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2005/07/29

「皇位継承」への一提案

皇室典範に関する有識者時会議の論点整理が、7月26日発表となりました。当初は、女性天皇容認論で固まるかと予想されていましたが、両論併記という「議論をする土俵」という段階に留まっているようです。
「女性天皇」に対しては、皇室の伝統が崩れるという反対意見が、「旧皇族の復帰」に対しては、皇族と一般国民との区別があいまいになるとの反対意見が、各々上げられています。
一長一短、帯に短し襷に長し、というのが目下の結論です。

王(皇)室というのは、国にとって絶対に必要なものではない。世界的に見ても、王室があるのは少数派であり、ロシア、中国、ドイツ、フランスなど、伝統的な王室や皇帝が存在した国でも、近代化民主化に伴い、廃止されています。
ここでは、皇室の存続を前提に、進めてゆきます。

皇室の拠って立つ基盤というのは、国民の支持と、アリガタミではないかと思います。それと天皇の重要な行為の中に、神事(まつりごと)があるのですが、ここではケガレという概念から、女性は避けられます。
何を今時古臭いとの批判はあるでしょうが、宗教や文化というのは、時に民主主義思想とは、相容れない存在です。大相撲や歌舞伎の世界を見れば、分かりますね。
「女性天皇」がすんなり認められないのも、そうした事情もあるのでしょう。

私は、皇位継承問題を考える際に、もう一つ重要なことがあると思っています。
それは、人間の心の問題です。
皇室の継続にとって、皇族以外の人を皇族に受け入れるというのは、必要条件です。従来は結婚のパートナーですが、これからは養子という形も有り得るでしょう。
その時に、今後果たして、「なりて」「きて」がいるのか、ということです。美智子皇后、雅子妃二代続いて、民間から皇室に入るのがどれだけ大変なことか、国民は身に沁みて感じています。
女性であれ男性であれ、皇族や宮内庁のオメガネに適う身分の人で、果たして今後皇室に入る希望者がいるのかという事が、本当は一番大きな問題だと思います。

皇族の生活というのは、我々外側からしか、分からないわけですが、どう考えても楽しそうには見えません。四六時中監視の目が光っていて、プライベートなど無いに等しい。いわゆる「ご公務」も、年間スケジュール管理されていて、個人の事情や意志が通る余地は無いでしょう。
それでいて、日本の皇室は世界一質素な王室だと言われているように、贅沢な生活ができるわけじゃあ無い。事実上、離婚の自由も無い。

ある程度の経済力と、社会的地位のある人で、一体誰がこんな生活、すき好んでしますかね。
第一、皇族の中でさえ、過去皇籍離脱を希望した方がいるのですから。
いくらセレブ婚がトレンディーでも、王妃になりたいと思う女性は、先ずいないでしょうね。仮にいても、今度は先様がお断りになりますしね。

結局、外部から見ても魅力のある皇室にすることが、先決だと思うのです。
花嫁あるいは花婿を募ったら、門前市をなす状態になるのが、望ましい。
公務を大胆にカットし、個人の自由時間を増やす、警備を簡素化する、ある程度贅沢な生活も容認する、離婚の自由も認めるなど、見直しが必要です。
いずれにしろ、「周囲の状況から、やむなく」とか、「泣く泣く」という状態は、決して長続きしないと思いますよ。

2005/07/26

再び「子供と宗教」について

horiyoichiro
又、アヤシゲナ宗教団体をめぐる事故(今後立件される可能性はある)がありました。堀洋八郎という人物が代表をつとめる、「次世紀ファーム研究所」の施設内で、12歳の少女が死亡したものです。
少女は、以前から小児糖尿病を患っており、7月12日に母親がこの施設に連れてきて、16日に母親は帰宅、一人残された少女は18日に死亡したものです。死因は糖尿病性昏睡と、25日岐阜県警が発表しました。

厳密にいえば、この「次世紀ファーム研究所」は、宗教法人ではありません。しかし、代表の堀氏は、真光元(まこも)神社という宗教団体に関与しており、会員に堀氏を宗祖と呼ばせていたこと、石原知事の勧めにより(石原氏は否定)、宗教法人の申請を行う予定であったと言っているところから、実質的に宗教団体と見てよいでしょう。
何より、この団体が販売している健康補助食品「真光元」の、次の説明が、宗教的性格を強く感じさせます。
“自然に存在する天力(太陽)と地力(大地)という空間で真光元(ヒメガマ)と動物質(ツバ、汗、体液)が一
体になることによって発生するものを私達は光合堀菌とよんでおります。“

堀氏は、この「真光元」を服用すると、糖尿病は消え去り、又再発することも無いと説明していましたので、少女の母親はこの言葉を信じ、インシュリン治療を行うこともせず施設に置き去りにし、最悪の結果を招いたものです。
先程の「真光元」の効能書きといい、どこからどう見ても胡散臭い人物としか思えない堀氏への心酔といい、通常の判断力を持っている人間であれば、イカガワシサを感じると思うのですが、この辺りがやはり「洗脳」効果なのでしょうね。
しかし、事情も知らずに死んでいった少女は、実に痛ましい。

以前このブログで「子供を宗教活動に巻き込むな」というタイトルで記事を書いたところ、全部で15通のコメントが寄せられました。この数は、過去の記事中最多であり、多くの方の関心を呼んだテーマであったと思います。
その時の記事は、聖神中央教会という宗教法人で、代表者のパウロ永田こと金保が、多数の信者の少女を強姦したとして、逮捕された事件を受けて書いたものです。

