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2005/08/22

第16回「鈴本夏まつり」

sankyo
1年の盆と正月くらいは、毎年同じ行動をしようと、ここ数年はお盆は鈴本演芸場に行っています。タイトルは「さん喬・権太楼特選集」として、毎年二人の噺家が一日置きにトリを務める趣向です。
今年の演者の顔ぶれを見ると、現在定席に出演している噺家の、ほぼベストメンバーと言って良いでしょう。当日も期待に違わぬ熱演を繰り広げていました。

さん喬門下の柳家小太郎は「羽織の遊び」、来春真打に昇進する若手ですが、手堅くまとめていました。

柳家三太楼は「初天神」、この噺、無理やり子供を連れて天神参りに行く父親と、駄菓子をねだる子供の掛け合いがテーマですが、三太楼は半分壊れかかった親子を演出して、場内の笑いを誘っていました。この人のとぼけた味が良く出ていた演目です。

柳亭市馬は「高砂や」、この噺はやや地味で、笑いが採り難い演目ですが、私が今迄に聞いた「高砂や」の中で、一番面白かった。市馬の魅力は、様子が良いことで、ちょっと若い頃の円楽を、髣髴とさせる所があります。私はこういう品のある噺家が好きなのです。

柳家喬太郎は「国民ヤミ年金」、当日ただ一人の新作落語です。国民年金が民営化され、ヤクザが年金滞納者の家へ、督促に押しかけるという筋ですが、最近の郵政民営化の話題を織り込みながら、軽快に演じていました。喬太郎は、つい先日までは若手と思っているうちに、いつの間にか中堅の落語家としての貫禄がついてきました。

中トリは古今亭志ん輔の「お見立て」、廓噺の古典です。女に嫌われているもも知らず、一途に通い続ける田舎のお大尽、さんざん金を使わせておきながら客を冷たく袖にする花魁、その二人の間にたって右往左往する若い衆、この3人の演じ分けが、この出し物の眼目です。
この光景は現在にも通ずるものがあり、客は笑いながらもこのお大尽に感情移入し、哀れさえ感じてしまいます。志ん朝の名演には遠く及ばないものの、志ん輔は熱演で盛り上げました。

中入り後は、漫才の昭和のいる・こいる。ここ最近、売れ出した頃の勢いを感じませんし、高座が少し雑になった印象を受けます。ひろし・順子と共に東京の漫才の屋台骨を支えているのですから、もっと精進して欲しい。

お目当ての柳家権太楼は「試し酒」、師匠柳家小さん譲りの噺です。権太楼の良さは、常に全力投球することで、下男が大きな杯で酒を飲み干す仕草がとても良い。杯を重ねる毎に段々酔いが回っていく姿は、実にリアルで、権太楼の芸風は、こうした明るい豪快な噺が向いてます。

寄席の踊りを挟んで、トリの柳家さん喬は「鰍沢」、近代落語の中興の祖というべき三遊亭園朝作の人情話。三遊亭円生の名演があるが、その円生にしても高座により出来不出来があった、難しい演目です。殆どが道に迷った旅人と、昔吉原で花魁をしていた女、この二人の会話で成り立っているのですが、話し込む内に、以前この旅人がお客であったこと、胴巻きの金に眼をつけ、旅人を殺そうと決意する女の心理描写が、この噺の眼目です。
さん喬の熱演に拘らず、女に色気と凄みが欠けており、それと後半の女が鉄砲で旅人を追い詰める場面で、緊迫感に欠けるうらみがありました。今後、一層噺を練り上げ、さん喬の十八番になることを期待します。
他に太神楽の鏡味仙三郎社中、曲独楽の柳家とし松が、名人芸を披露しました。

8月18日の鈴本は上客が多く、芸人と高座を大いに盛り上げていました。

2005/08/20

「手抜き工事」は続くよ、どこまでも

kitagawa
前回の記事で、宮城地震により仙台で起きたプール天井落下事故は、原因が「ふれ止め」の“手抜き工事”にあると推定しました。又、こうした問題が起きる要因として、工事監理の機能が働いていないことを指摘しました。これらの点を、もう少し詳細に見てゆきたいと思います。

日本の建物は、いろいろな決まり事が建築基準法という法律によって定められています。ただし建築基準法はその第1条に「建物の最低の基準を定める法律である」とあるように、最低基準しか定めていません。処が、その最低基準さえ守られていないのが現状です。
私たちが家を建てる(施主)場合、工事監理者を選定し届け出る必要がありますが、実際にはハウスメーカーや工務店が勝手に選定してしまう。マンションやビルの場合は、ゼネコンが工事監理者を決めています。工事監理者は、文字通り工事を監理し、仕様や図面通りに工事が行われているかをチェックする役割があるのですが、施工業者が決めている現状では、当然こうした機能は期待できません。

建築基準法では、建物が出来上がったときに、建築主が「工事完了届け」を行政に提出することになっています。行政は「完了届け」を受理した後に、完了検査を行い、合格した建物に「検査済証」を発行しています。今回の吊り天井のように、工事完了後は内部は見えないですから、仮に図面と違った工事が行われていても、完工検査でも分からないのです。
このように、吊り天井工事で“手抜き”が行われたとしても、現状では工事の当事者以外誰も分かりません。

