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2005/07/15

今「イラク」を考える(1)

bush1
ロンドンの同時多発テロの記事を書いた際に、自衛隊の撤退を主張しました。この件では、コメントで異論が寄せられています。最近の国内の世論調査では、撤退論がやや優勢ではありますが、確かに意見の分かれる問題です。

今回のロンドンでのテロについて、数多くのブログが採りあげていました。その多くが、日本でもテロが起きる可能性があるとの危機感を表明していましたが、500件ほど読んだ範囲では、自衛隊撤退に触れたものは皆無でした。
テロリストが日本を標的にするというのも、元々はイラク戦争に対する日本政府の態度、特に自衛隊派遣を理由としているもので、これは避けて通れない。そのため敢えて撤退論に触れたというのが真意です。
この時点で、日本のイラク政策が正しかったのかどうか、2回に分けて検証したいと思います。

ここで、9・11より現在に至る経過を、大ざっぱに追ってみたいと思います。
ニューヨークでの同時多発テロが、ビンラディンを首謀者とするアルカイダの犯行と断定した米国は、引渡し要求に応じなかったアフガニスタンを攻撃し、アルカイダ政権を倒し、親米政権を樹立しました。
しかしこの過程で、首謀者であるビンラディンなど、アルカイダやタリバンの幹部の多くを、取り逃がしています。
なぜこうした結果になったかですが、隣国のパキスタン政府の要請を、米国が拒否できなかったためと言われています。

アフガニスタン戦争では、パキスタン全土が米軍基地となりました。
このため、国内の政情安定を理由としたムヒャラフ大統領の強い要請を、米国が断り切れなかったようです。いずれにしろ、相当数の幹部が、パキスタンに逃れたのは、間違いないようです。
こうして米国のアフガニスタン攻略は、実に中途半端に終わってしまったわけです。

次に米国は、アルカイダとイラクが繋がっているというキャンペーンを始めます。しかし、いくら調べても両者の接点が見つからず、いつしか尻つぼみとなりました。
次に、米国が考えたのは、あの大量破壊兵器論です。フセインが密かに核兵器などの大量破壊兵器を準備しているという情報を、一斉に世界に発信しました。
米国がイラクから攻撃される前に、先にイラクを攻撃するという、いわゆる“先制攻撃”論が出されます。

私は当初から、これは有り得ないと確信していました。イラクを始め中東の石油産出国は、皆豊かな国です。こうした国々が、米国に対して戦争を仕掛ける理由がありません。
“石油持ち、喧嘩せず”です。
一方、近い将来国内の石油資源が枯渇する米国にとって、石油などのエネルギー資源確保は、切実な問題です。米国側には、リッパな理由がありました。

話は変わりますが、私はイラク戦争が始まる直前に、イランに行きました。
イランはご存知の通り、イラクと戦争しており、沢山のミサイル(全て米国製)が打ち込まれて、多くの犠牲者を出しています。ですから不倶戴天の敵であり、フセインに対するウラミは強いものでした。
それでも、米国のイラク攻撃の計画(当時は戦争前)については、イラクに同情的でした。
現地ガイドは、「米国は、イラン革命のときはイスラム指導者側を援助し、イランイラク戦争ではイラクに武器を送り、今度はそのイラクを爆撃する、全く何を考えてるのか分かりません」、と言ってました。
私も、同感です。

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コメント

アメリカ人の発想は単純です。西部劇の昔から!
「敵か?味方か?」これしかありません。味方でない者は敵!これも彼等米国人の発想です。
もう一つの重要なキーワードは現在アメリカ人の享受している物質文明の恩恵を受け続けられるかどうかです。
米国内産の石油だけでは彼等の望む生活は続けられません。この為には石油産油国が可能ならアメリカの傀儡政権、少なくとも超親米政権であることが必須条件です。
即ち、産油国は味方である必要があるのです。
イランもかってのパーレビ政権の時にはこの条件に当てはまりました。イラクも昔は・・・。
味方でない政権が産油国を支配するのは米国にとって望ましくない。だから味方になる政権と取り替えよう。
これが彼等の発想ではないでしょうか?
日本も石油は必要です。しかし米国の「産油国の政権を味方にすげ替える作戦」に同調して自衛隊をイラクに派遣し続けることが、日本の目的達成のために必要なのかどうか、はなはだ疑問です。もっと日本らしいやり方があるような気がします。
しかし、だからといって直ちに自衛隊をイラクから撤退させるべきかどうか、これも疑問です。
日本は石油の安定供給を受ける為にどう立ち回るのが得か?ここまではっきり言うと差し障りがあるのなら、世界平和の為にどのような貢献が一番日本らしいか?真剣に議論する必要があると思います。
郵政民営化なんかより、こっちの方が優先度は高い議論なのでは?

タケチャンマン様
石油資源の権益確保のために、自衛隊を派遣したというのは、事実だろうと思います。
その一方、経済的な利益を理由に、自衛隊を海外に派遣するという、悪しき前例を作ってしまったとも云えます。

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