少しタイトルがセンセーショナルだったという気がしますが、要は判断力の無い子供に特定の宗教を押し付けるべきでない、特に子供を宗教施設に連れて行くべきでないという主張でした。
私は、主に日本の新興宗教を対象にして、書いたつもりだったのですが、寄せられたコメントの多くは、クリスチャンの方々からで、これは予想外でした。
コメントの内訳ですが、私の主張に賛意を示されたご意見が6通、親が信仰している宗教を子供に勧めるのは当然というご意見が5通、その他4件でした。
賛否は、完全に割れています。
それだけ、このテーマは難しい問題なのでしょう。

私は、憲法の「信教の自由」は、子供にも適用されるべきだし、親の都合で子供の宗教を決めるべきでないと、今でもそう思っていますが。

2005/07/23

文句なしの五つ星「プロデューサーズ」

producers
ミュージカル好きなどというと、柄にもないといわれそうですが、人間、顔で判断しちゃあいけません。ここ10年くらい、ブロードウエイミュージカルの日本公演が、度々行われています。しかし、観に行ってガッカリして帰ることも多かったのです。ブロードウエイといっても、出演者が米大リーグでいえばマイナーリーグ級なこともあり、看板倒れの公演もありました。
今回の「プロデューサーズ」日本公演では、主役級の二人がブロードウエイでも同じ役を演じていて、先ずは第一線クラスの顔ぶれといって良いでしょう。

ミュージカルは、かつてはミュージカルコメディと呼ばれていましたが、「ウエストサイド・ストーリー」あたりから、ミュージカルという言葉が一般的になったようです。呼称の変化は、ミュージカル作品の内容にも影響します。それまでの喜劇の要素が薄れ、「屋根の上のバイオリン弾き」や「レミゼラブル」のような、物語性が強いものに変わっていきます。
この「プロデューサーズ」は、ミュージカルの原点に返ったような、“笑い”の要素が濃いもので、今の観客には新鮮に映るのかもしれません。

2001年トニー賞史上最多の12部門を受賞した作品は、落ち目のプロデューサーが、金儲けを企んで史上最低のミュージカル「ヒットラーの春」を上演するが、これが予想に反して大当たりになるという、ややブロードウエイの楽屋落ちのコメディーになっています。
一昔前の、MGMのミュージカルを見ているような、懐かしさを覚えます。

全編にシモネタ満載で、私のような純情な人間は、ついつい顔を赤らめながら笑いを誘われます。それでいて、決して野卑にならないのは、演出家スーザン・ストローマンの腕でしょう。そして何より感心させられるのは、場面の転換の手際良さで、この芝居のテンポの良さを、活かし切っていました。
歌も踊りも上等、出演者も適役が配置され、ブロードウエイの層の厚みを感じます。

中でも特筆すべきは、ウーラ役のアイダ・リー・カーチスの好演です。金髪、美人、長身、色白、美脚、巨乳、コケティッシュでキュート。そして何より、セクシー。男(私だけかな?)の夢が、全て詰まったような存在感です。
オーディションに来た彼女を見た、二人の男性プロデューサーの下半身が、思わずstanding ovation(総立ち)したのも頷けます。実際の年令は40台半ばとお見受けしましたが、この女優さんのなんという色香。 この芝居、日本人での公演もあるようですが、彼女の役をやれる女優がいないでしょうから、あまり期待できませんね。
美女の話になると、ついつい力が入ってしまう、ワタシです。

オケの音が安っぽい、タップシーンでやや不揃いがあったなど、細かな瑕疵はありましが、過去のブロードウエイ来日公演では、最高の舞台であったと言って良いでしょう。
7月22日、東京厚生年金会館にて観賞。

2005/07/21

体験的「アスベスト」私論

asbestos
今の時点でこのテーマで記事を書くことに、いささか躊躇いもありますが、一時期職務としてアスベストに携わった者として、書いておかねばという気持ちで記事にします。

私の場合、40年程前に数ヶ月間、アスベスト建材の開発に携わり、30年程前には、3年間アスベストに代わる材料開発に携わりました。
特にアスベストを取り扱っていた時期には、アスベストの粉塵がもうもうと舞い、先が霞んで見える中で、ろくにマスクも付けず作業していました。あれから40年、幸いなことに私自身も含め、当時の同僚達誰からも、健康被害を受けたという話は伝わってきません。
アスベストに代わる材料の開発を行った時の感想ですが、研究すればするほどアスベストの性能の素晴らしさを認識させられました
何せ天然の鉱物繊維ですから、強度は強い、熱にも強い、耐久性は抜群です。

アスベストに発癌性があることは、1970年代の初めには分かっていました。日本でも1971年に「特定化学物質障害予防規則」が制定され、アスベストの取り扱いが規制されます。
しかし、今問題となっている悪性中皮腫については、欧米では70~80%の症例において、アスベスト曝露の既往が報告されているようですが、日本では腹膜中皮腫の100例中5例で、アスベスト曝露歴があったとされており、我が国の調査が遅れているのは、事実です。

アスベストに関して、誰も好き好んで使ってはいなかった、これは断言できます。
1982年には米国のアスベスト企業最大手のジョンズ・マンビルが、健康被害訴訟で倒産します。日本の企業経営者達も、常にリスクには神経を払っていました。
従業員達は、これまた健康被害に気遣っていましたし、監督官庁は、できるだけ問題を起こしたくないので、誰もが止められるものなら止めたかったというのが、本音なのです。

では、なぜ止められなかったか。アスベスト抜きでは、製品が作れなかったためです。それに代わる材料が無かったためです。
例えで話を単純化しますが、アスベスト入りの建材の強度が100あったとします。アスベストを他の材料に代えると、これが80になります。では、強度が80の建材を使ってくれますか? 建物の安全基準が段々厳しくなっていく時代に、強度が下がることなど、誰も認めてくれません。
自動車のブレーキで、アスベストなら2mで止まるとします。これが他の材料では、4mに延びるとします。ユーザーは認めてくれますか? 答えは、NO!ですね。
確かに、アスベストの使用を即刻中止すれば、健康被害は防げたでしょう。しかし反面、交通事故の死者が増える、地震で建物が倒壊する、こうしたリスクに眼をつむることは許されないですね。

