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2005/04/22

中国経済の驚異と脅威

反日デモ騒ぎに隠れてしまったのですが、この間に、中国を巡る大事な国際ニュースが2件ありました。一つはEU非公式外相会議に提出された中国についての報告書であり、もう一つはブッシュ大統領と温家宝首相の米中首脳会談です。この件は、また日を改めて取り上げます。

EUの報告書については、とりわけ新しい内容があったわけではありませんが、EU各国が今の中国をどう見ているかが分かります。私も要旨を解説した記事しか見ていませんが、これからの中国の、光と影を分析しています。

先ず光の部分ですが、2050年には国民一人当たりの所得水準が、先進国並みになる可能性があり、将来どのように発展するか分からないと述べています。

中国の人口は日本の10倍ですから、日本のすぐ隣に日本があと10個出来ることになり、そうしたら一体どうなりますか。政治・経済・文化・軍事あらゆる面で、大変なキョーイですよね。しかしこれは完全な空想物語ではないのです。

考えてみますと、第二次大戦後の日本の発展にとり、中国が昔のような国だったからよかったと言えます。それが日本の10倍の経済力を持った国が、日本と競合関係になれば、話はガラッと変わってきます。

一方で報告書は将来、中国に天然資源の枯渇、環境汚染、政治的混乱--などの問題が起きる危険性も指摘しています。

中国の銀行の不良債権比率は、およそ50%と推定されています。現在のように高度成長が続いている内は良いのですが、いったん歯車が狂いだすと、直ちに信用不安が噴き出します。

1978年以来の改革開放路線で、中国はキョーイ的な発展を遂げましたが、一方で都市と農村、沿海部と内陸部、国営企業と私企業の格差が拡がり、貧富の差は拡大する一方です。

今現在中国政府は、強権力でこうした不満を抑え込んでいますが、国民の不満が爆発したときには、ソ連崩壊の二の前にならないとは限りません。

この他、北朝鮮の金正日政情が崩壊した場合は、難民が一挙に中国に押し寄せることになり、これも又中国の政治的経済的混乱を招くと危惧しています。その時は、北朝鮮難民は日本にも押し寄せてくるわけで、こっちも大変な事にはなりますが。

報告書では、日本に対する問題にも触れていて、中国の成長は日本の不況脱出のカギと指摘する一方で、教科書・靖国問題での日中の対立を紹介していて、領土問題などで悪化する日韓関係が「中韓友好を促進する可能性がある」としています。

確かに我が国としては、注意が必要ですね。

また報告書は実質年間600億ドル(約6兆5000億円)とされる中国の軍事予算について「実際はこれをはるかに上回る」とする専門家の見方を紹介し、「中国は無視できない軍事国家になりつつある」と分析しています。

その一方で、中国国内の人権問題が改善されればEUから武器輸出ができるとの、したたかな計算もしています。中国は台湾との緊張関係に備えて軍備を増強したい、EUは武器を売り込みたいという両者の思惑が垣間見えてきます。

つまり、この先中国がこのまま順調に経済発展しても、つまずいて国内に大混乱が起きるとしても、いずれも日本への影響は甚大です。

アメリカがくしゃみすると、日本は風邪をひきますが、中国が風邪をひくと、日本は肺炎になりかねません。

日本人も、反日デモにカッカとなってばかりいないで、こうした国際的な動きに十分注意を払う必要があります。

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コメント

「鎮静化に向かう中国反日デモ」に対するコメントとしても書かせて頂きましたが、現在の中国は政治的には共産主義を踏襲しながら経済の面では市場主義という開放経済体制を採っております。
この二つは根本的に相容れないものであり、現在の体制が未来永劫に続くとはとても思えません。
特にネット人口が増加し、海外からの生の情報が直接受け取れるようになると、かつてのような中央政府による情報統制は無理になると考えるのが自然でしょう。

この体制崩壊が旧ソ連のように国家の分裂としいことまで進むのかどうか定かではありませんが、何れにしろグローバル経済、政治に対してかなりのインパクトがあろうかと思います。

このような体制変化による影響と共に真剣に考える必要があるのが巨大な人口を抱えた中国、及び中国を凌ぐ勢いで人口が今も急増し続けているインドの経済発展に伴うエネルギー消費の急激な拡大でしょう。
今、全世界を震撼させているオイル価格の上昇も中国の経済発展に伴うオイル消費の拡大が原因のかなりの部分を占めていると思います。
このような消費効率が必ずしも高いとは言えない状態での消費拡大及びその結果としてもたらされる自然破壊が地球規模での天変地異などに結びつかないことを祈ります。

投稿: タケチャンマン | 2005/04/22 14:57

タケチャンマン様
毎度真摯なコメントをお送り頂き、感謝致します。ご意見は、記事を書く際の参考にしています。
中国の社会主義的政治体制は、中国国内に対しては抑圧と圧制を強いています。しかし70を越える多民族国家である中国を、その強い力で束ねているのも事実です。
その強権力によって、日本は寧ろ恩恵に浴してきた面の方が強いでしょう。
中国の政治体制の崩壊と国家の分裂の可能性はあると思いますが、それは我が国にとっては、極めて大きなリスクになるでしょう。
21世紀の日本にとって、対中国問題は、最大の政治課題です。

投稿: home-9 | 2005/04/22 20:58

旧ソ連もその昔、中央政府の強い力によって多民族国家を束ねてきました。
その力が時の流れと共に解き放たれソ連邦は崩壊し国家が分裂しました。
分裂後、ロシア、グルジアなどは直ちに近代的な民主国家に生まれ変わりましたが、ウクライナ、ギルギスなどはしばらく時間をおいた後に近代的な国家に生まれ変わり、ベラルーシなどはいまだに旧来の強権政府が主権を維持しております。

このような旧ソ連の国家体制の推移が西欧や東欧の各国にどのような影響を与えたのか考えてみると、仮に中国が崩壊、分裂したとしても日本に対して致命的な影響はないのではと思っております。

勿論、現体制下の中国は日本にとって大きな市場であり、更に低廉なコストで製品を生産する工場でもあります。
その意味では現在の中国について日本は多大な恩恵に浴していると言って過言ではありませんが、仮に体制が変わったとしても短期的にはともかく中長期的には同様のメリットを享受できるのではないでしょうか。

投稿: タケチャンマン | 2005/04/23 14:31

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