今「イラク」を考える(2)
結局は、米国はイラク攻撃に踏み切りました。短期間にイラクを制圧し、勝利宣言を行いました。しかし、大量破壊兵器は見つからず、フセイン独裁政権の打倒という、取って付けたような説明に変更しています。独裁政権など、世界中に掃いて捨てるほどあるわけで、何でイラクなのか、説明がつきません。
フセインの最大の失敗は、イラクの石油の決済を、ドルからユーロに代えたことだと言われています。米国は石油などの輸入品はドル札を増刷して支払い、貿易収支が赤字になれば米国債を売り、ドルを還流させるという、経済政策を運営しています。
もし石油産出国が、今後ドル建てをやめれば、米国経済は大きな打撃を受けることは、必至です。これは黙って見過ごすわけにはいかない。米国経済の根幹を揺るがす、重大問題ですから。
この辺りが、米国がイラク攻撃に踏み切った、本当の理由なのでしょう。
ブッシュ大統領の誤りの一つは、9・11直後の“十字軍”発言にあると思います。あれで、キリスト教対イスラム教の対立という図式が生まれてしまいました。
本当にフセインを孤立させたいなら、イスラムの中でも、フセインを孤立させなければならなかった。
あの発言の結果、米国はイスラム全体を敵にまわすことになり、米国の仲間と見られたスペイン、次いで英国がテロに見舞われました。
日本もターゲットにされる可能性が、出てきているのです。
日本の小泉政権は、イラク戦争について、二重の誤算がありました。
一つはブッシュの大量破壊兵器論を信じたことです。小泉首相の国会答弁でも、大量破壊兵器は必ず見つかると、繰り返し述べていました。しかし、結果は違っていた。
二つ目は、米国の勝利宣言を疑わず、戦闘行為の終結を前提に、イラクへに自衛隊を出したことです。
この結果、非戦闘地域に出したはずの自衛隊が、以前はオランダ軍、今はイギリス軍に守られて、駐屯地内でじっとしているといった、事態に陥っています。
従来親日的であった中東のイスラム諸国の、日本に対する眼差しが、厳しくなってきているようです。
小泉政権は、最初のボタンを掛け違いました。
それなら先ず、一番上のボタンから掛け直すしかないだろうというのが、私の主張です。
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この記事、01、02と書いてきたのですが、そのたびに真摯なコメントをいただき、ありがとうございます。
でも・・・まだ気が済みません(笑)。
どうして僕が「テロ」という言葉の使われ方に違和感を持つのか。しつこく考えてみようと思います。
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TBありがとうございます
アメリカの景気は回復してきています。 湾岸戦争が、アメリカの景気回復に貢献したように、イラクでの戦争もアメリカの景気回復に貢献してきたように思います。アメリカの雇用は守られたのです。
アメリカのイラクでの戦争は成功したと思います。それに追随した日本もおこぼれに預かれるかも知れません。
ボタンは掛け違えていません 正確に標的を射抜いています。
良い悪いを抜きに言えば、ブッシュは有能です。親父と違い再選しました。アメリカ人はブッシュを支持したのです。日本もそうです。
我々の生活がイラク人の血の上に築かれているということです。
それだけは忘れないようにしようと思っています。
投稿: morning thunder | 2005/07/17 10:25
TBありがとうございます。
やはり根底にあるのは石油に関する利権なんですね。
一部の特権階級のために多くの人々が利用されている状況に
もっと多くの人が気付くべきだと思います。
投稿: akaboshi07 | 2005/07/17 10:29
morning thunder 様
コメント有難うございます。
米国から見れば、イラク戦争は成功といえるかも知れません。反面、膨らむ一方の財政と経常収支の赤字に、対策が迫られています。
最近の米国内の一部世論調査では、60%の人が、イラクからの一部又は全部の撤退を望んでいますし、米議会内でも撤退が議論され始めています。
暫らくは、米国の動向を注視する必要があるでしょう。
投稿: home-9 | 2005/07/18 06:24