この約35年間で、次第に技術が進歩し、アスベストに代わる材料が出現しつつあります。それに従って、他の材料に切り替えが進んでいます。
しかし、過去に使われた製品はそのままですし、一部アスベスト製品が残る場合もあると思います。
健康被害の調査や補償、予防技術については、今後国も産業側も、真剣に取り組まねばならないのは当然ですが、同時に冷静な対応が求められると思います。
現在の新聞やTVなどの、やたら恐怖心を煽るような報道姿勢は、却って問題解決を遅らせると思います。

2005/07/18

これが「詐欺」なら・・・「法の華」裁判

fukunaga
「最高ですか~」「頭を取る」など、独特の用語で話題になっていた、「法の華三法行」の元代表・福永法源に、判決が出されました。福永法源は、信者から巨額の金を騙し取った詐欺罪に問われ、無罪を主張していましたが、7月15日東京地裁の青柳勤裁判長は、「教団トップに君臨し、犯行を推進した首謀者」と断じ、懲役12年の実刑判決を言い渡しました。
弁護団の「信教の自由を侵害する」という主張は、一蹴されました。

被害を申し出た人は1800人、被害総額は146億円ですが、泣き寝入りした人が多数いて、実際の被害は1000億円と推定されています。ただ、教団は既に破産宣告を受けており、被害の一部しか取戻せていません。
被害者の中には、病気が治るといわれて、大金を取られた揚句、病気も悪化した元信者もいて、被害は相当深刻なようです。

福永法源は、脱サラして事業を興し、一時期は自社ビルをもつほどの成功を収めますが、その後手形詐欺にあい会社は倒産。全財産を失います。
元々本人は「生長の家」の信者だったようですが、宗教は儲かるからと、立教したようです。
こうした経歴は、他の新興宗教の教祖と、実に良く似てますね。
彼の場合母親から、「生活の糧にするために、特別な声を聞こえることにして、宗教を始めて欲しい」と入れ知恵されところが、一風変わっています。

かくして教祖福永法源が誕生し、信者らの強引な勧誘活動により勢力を拡大してきました。
彼は、宇宙からの数々の啓示「天声」を聞くことができ、宇宙のエネルギーを取り込み、それを天行力として放出することにより、これを浴びた人は体の中の悪いもの、悪い霊はすべて浄化されるという教義を作り上げました。これも、他の宗教の借り物です。
「特講」という名の集中セミナー、足裏診断、掛け軸や福永被告の手形、釈迦の骨(当然ニセモノ)を法外な値段で売って、金集めに奔走します。
これも程度の差はあれ、世間でよく聞く新興宗教の手口と、余り変わり無いですね。

私がこの裁判で注目したのは、判決文で「福永被告が、『天声』を聞くことができ、足裏を見て病気などを治す力を持っているというのは、明らかに虚偽」と、断定している点です。
もし、この理屈が通るなら、世の中のアヤシゲナ宗教やナントカ占いなど、みんなインチキになりますぜ。
本来宗教とか占いというのは、信じる人の内面の問題であって、他の第三者が虚偽かどうかを判断するというのは、アリなんですかね。
例えば細木数子センセイの予言、あれは真実なんですか、それともサギ、裁判所に聞いてみたい。

「法の華三法行」は2001年に解散となりましたが、現在は「よろこび家族の和」と名前を変えて、活動を続けています。
色々な宗教を転々としながら、宗教活動のノウハウを取得し、教団を設立する。不祥事を起こせば、別の組織に衣替えして、活動を続ける。オウムなどの悪徳宗教団体というのは、多くの共通点を持っているようです。
もう一つ、ねずみ講と一緒で、一度この世界に入ると、なかなか止められない。
「世に盗っ人の種は尽きまじ」
「〇〇と教祖は3日やったらやめられぬ」
でしょうか。

2005/07/17

今「イラク」を考える(2)

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結局は、米国はイラク攻撃に踏み切りました。短期間にイラクを制圧し、勝利宣言を行いました。しかし、大量破壊兵器は見つからず、フセイン独裁政権の打倒という、取って付けたような説明に変更しています。独裁政権など、世界中に掃いて捨てるほどあるわけで、何でイラクなのか、説明がつきません。

フセインの最大の失敗は、イラクの石油の決済を、ドルからユーロに代えたことだと言われています。米国は石油などの輸入品はドル札を増刷して支払い、貿易収支が赤字になれば米国債を売り、ドルを還流させるという、経済政策を運営しています。
もし石油産出国が、今後ドル建てをやめれば、米国経済は大きな打撃を受けることは、必至です。これは黙って見過ごすわけにはいかない。米国経済の根幹を揺るがす、重大問題ですから。
この辺りが、米国がイラク攻撃に踏み切った、本当の理由なのでしょう。

ブッシュ大統領の誤りの一つは、9・11直後の“十字軍”発言にあると思います。あれで、キリスト教対イスラム教の対立という図式が生まれてしまいました。
本当にフセインを孤立させたいなら、イスラムの中でも、フセインを孤立させなければならなかった。
あの発言の結果、米国はイスラム全体を敵にまわすことになり、米国の仲間と見られたスペイン、次いで英国がテロに見舞われました。
日本もターゲットにされる可能性が、出てきているのです。

