”健康に良い”は、身体に悪い
現役時代に、木炭の用途開発に携わったことがあります。仕事の関係で、炭の愛好家の会合に出席したことがありますが、その内容が実にイヤハヤなのです。
炭を床下に敷く、壁に塗りこむ、風呂に入れる、飲料水容器に入れる、炊飯器に入れる、枕に入れる、シーツに入れる・・・などなど、炭に囲まれた生活を送っている方もいました。
その効用は、先ず病気が治った、健康になった、体調が良い、いい夢をみるようになった(なんという幸せ!)、肌がきれいになったから始まって、果ては、夫婦喧嘩が無くなった、子供の非行が直った。こんな話を、皆さん真面目な顔して、交流し合うわけです。そして、互いに盛り上がっていきます。
こうなると、もう“木炭教”ですね。
もっとも出席者の大半は、炭で何らかの商売をしている方々で、大いにナマグサイ話でもあるわけですが。
同僚の中には、信用してのめりこんでいった人もいましたが、私は完全に引きました。
世の中、ただいま、健康に良い、身体に良い、という製品で溢れていますが、所詮はこの程度の話です。
“健康になります”と言っても、頭痛と痔が同時に治ったら、オカシイでしょう。
先日もある企業が、食べられる炭というのを製品化したとの記事が出ていました。この“ヘルシーチャコール”には、体内の不純物(ダイオキシン、残留農薬、環境ホルモン等)を排出して、ダイエットや美肌効果があります“と、書かれています。
ホンマかいな。
どういう実験をしたのだろう。複数の人間に一定量のダイオキシンを摂取させ、その食用炭とやらを一方の人には与え、もう一方の人には与えない。そうして毎日、それぞれの血液を採取し、ダイオキシン濃度を測定して、効果を確認したんですかね。まあ、やってないだろうな。
話は飛びますが、6月3日TVで司会者のみのもんたが、「皆さん、ビオフェルミンなんてお飲みになっているじゃないですか、胃腸薬。だったらビールを飲んだほうがいい」と口をすべらせ、番組スポンサーの製薬会社が激怒して、スポンサーを降りたという出来事がありました。なにせ、彼はビールのCMに出てますからね。
その会社はちょっと大人気ないという、批判も出ていますが、一番問題なのは、TVでみのもんたが喋ることを、本気にする人が多いということなのです。彼が「〇〇が健康に良い。」などと発言すると、翌日のスーパーには“TVで評判の〇〇”という、札が立てられます。それで、事実良く売れるんだそうです。
消費者(特に主婦)は、もっと賢くならなければ。
殆どの食品は、人間の健康維持に、何らかの役割を果たしています。
適正量を摂れば有益だし、摂り過ぎれば有害なのです。
塩や砂糖を例にとれば、誰でも分かることですね。
栄養分も、食品から自然に摂取するのが、一番良いに決まってます。
動物には、炭を餌に混ぜて与えることはあります。牛の場合、オナラの量が減るそうです。ニワトリの場合は、炭を食べたニワトリの糞を肥料にした場合、肥料効果が高まるそうです。これらはいずれも、実験または実証データがあるようですから、信用して良いでしょう。
でも人間は、牛やニワトリとは違いますからね。
こんな話は、モー・ケッコウ。
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