桂文朝、そして高田渡
訃報です。18日に落語家の桂文朝が亡くなりました。ひいきの噺家を亡くすと、友達を失ったような寂しさに襲われます。古今亭志ん朝の時は、1週間くらい落ち込んでしまいました。
文朝は、TVのお笑い番組に出るような落語家ではないので、一般にはお馴染みが無いかも知れませんが、飄々とした芸風の中に、江戸落語らしい気風の良さがあり、好きな芸人でした。今年始めごろには、ちょっとやせ方が気にはなりましたが、元気で高座をつとめていましたので、ショックを受けています。
文朝が噺家になった1952年は、私が親に連れられて初めて寄席に行った年です。文朝の芸暦と私の寄席暦とは一緒です。文朝は10歳でプロの落語家になった、天才落語少年でした。前座名は、山遊亭タア坊でした。小学生のプロ落語家は、多分空前絶後でしょう。たれ目で、少し甲高い声で、折り目正しく古典一筋でした。
その前には、フォークソングの高田渡が亡くなっています。こちらもつい2ヶ月前くらいに、NHK衛星放送で歌っていましたので、驚いています。メジャーな存在ではなかったのですが、一部に熱烈なファンを持っていました。
昨年彼のプライベートな生活を追った記録映画「タカダワタル的」が公開されたばかりです。酒が好きで。演奏中に寝てしまったことがあるそうです。
代表曲は「自衛隊に入ろう」。1968年の曲ですから、ご存知無い方も多いと思いますので、サビ部分の歌詞を紹介します。
“自衛隊に入ろう(繰り返し) 自衛隊に入れば この世は天国 男の中の男はみんな 自衛隊に入って華と散る”
そそっかしい国会議員が、自衛隊募集の歌として推薦したという、笑い話が残されています。
発売当時は冗談で済みましたが、昨今の世相では笑ってられなくなりました。時代の流れを感じますね。
お二人とも、まだまだお若いのに・・・、ご冥福を祈ります。
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おかげで文朝師の訃報を知りました。お書きになっているように,本当に折り目正しい方でした。余り生で聞いたことがなかったので,もう一度聴かせていただきたいと思っていたのですが・・・,残念です。
「寄席に咲いた一輪の白梅」
NHKの日曜の昼下がりの番組で,「花の落語家五人集」として出演されていたころの文朝師の自己紹介の前振りです。そのとき座布団配りをしていたのが,確か小朝師だったのでは。
あちらの世界でひょうひょうとした小南師と再会れているんでしょうか。
小南「なんや,お前。早過ぎるやないか。」
文朝「はあ。師匠に恋焦がれまして。」
合掌。
投稿: なも | 2005/04/19 04:02
本当に、”あちらの世界”の寄席の方が、顔ぶれが良くなったかも知れません。
投稿: home-9 | 2005/04/19 09:59