日本の小泉政権は、イラク戦争について、二重の誤算がありました。
一つはブッシュの大量破壊兵器論を信じたことです。小泉首相の国会答弁でも、大量破壊兵器は必ず見つかると、繰り返し述べていました。しかし、結果は違っていた。
二つ目は、米国の勝利宣言を疑わず、戦闘行為の終結を前提に、イラクへに自衛隊を出したことです。
この結果、非戦闘地域に出したはずの自衛隊が、以前はオランダ軍、今はイギリス軍に守られて、駐屯地内でじっとしているといった、事態に陥っています。
従来親日的であった中東のイスラム諸国の、日本に対する眼差しが、厳しくなってきているようです。

小泉政権は、最初のボタンを掛け違いました。
それなら先ず、一番上のボタンから掛け直すしかないだろうというのが、私の主張です。

2005/07/15

今「イラク」を考える(1)

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ロンドンの同時多発テロの記事を書いた際に、自衛隊の撤退を主張しました。この件では、コメントで異論が寄せられています。最近の国内の世論調査では、撤退論がやや優勢ではありますが、確かに意見の分かれる問題です。

今回のロンドンでのテロについて、数多くのブログが採りあげていました。その多くが、日本でもテロが起きる可能性があるとの危機感を表明していましたが、500件ほど読んだ範囲では、自衛隊撤退に触れたものは皆無でした。
テロリストが日本を標的にするというのも、元々はイラク戦争に対する日本政府の態度、特に自衛隊派遣を理由としているもので、これは避けて通れない。そのため敢えて撤退論に触れたというのが真意です。
この時点で、日本のイラク政策が正しかったのかどうか、2回に分けて検証したいと思います。

ここで、9・11より現在に至る経過を、大ざっぱに追ってみたいと思います。
ニューヨークでの同時多発テロが、ビンラディンを首謀者とするアルカイダの犯行と断定した米国は、引渡し要求に応じなかったアフガニスタンを攻撃し、アルカイダ政権を倒し、親米政権を樹立しました。
しかしこの過程で、首謀者であるビンラディンなど、アルカイダやタリバンの幹部の多くを、取り逃がしています。
なぜこうした結果になったかですが、隣国のパキスタン政府の要請を、米国が拒否できなかったためと言われています。

アフガニスタン戦争では、パキスタン全土が米軍基地となりました。
このため、国内の政情安定を理由としたムヒャラフ大統領の強い要請を、米国が断り切れなかったようです。いずれにしろ、相当数の幹部が、パキスタンに逃れたのは、間違いないようです。
こうして米国のアフガニスタン攻略は、実に中途半端に終わってしまったわけです。

次に米国は、アルカイダとイラクが繋がっているというキャンペーンを始めます。しかし、いくら調べても両者の接点が見つからず、いつしか尻つぼみとなりました。
次に、米国が考えたのは、あの大量破壊兵器論です。フセインが密かに核兵器などの大量破壊兵器を準備しているという情報を、一斉に世界に発信しました。
米国がイラクから攻撃される前に、先にイラクを攻撃するという、いわゆる“先制攻撃”論が出されます。

私は当初から、これは有り得ないと確信していました。イラクを始め中東の石油産出国は、皆豊かな国です。こうした国々が、米国に対して戦争を仕掛ける理由がありません。
“石油持ち、喧嘩せず”です。
一方、近い将来国内の石油資源が枯渇する米国にとって、石油などのエネルギー資源確保は、切実な問題です。米国側には、リッパな理由がありました。

話は変わりますが、私はイラク戦争が始まる直前に、イランに行きました。
イランはご存知の通り、イラクと戦争しており、沢山のミサイル(全て米国製)が打ち込まれて、多くの犠牲者を出しています。ですから不倶戴天の敵であり、フセインに対するウラミは強いものでした。
それでも、米国のイラク攻撃の計画(当時は戦争前)については、イラクに同情的でした。
現地ガイドは、「米国は、イラン革命のときはイスラム指導者側を援助し、イランイラク戦争ではイラクに武器を送り、今度はそのイラクを爆撃する、全く何を考えてるのか分かりません」、と言ってました。
私も、同感です。

2005/07/13

ツアーな人々(買い物編)

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“ツアーな人々”の記事に、多くの方々からコメントを頂きました。その中で、なをぞさんの投稿に、買い物のことが書かれていたので、番外編として採りあげてみたいと思います。

先日ある添乗員から聞いた話ですが、日本人が海外旅行に行き始めたころ、最初の海外旅行ブームのころは、ショッピングでのコミッションが収入のかなりの部分を占めていたそうです。同僚の中には、ヨーロッパ周遊ツアーで、1回百万円の見入りがあった人がいたそうです。もちろんこの他に、旅行会社や現地代理店の取り分があるわけですから、相当なマージンを取っていたんですね。
海外旅行が大衆化されるに従い、そうした派手な買い物をする客がいなくなって、収入がガタ減りだそうですが、それでもショッピングは、旅行会社の利益と、添乗員の薄給をカバーしているのは、間違いないでしょう。

団体ツアーに夫婦で参加している人を見ると、大概の夫婦は奥さんが買い物に熱心で、旦那はそれを横目で見ているというパターンが多い。
女性の海外旅行の楽しみは、買い物と食事がトップだそうですが、男には余り興味がない分野です。
概して女は太っ腹になり、男はケチになる傾向があるようです。目の色を変えて買い漁るのを、店の片隅に集まって、「また要らないものを買っている」「何が楽しいのかねえ」などと、男達がブツブツつぶやいているというのが、一般的な光景です。
かくいう私も、その一人。

でも、妻以外の女性が沢山買い物をしたときは、大いに誉め上げることにしています。「やあ、いいじゃあないですか、良くお似合いですよ」とか、「やはりこういうものは、現地でしか買えないですからね」などと、持ち上げます。
なに、今時日本で手に入らないものなどありませんよ。
現地でしか手に入らない? それはきっと、日本では必要ないものですね。
そう思っていても、決して口に出しません。
なぜなら、そういう方々が、結果として私の旅行費の一部を負担してくれているのですから、大事なお客さんです。

