金を返せば済むことか「道警の公金横領」のその後
前回のブログで、道立羽幌病院の医師の記事を書きましたが、昨日のニュースで久々に道警による裏金問題が取り上げられ、道監査委員の監査で、更に3000万円の不正が新たに見つかったとの報道です。
この事件、昨年大きな問題となった、北海道警が組織ぐるみで行っていた公金横領事件です。
カラ出張、カラ残業、カラ接待、ニセの物品購入、ニセの施設補修とまあ、さすが警察、実に多彩な手口を駆使し、不正な裏金作りを行っていました。
いずれも公文書偽造・行使、詐欺、公金横領というリッパな犯罪で、しかもその後、今度は組織ぐるみで隠蔽工作をしたわけですから、その悪質さが際立ちます。
この不正の前では、雪印も、三菱自動車も、JR西日本も真っ青ですね。
警察の内部調査で判明しただけで、11億円を越える税金が横領されていました。
この犯罪に関わった警察官は、3000人を越えています。
では道警は、「全件送致」の原則に基づき、この事件を検察に送致したのでしょうか。
道警は昨年11月、1998-2003年度に支出した捜査用報償費などのうち、7億余りが捜査目的外に不正に支出していたとの、内部調査結果を公表しました。その後、これまでに利子を含めて全額返還したと発表しています。
後は、関係者の処分を行いましたが、いずれも減給とか厳重注意という、世間から見れば形式的な軽い処分です。
要は、不正で得た金を返して、幕引きをしたわけです。
犯罪を犯しても、金さえ返せば罪は問われないのでしょうか。一般の人が僅かな金に困って、法を犯す悪事を働らけば、犯罪者として忽ち警察に身柄を拘束され、厳しい処罰を受けます。
元道警釧路方面本部長の原田宏二氏の証言によれば、横領した金の大部分は幹部が私的に流用し、主に幹部への接待費や餞別に使われていたそうです。
そういえば、警察幹部の餞別はハンパじゃあないというのは、昔から聞いていました。
勿論、これは道警だけの問題では無く、全国の警察組織でも、同様の不正が行われていると想定されます。
議員もマスコミも、警察に弱みを握られていたり、今後の報復(お目こぼし、便宜)を恐れて追及しない。
肝心の検察さえも、この事件では、腰が引けているように見受けられます。
法の番人であるべき警察が、先ず自らに対して厳しく律する姿勢が無ければ、国民からの信頼と社会の秩序や市民生活の安全は、保てません。
結局市民レベルで、こうした不正を監視するシステムを作るしかないのでしょうか。
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私も同感です。
警察の警察は一応あるみたいですけど、ニュースを見ていると、警察やお役所が広範囲にわたって公金の汚職をした場合、いつも有志による返却を行うとうやむやになってるような気がします。
なんかおかしいと感じながら、いつも見過ごしてしまう問題ですね。
投稿: 根岸のねこ | 2005/05/24 08:46
根岸のねこ様
コメント有難うございます。
お気付きと思いますが、この記事は、前の”これは『殺人事件』だろうか”と、セットになっています。
つまり、片や家族の同意を得て人工呼吸器を外した医師が殺人に問われ、その一方で組織的に多額の(原田元本部長の証言では、実際には百数十億円にのぼるそうです)公金を横領し、隠蔽工作までした警察は、内部処分だけで済ましてしまう。
どう考えても、公正なやり方とは、思えないのです。
投稿: home-9 | 2005/05/25 14:16
やっと、やっと、やっと、、、、送検です。
1人。
書類送検。
2003年11月の発覚から、ようやく1人が書類送検されました。ただ、公文書偽造・同行使、詐欺、横領、といった裏金事件本体での送検ではなく、捜査妨害をしたことについての送検ですが。「トカゲの尻尾切り」ではなく、本部管理官(警視)の送検ということで、胴体付近まで切ったことは一定の評価が出来るものの、やはり政治解決の臭いがプンプンします。
投稿: 東 | 2005/05/30 21:17
容疑者3000人に対して、書類送検1人ですから、ほんの申し訳程度ですね。
でも無傷で蓋をしようという企みが、阻止されたとすれば、一つの前進かも知れません。
いずれにしろ、警察の隠蔽体質は、眼に余るものがあります。
投稿: home-9 | 2005/05/30 23:16