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2005/05/17

日本外交の汚点

paki
GW中の小泉首相のパキスタン訪問ですが、何でこの時期にする必要があったのでしょうか。パキスタンは1998年に、各国からの警告を無視して核実験を強行し、以後核保有国となりました。米国は当初これを非難して、経済制裁を発動しました。日本政府も円借款を停止し、現在に至っています。
ところが、今回のパキスタン訪問で、小泉首相は円借款の再開を約束し、第一弾として164億円の資金供与を決めました。

米国は、アフガニスタン戦争を始めるにあたって、パキスタン政府の全面的な協力を取り付けました。経済制裁もその時点で解除しました。その後アフガニスタン侵攻に伴い、パキスタンは事実上の米軍基地化され、ブッシュ大統領は、パキスタンは米国にとって、NATO加盟国以外の主要国であると、最大限の評価を下しました。
今回の小泉首相のパキスタン訪問と、資金供与の決定は、こうした米国の意向を受けたものであるのは、間違いありません。それに加えて、国連安保理常任国入りへの票読みの意味もあったのでしょう。

でも、待って下さい。
パキスタンと北朝鮮は、以前から協力して核開発を行ってきました。北朝鮮がミサイル製造技術を供与する見返りに、パキスタンは北朝鮮に対して、ウラン濃縮技術を提供してきたことは、多くの関係者が証言しているところです。また米国の高官が、北朝鮮がパキスタン国内で、過去に核実験を行ったと発表したこともあります。
現在パキスタン政府は、こうした事実を認めながらも、カーン博士という人物が個人的に行ったと強弁しています。しかし、こんな子供だましが、通用するはずがありません。
核開発やミサイル製造という国家的事業を、他国の政府と協力しながら、10年間以上も継続して行うことが、個人では到底不可能であることは明らかです。

現在我が国は、北朝鮮の核とミサイルによる脅迫という危機に面しており、北朝鮮に対して核開発と核実験、ミサイル発射を直ちに中止するよう、強く働きかけている真っ最中です。
この時期に、その共同開発国に対して、核兵器の廃棄を求めるどころか、資金援助までするというのは、一体日本政府はどういう神経なのでしょうか。
あちらの核はOK!,こちらの核はNO!,こんな事では、相手から足下を見られるに決まっています。

日本は、世界でただ一つの被爆国です。
米国は、世界でただ一つの核兵器使用国です。
こと核兵器の問題で、我が国は、米国の顔色をうかがう必要は全くありません。
今回の小泉首相のパキスタン訪問は、日本の外交に大きな汚点を遺したと言えるでしょう。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

今の時期に小泉首相がパキスタン訪問、円借款再開、私も釈然とないという点では同感です。
しかし、日本外交の汚点と決め付ける前に一つ考えておきたいことがあります。
人間は自己中心主義だということ、大国になればなるほど、このジコチューが表面化します。
そもそも核拡散防止条約なんて大国のジコチューの究極のものでしょう。
既に核を保有している米・英・仏・露・中の核保有は正当なものとして認めるが、今後他の国々が新たに保有しようとすることは認めない。
こんなのは論理的に通る話ですか?
しかもインド・パキスタンの保有は種々の情勢から追認、イスラエルは持っていそうだが諸般の情勢から不問、イランについては持っていないと言っているが持っていそうな気配故に大いに問題視、北朝鮮は???
更には大量殺戮兵器を持っていないと強硬に主張していたサダムフセイン政権は、持っているに違いないからという理由で先制攻撃!
自ら核兵器を保有していると宣言している金正日政権は「別に石油に関連した利権がある訳ではないし」と放置!
勿論、無条件米国追随外交が良い訳ではありません。
日本も尻尾を振るだけでなく、もう少し自己主張をしても良いのではと思います。
但し自己主張が受け入れられる素地を充分に作ってから・・・・!

どうも、お邪魔いたします。
ちょっとご挨拶まで。

今までの日本外交に汚点があるとすけば、
一番は「見えない金を使ってきた」ということではないでしょうか。
日本政府が援助をしても、その存在を知らない国民たち。
それは援助をした側の日本人も、受けた相手国の国民も。

外務省のホームページを覗くと、各国の紹介がされています。
聞いたこともないような国なのに、日本は多額の援助金を出していて、
その国の貢献国?ナンバー3に入っているなんてザラです。

ご近所の国のように、日本からの援助金に国民が気付かないようにしている国。
よしんば知っていても、金をもらうのが当然だと思っている国。
生きた金の使い方が必要ですね。

反対に日本から多額の援助をしてもらっている事を、
国民が知っている国もあります。
そういう国は今さら日本の戦争責任なんて問いません。
純粋に感謝とあこがれを持っています。
こんな国ばかりでしたら日本だけは他のG4と違って、
常任理事国の票集めなんかに慌てなくても良かったでしょうに。

タケチャンマン様
毎回、真摯なコメント有難うございます。
核不拡散条約については、私も同意見です。
今回のパキスタンへの経済援助再開について、調べた限りでは、私と同じ意見のブログの記事が見当たりません。これだけ北朝鮮への制裁が叫ばれているのに、ちょっと不思議な感じを持っています。
北朝鮮制裁論者には、米国追随論者が多いのでしょうか。
納税者の権利意識が強い米国が、北朝鮮に軍事行動を起こす可能性は無いと思いますが。

JJ様
コメント有難うございます。
同一のコメントが3通寄せられていましたので、2通は削除させて貰いました。
あちこちのブログの記事を読んでいますと、海外経済援助(ODA)を、困っている国に純粋に援助するものと、考えている方が多いようです。確かに、そうした例もあります。
その一方で、いわゆるODAビジネス、ひもつき援助も多いのです。
実際には見返りのある援助、日本国トータルと見た場合には、十分元が取れている援助も決して少なくないのです。
ODAを通じて、日本製品を輸出する、日本の技術やプラントを輸出する、これに様々な思惑が絡み、相手国の政治家や高官、日本の政治家に不透明な金が流れる、こうした構図も決して珍しくありません。
日本の外務大臣の中には、地位を利用してあまりに派手に資金還流をやり過ぎて、実質更迭になった議員さんもいます。
私はこれを、”経済援助交際”と呼んでいますが。
ODAが、相手国の人々に、真に感謝されるような援助をすべきであるというご意見には、全面的に賛成です。

HOME★9(ほめく)さん トラバありがとうございます 仕事の関係でお礼が遅くなり申しわけありません!今後もよろしくお願い致します

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