現地ガイドが、「ここの国の名産で、他では売ってません」「この店の品物は信用できます」「日本円もOKです」、決まり文句です。
でも、数年前に中国に行った時に、阪急交通社の添乗員が陰で、「現地ガイドがあんなこと言ってますが、この宝石の原石は、中国では採れません。全部よそからの輸入です。それに、ニセモノも多いですから、注意してください」と、忠告してくれました。いい人ですね。阪急、大好きになりました。
でも、お金を使うということは、最大のストレス解消法でもあります。
派手に散在する人には、暖かい目を向けましょう。

ショッピングで、唯一楽しみなのは、現地の人が行くマーケットと、スーパーです。
その国の人がどういう生活をしているかが分かるし、物価水準が分かります。
スリランカで、セイロン紅茶ティバッグ100個入りで、70円で売っていました。まとめ買いして、隣近所に配りましたが、こういうショッピングなら、大歓迎ですね。

2005/07/12

“志の輔noにぎわい”

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横浜にぎわい座での立川志の輔独演会のチケット入手が、段々難しくなっています。ここの演芸場の前売りは、通常前月の1日ですが、志の輔の公演だけは10日発売にしています。でも当日、時間開始と共に電話をかけ続け、ようやく1時間後につながった時は、二階席しか残っていなかった。
それでも、普段はホールでしか聞けない志の輔を、演芸場で聞くこのゼイタク、最高のゼイタクかも知れません。
人気はTV出演の影響もあるでしょう。しかし人気番組“笑点”のレギュラーで、まともな落語が出来ない芸人がいるのですから、志の輔の場合はやはり実力と、何より客へのサービス精神が、人気の源です。

7月9日、“志の輔noにぎわい”昼の部に行きました。
当日は昼夜2回公演でしたが、志の輔本人が言ってたように、多分昼の部に行った客が正解だったと思います。独演会の昼夜公演は、キツイでしょうね。
開口一番は、弟子の志の春、「真田小僧」です。前座噺でやり易く、そこそこ笑いが取れるのでしょうか、最近どこに行っても、この「真田小僧」。少しは客の身にもなってくれ。前座噺も数多くあるのですから、三代目三遊亭金馬のCDでも聞いて、勉強しなさい。
続いて、これまた弟子の志の八で「唖の釣り」。タイトルに放送禁止用語が含まれているのと、障害者差別に配慮してか、最近余り高座にかけられなくなった噺です。古典芸能と差別問題、なかなか悩ましい問題ですが、それを言い出すと、“与太郎さん”も出られなくなる恐れがあります。
古典芸能に限って、ある程度割り切りが必要でしょう。そうしないと、この噺のオチで、「ああ、器用な唖だ、口をきいた。」が、通じなくなってしまう。

志の輔の一席目は、「千両みかん」。
志の輔の魅力の一つに、マクラから本題に入る入り方が、とても上手いことが挙げられます。ロンドンでのテロ事件や、郵政民営化などコンテンポラリーな話題を振っておいて、スッと演目に入る、このタイミングが絶妙です。
その「千両みかん」ですが、これまた珍しい演目に入るでしょう。古くは古今亭志ん生や長男の先代馬生が、時々高座にかけていました。志ん生のCDを聞くとマクラで、「この噺は上方からきたもので、大変良く出来た噺ですが、(演者には)損な噺であります。」と言ってます。つまり難しい割には、客に受けない噺と、志ん生が言っているわけです。
みかん食べたさに死ぬほど患う息子、そのみかんを入手するために奔走する番頭、みかんに千両(今の金にして1億円相当)の金を払う主人、どんな果物でも、一年中手に入る現代人の生活感からは、この噺に共鳴が出来ない。そうするとみかんを3房持って、番頭が夜逃げするという、この噺のオチがピンとこない。
志の輔の演出は、オリジナルに手を加え、みかん問屋で苦労しながら、たった一つのみかんを探し出すという場面に時間をかけ、当時の夏にみかんを入手する難しさを出していました。
それと、このみかん問屋の主人が、いかにも大店の主人という性格付けにすることにより、慌てる番頭との対比をくっきりと浮かび上がらせていました。
志の輔は、この“損な噺”で、見事に客を引き込んでいました。

中入り後の、新良幸人と志田真木による沖縄歌謡と舞踊(初見)を間に挟んで、志の輔の二席目は「もう半分」。
先ず、この演し物の選定に驚かされます。確かに今は夏ですから、怪談噺というのはアリでしょう。しかしこの「もう半分」は、かなり陰惨な内容であるのと、例えば「牡丹灯篭」と比べて色彩感が無い。従って、演者の少ない演目なのです。
お婆さんものなど新作落語で一時代を築いた五代目古今亭今輔が、滅多にやらない古典の一つとして、時々高座にかけていた程度です。
娘を吉原に売って得た50両を酒屋に置き忘れる八百屋、それを届けようとする酒屋の主人、ネコババをそそのかす女房の性格付け。特に最初は金を届けるつもりの主人が、女房の説得で次第に心変わりする主人の心理描写が見事です。
志の輔の演出は、全体を芝居噺のように演じ、リアリティを出していました。
志の輔の明るい性格が、この噺の陰惨さを薄め、観客の共感を得ていました。熱演でした。
名実ともに、落語界の第一人者に成ったと言っても、決して誉め過ぎではないでしょう。

