと」私も全く同感です。
本当は、組織というシステムの問題なのに
そこから目を背けて、
個人のモラルに問題をなすりつけている
気がして、嫌な気分になります。

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