この日の客は、皆満足して家路につかれたでしょう。
ただ心配なのは、そのうちここの演芸場で、志の輔を見られなくなるということで、杞憂に終われば良いのですが.。

2005/07/10

ロンドンの同時多発テロについて

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7月7日ロンドンで起きた連続爆破事件は、50名を越す死者と700名の負傷者を生む大惨事となりました。しかも未だ遺体収容が難航する中で、犠牲者は更に増える可能性があります。同様の惨事に見舞われた、ニューヨーク、マドリッド、そして今回のロンドンいずれも、過去に訪問した都市であり、他人事とは思えません。
未だ犯人像は明らかでないが、アルカイダなどのイスラム過激派の犯行との見方が有力です。いかなる理由があるにせよ、こうした一般市民を標的にしたテロは、絶対に許すことは出来ません。

TVで見る限り、ロンドン市民の反応や、今回の事件直後に出された英国ブレア首相のメッセージは、抑制された印象を受けました。この辺りに、9・11後の、頭に血が上ったとしか思えない米国の反応との差、英国という国の成熟度を感じます。
ブレア首相を、“ブッシュのプードル”などと揶揄する向きもありますが、それは一面的な見方です。
確かにブレアは、右手では米国と握手していますが、左手はしっかりとEUに繋げています。ブッシュの単独行動主義をけん制し、EUやロシア、中国を含めた国際協調主義を構築するために、努力を重ねています。
この点は、我が国の“ポチ”とは大違いです。

米国の同時多発テロの後、ブッシュは“世界からテロを根絶する”と宣言し、テロとの戦いを高らかに宣言しました。しかしその結果は、テロリストを世界中に蔓延させる結果となっています。
9・11の実行犯達の多くは、サウディアラビアやエジプト出身者でした。それなのに、アルカイダをかくまっているという口実で、アフガニスタンで掃討作戦を行いました。
ところが、肝心のビン・ラディンはいまだに捕まえることが出来ず(わざと逃がしたという証言もあるようですが)、イスラム過激派の多数のメンバーは、アフガンを脱出し、他国に分散してしまいました。

次に、大量破壊兵器を所有しているという理由から、当時アルカイダとは繋がりの無かったイラクを攻撃し、占領しました。
戦争勝利宣言をしたものの、その後のイラクはますます治安が悪化し、こうした混乱につけこんで、イスラム過激派のテロがより激しくなってきたというのが、この間の流れです。
米国ブッシュ大統領の、十字軍宣言、イスラム全体を敵視してきたツケが今、回ってきています。

テロリストが、今後日本も標的にするという情報もあります。
イラク戦争に関連して、既に日本人で、現地大使館の奥克彦さんと井ノ上正盛さん、フリージャーナリストの橋田信介さんと小川功太郎さん、そして香田証生さんが犠牲となりました。
今日本がなすべきこととしては、米国のイラク戦争が誤りであったこと、これを支持してきた日本政府の判断もまた間違っていたことを認め、イラクから自衛隊を撤退させることです。

最後に、テロリストの皆さん(どう表現して良いのか分かりませんが)、どうか、我が国の一般市民を標的にするテロは、絶対にやらないで欲しい。
もし、どうしてもと仰るなら、サマワで自衛隊が攻撃を受けたら、敵を殲滅せよと主張している、
あの人を・・・・・、
もちろん冗談ですよ。

2005/07/08

ツアーな人々(おまけ)

海外のパッケージツアーでは、日通旅行の1回を除き、JTB、クラブツーリズム、阪急交通、新日本トラベル各社をほぼ均等に利用していますので、各社6-8回は使った計算になります。この内、明らかに添乗員のレベルが低かったは、新日本トラベルです。この会社、せっかく一味違った企画を持っているのに、モッタイない。
他社のツアーに参加して、最も多く聞く声は、「阪急交通で、嫌な思いをした、もう懲りた、二度と利用しない」です。私のように、「阪急、別に問題ないですよ」という意見は、少数派です。

でも前回の記事に寄せられた、タケチャンマンさんの次のようなご意見を聞くと、これは見過ごせません。
“私が現地の状況に詳しい数カ国だけでの話しですが、阪急交通社の使っているバス会社の評判は良くないケースが多いと言わざるを得ません。”
同様の意見は、他の掲示板にも見られます。
もし、コストダウンのために、安全に眼をつむっているようなら、JR西日本の二の舞になります。阪急交通は、こうした疑問について、利用者にキチンと回答すべきでしょう。

次はタケチャンマンさんの、旅行コストに関するコメントです。
“問題は安いツァーの場合、どうやってコストを下げる努力をするかです。
食事のレベルを下げる、レストランと交渉して少食な日本人向けに食事の量を減らす、ホテルの格を下げる、観光地から離れた田舎のホテルに泊める、(中略)安全上問題があると噂されているようなバス会社を使う、色々なコストの下げ方があります。”
正にこの通りです。安いツアーでは、この全てを含んでますから、覚悟が必要です。

激安ツアーでは、悲惨な話を聞きます。ハワイに行ったら、海岸から遠く離れたホテルに泊められ、「ここは、本当にハワイか?」とか。ニューヨークに着いたら、「このホテル周辺は、大変危険なところですから、外に出ないように。」と注意され、ついにホテルから一歩も出られなかったとか。
こんなんじゃあ、何のために旅行に行ったのか、分かりませんね。

前回の記事で漏れたことを追加します。
現地ガイド、これも旅の良し悪しに大きく影響します。
理想は日本人でその国が大好きで、長年暮らしている人です。そういう人は、その国の良さを一生懸命説明してくれるので、こちらも相手国に愛情を感じます。
でも、チェコの日本人ガイドは、横柄で不親切でした。そのせいか、チェコは余り良いイメージがないのです。
台湾のガイドは現地の人でしたが、日本の統治下で教育を受けたため、日本語がベラベラ。しかも、小説は古典から最新の作品まで眼を通し、日本の新聞も毎日読んでいるという、実に研究熱心な方でした。日本の文化について語られると、こっちが赤面するほどです。
このガイドは日本贔屓で、しかも大の中国嫌い、中国の悪口を一杯しゃべってくれました。こうした人が頑張ってるうちは、台湾は中国に返還されませんね。

コメント頂いた、うさぎさんのブログで紹介されていた世界地図ですが、赤く塗ってるところが、入国したことがある国です。
我ながら、何だか幼稚園児みたいですね。
worldmap


2005/07/07

ツアーな人々

tour
7月6日ドイツ南部で、トラックの荷崩れで、バスに乗っていた日本人ツアー7名が、重軽傷を負いました。旅行会社は阪急交通社で、以前にもペルー、エジプト、ギリシャなどで事故や事件にあっています。会社の体質に何か問題が・・・、と思われる向きもありますが、JTB社員の方に聞きましたら、全く関係なく単なる偶然でしょうと言ってました。死者が出なかったのは、不幸中の幸いでした。
こうした事故が起きると、直ぐに海外旅行は危険だと、短絡的に発想する方がいますが、日本にいても事故や事件にあうことがあり、要はどちらの確率が高いかで判断する必要があります。

海外渡航が30回を越え、その大半は団体ツアーです。旅行会社は特定せず、色々な会社のツアーに参加してます。結論から言うと、会社によるレベルの差は殆どありません。高いツアーは待遇が良いし、低価格が売り物のツアーは、当然サービスが悪い。
何事も、値段は正直なのです。
旅行者も、事前に価格を比較しておいて、参加するツアーのグレードと、受けられそうなサービス内容を想定しておいた方が良いと思います。

掲示板の中には、“阪急交通社”のスレッドを立て、同社主催のツアーを批判しているものもあります。
私の場合、過去記憶に残る優秀な添乗員に2回出会いましたが、2回とも阪急でした。一人は移動中のバスで、その国に関わる沢山の知識・エピソードを説明してくれ、全く退屈しませんでした。もう一人は、参加者の中に、情緒不安定な障害を持った方がいたのですが、献身的に対応していました。
こういう添乗員に出会うと、それだけで旅行が楽しくなります。
阪急の添乗員に、「添乗員一流、ホテルは三流」というと、苦笑いしていました。
逆に、ハズレ添乗員は若い女性に多い。現地ガイドに任せっきりで、何もしない。特に。現地ガイドが男性だったりすると、こいつらデキテんじゃあないかと、疑いたくなるような言動の添乗員もいます。

ツアーで私の場合、添乗員以上に悩まされるのは、むしろ参加者です。長い場合は、2週間も同じカマの飯を食うかけですから、アタリハズレは旅行の楽しさを大いに左右します。
毎日愚痴や文句ばかり言っている人、出された食事にマズイを連発する人、他人との接触を拒む人、甚だしくジコチュウな人、他人の悪口を言いふらす人、いずれも迷惑です。確率として、1ツァーに一人くらいの割合でいます。こういう方々は、是非個人旅行に行かれることを、お勧めしたい。
アタリの参加者では、自らが目と足に障害を持ちながら、ブラジルの障害者施設でボランティアを続けてこられた方と同じツアーになったことがありますが、話を聞くだけで心が洗われます。この時のツアーには、もう一人、身体障害者の方が参加していましたが、他の参加者全員が手分けして、お二人の行動を手助けしました。私が経験したツァーで、最も参加者のまとまりが良かったツァーでした。

添乗員から見て、困ったお客さんを聞きましたら、やはり理不尽な要求をする人を挙げました。結構多いのは「毎日雨ばかりで、なんとかならないの。」だそうです。
お客さん、何ともなりませんぜ。雨季に行きゃあ、雨に降られますぜ。
日程を検討する段階で、相手国の気温と降水量のデータくらいは、事前に調べておくべきでしょう。
南フランス地方を巡るツアーで、「どこ行っても田舎ばかりで、面白くない」と、文句を言われた添乗員がいました。田舎を回るツアーなんですから、仕方がないですよね。
滅多に観光客が行かないような遺跡ツァーで、ホテルが快適でないと不満を述べる人もいますが、そういう方はリゾートに行かれた方が良いでしょう。

旅行といえども、楽しさを左右するのは、結局人ですね。

段々馴れてきて、ツァーの目的やグレード、添乗員や参加者の質を判断して、そのツアーの中での“自分の位置取り”を決めるようにしています。そうすると、大概は楽しい旅行が出来るようになりました。

2005/07/04

第7回「志らく百席」

shiraku
立川志らく、談志門下きっての才人です。映画は脚本から監督、演劇の座長もこなし、落語論の著作も多い。じゃあ、こうした才人が、皆一流の芸人になるかといえば、そうは限らない、そこが芸能の世界の難しさです。その志らくが、現在“志らく百席”に挑んでいます。
ラインナップを見ると、軽い“道具屋”から、大ネタの“文七元結”まで、古典の名作の数々に、シネマ落語が6席混じっているところが、いかにも志らく。
第7回の志らく百席が、7月1日横浜にぎわい座でありました。

開口一番は、立川志ら乃。前座噺の“真田小僧”でしたが、この噺は、こましゃくれた子供が、大人をたぶらかすところに可笑しさがあるが、志ら乃の口調では、中学生くらいに見えてしまう。先日の国立演芸場で聞いた、前座の柳家さん作の“真田小僧”方が、出来が良かった。

この後志らくが連続2席、漫才の宮田陽・昇を挟んでもう1席と、3席を演じました。
この連続2席というのは、とても大変だと思います。落語は、先ずマクラから入って、次第にテンションをあげながら、最後にオチがくるわけです。ここから、一息つく暇も無く、次の噺に入るのですから。
これを避けるために、大半の独演会は通常2席にしているのでしょう。

1席目は“二十四孝”。三代目春風亭柳好が、得意ネタとしていました。自分の親や女房に暴力を振るう男を、大家が中国の故事を教訓に、諭すというストーリーですが、志らくは畳み掛けるようなテンポの良さで、一気に聞かせました。
随所に、新しい感覚のクスグリも入れて、自家薬籠中の物としていました。

連続の2席目は“化け物使い”。三代目桂三木助が得意としてましたし、最近では志ん朝の名演がありました。前半の人使いの荒い主人と実直な奉公人とのヤリトリ、後半の主人が化け物を脅かしながらこき使うところが、聞かせどころです。
マクラで、世の中に幽霊やお化けはいない、もしいたら広島球場で、バースがサヨナラホームランを打てるわけがないというあたり、いかにも志らくらしい。
本題に入ってから、欲を言えば、主人をもっと因業そうに演じたほうが良いでしょう。

3席目は“佃祭”。三代目三遊亭金馬が得意としたネタで、これも古今亭志ん朝の名演がありました。私の大好きな演目ですが、人情噺と滑稽噺が同居している、難しい演目です。
主な登場人物である、祭り好きの主人、嫉妬深い奥さん、3年前身投げをしようとして5両の金を与えて主人が助けた女、その亭主の船頭、通夜に来て的外れなクヤミを言って帰って行く長屋の連中、この演じ分けが眼目です。
しかも、暑い季節の中の涼風感も出さなくてはいけない、大ネタといっても良いでしょう。
志らくは、後半の通夜の場面はハイテンションで、面白く演じていました。
しかし、前半の主人と女との会話には、もう少し情感が欲しい。それと、主人が祭りに出掛けるときの服装を省略していましたが、この主人のいかにも趣味の良い、オットリとした性格の描写には欠かせないところなので、大事にして欲しい。

志らくは、ややくぐもった声質のため、早口になると聴き取り難い、これは噺家としてはハンデです。
三代目桂三木助が、声の音域が狭く暗い印象を与えるため、若い頃は随分と苦労したようですが、後年これを克服して、昭和の名人に加わりました。志らくも、これからより一層の努力が必要でしょう。

とにあれ、百席達成というのは、芸と興行の両方が成功しなくてはいけない、大変なプレッシャーだと思います。
古典を大事にして、果敢に挑む立川志らくに、拍手と声援を送ります。

2005/07/02

霞ヶ関の懲りない面々

urushima
サラリーマンを狙い打ちする大増税案が出て、ここのところ不機嫌なところに、またまた小腹が立った話題を一つ。
6月30日に行われた記者会見で、警察庁の漆間長官が、宮城県の浅野知事を「言語道断」と非難しました。警察の捜査用報償費が不正に流用されている疑いがあるとして、浅野知事が予算執行を停止しているのが、お気に召さないようです。

以前このブログでも採りあげましたが、昨年来全国の警察による不正流用、裏金作りが次々と明らかになり、その額は、発端となった北海道警だけでも、約10億円(この金額は、氷山の一角で、一桁違うという声もありますが)にのぼっています。他県でも、静岡、愛媛、福岡、京都などで、不正が発覚しています。
更に奇怪なことは、こうした調査が行われている中で、大半の県警や警視庁で、会計書類が“誤って”廃棄されていました。普通私たちは、これを証拠隠滅と呼びますが。

宮城県でも、県警の報償費に不正使用の疑いがあるため、浅野知事は予算執行の条件として、
①1999年度の会計文書の提出
②知事自身による捜査官のヒヤリング
を指示したのですが、県警がこれを拒否したため、現在執行停止になっているのです。

秘密が漏れて、捜査に支障が出るというのが、県警の拒否の理由です。
それなら、知事との間で秘密保持を確約すれば、済む話でしょう。
第一、県警というのは組織上、知事が所轄する県公安委員会の管理下にあるのですから、なぜ県警が上司である知事に報告書を出せないのか、理解に苦しみます。
こうなると、拒否するのは、何か他に理由があるのではと、勘ぐられても仕方ないでしょう。

捜査協力費について、今年の3月外国特派員協会で、元道警釧路方面本部長であった原田宏二氏が、次のようにスピーチしています。
「私は、その体験から捜査費が警察上層部の飲食や接待など使われ、実際に捜査をする警察官にはほとんど渡っていないことを知っていました。」
「そもそも、日本人は、警察に協力するのは善良な市民の当然の義務だとする考えが根強いのです。おそらく国民の大半は警察に「捜査協力謝礼」なる予算があることすら知らないでしょう。」
この証言が本当だとすれば、通常捜査協力に警察がお金を払う慣例が無いんですね。町会役員などしてますと、警察に協力することがありますが、確かに謝礼はでませんね。
しかも、大半は幹部の飲み食いに使っていると、これは実際に行ってきたご本人が仰っているのです。

警察庁といえば、全国の警察を指揮監督する部署でしょう。不正な裏金作りが行われているのでしたら、直ちに止めさせて、法に基づき予算を執行するよう指導すべきです。
それを県知事に対して、言語道断だと決め付けるのは、お門違いもいいとこです。
警察は、私たち市民の安全を守ってくれる、大切な組織です。だからこそ、自らの不正を正して、市民との信頼関係を保たねばならないでしょう。

もう一つ腑に落ちないのは、漆間長官が「捜査協力者は、県庁の中にもいる。」と、発言していることです。では、その県庁内部にいる協力者は、謝礼と引き換えに、警察にどうような情報を流しているのでしょうね。まさか、知事のスキャンダルを・・・、だとすれば今回の発言は恫喝・・・、まさか、そんなわけ無いか。

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