もう一つの要因は、工事の発注形態があげられます。今回のような公共工事の場合、役所はゼネコンに工事を発注します。建物は実に多くの職種が関わります。室内工事を例にとれば、ゼネコンは先ず下請けの内装工事会社に発注します。次に下請けは、軽鉄(今回の吊り天井の金具工事を行う業者)、ボード貼り、クロス貼り、塗装などの各業者を孫請けとして発注します。
例を単純化しますが、この時にゼネコンが1億円で受注していれば下請けには8千万円で、下請けから孫請けには6400万円で、発注がきます。つまり利益は上から取ってゆく仕組みです。
最近のように談合が難しくなり、競争入札で予算が厳しくなって、仮にゼネコンが8千万円で受注すれば、孫請けの金額は5120万円となります。
前の例に比べて、1280万円もコストを下げられない、どうするか、どこかで“手抜き”するしかない。どうせ誰も分からないし。今回の件でも、地震さえなければ、明るみに出ることはないですから。

「何だ、ゼネコンばかり良い思いをしてる」、とお考えの向きもあるでしょう。そうではありません。
先ず政治家に多額の献金をして、見返りに工事予算を獲得して貰います。
国土交通省や地方自治体から沢山の“天下り”を受け入れて、見返りに受注を増やして貰います。
大学の建築学部の先生方に研究費を出して、イザという時に、会社に有利なデータを出して貰います。
こうした、営業経費を、ゼネコンは負担しています。
ですから、立派に”社会貢献”をしているのです。

一番問題なのは、こうした仕組み構図を十分把握している国土交通省が、何ら対策を講じないまま、放置していることです。こうした問題こそ、構造改革が必要なのです。
これからも、“手抜き工事”“欠陥住宅”は絶対に無くならない、私は断言します。

2005/08/19

プール天井落下は人災

miyagijishin
8月16日の宮城地震で、仙台市で竣工したばかりのスポーツ施設“スポパーク松森”で、プールの天井が落下し多数の負傷者が出ました。
最初にこのニュースを聞いた時、“ふれ止め”のことが、最初に頭をかすめました。案の定、その後の国土交通省の調査で、天井を吊るすワイヤに、揺れを抑える“ふれ止め”が、取り付けられていないことが判明しました。

今回のスポーツ施設に限らず、広い面積の室内の天井は、通常吊り天井となっています。屋根のハリなどから吊りボルトやワイヤをぶら下げて、その下に金具と取り付け、更にその金具に天井板を固定するという工法です。
吊りボルトと金具を付けた状態のイメージは、沢山の小さなブランコを屋根から下げたと想像してください。このままですと地震などの揺れで、吊りボルトと金具も揺れてしまい、後から取り付けた天井板が落下する恐れがあります。
そこで、吊るした吊りボルト同士を連結して揺れないようにする、これが“ふれ止め”です。
通常の吊り天井でも、取り付けられており、ましてやスポーツ施設のような広大な面積と、天井高さが高い施設では、当然取り付けるべきものです。

国土交通省は、過去の地震の教訓から、“ふれ止め”を取り付けるよう通達を出していたようですが、これが徹底していなかったようです。
施設工事の仕様書には、“ふれ止め”が盛り込まれていて、設計者と施工業者(ゼネコン)は付けた筈だと言っているようですが、付いていなかった。
これは想像ですが、天井など内装工事は、通常ゼネコンの下(孫)請けが行いますので、工事業者が手抜きをし、ゼネコンも見落としたのか、あるいは了承していたのか、その辺りが真相だと思います。

建築工事というのは、設計、施工、監理により成り立っていて、これらは本来独立した存在として、相互にチェック機能を果たしている筈なのです。処が我が国では、圧倒的にゼネコンの力が強い。特に工事の監理、これは工事が設計仕様書の通り行われているかをチェックする、大事な機能なのですが、この工事監理は、実際にはゼネコンの息のかかった会社が行っています。従って、本来のチェック機能を果たしていません。ここが日本の建築業界の、最大の問題点といって良いでしょう。
手抜き工事や欠陥住宅が度々話題になりますが、一番の原因は工事監理が有名無実になっていることです。

国土交通省も、勿論こうした実態は承知していますが、この役所もゼネコン丸抱えに近い。毎年多数のOBが、ゼネコンに天下りしてますので、文句が言えない仕組みになっています。
こうした関係は、厚生労働省と製薬会社、財務省と銀行・証券会社、防衛庁と機械メーカーなど、殆どの省
庁に見られます。

小泉首相は、目下郵政民営化にだけ邁進していますが、私はもっと国民生活に係わりの深い改革こそ、優先すべきだと思います。

2005/08/17

海外と日本のホテル

room
先週末京都ロイヤルホテルに2泊したのですが、日本のホテルの快適さを改めて認識しました。で、今回はホテルのお話。でも色っぽくはないですよ。
海外旅行で、たまには高級ホテルに泊まるのですが、格式ばかり高くて、設備やサービスはイマイチというところが多いのです。
海外でホテルの部屋に入ったら、先ずトイレが流れるか、蛇口からお湯が出るか、タオルは揃っているかを点検するのが、クセになりました。

数年前、米国ワシントンDCで、最高級ホテルと言われている“リッツ”に泊まった時は、フロントでいきなり“あなたの予約は、既にキャンセルされてます。”と言われ、唖然としたことがあります。そんな筈はないというと、部屋は空いてるから泊まれるという答えでした。自分達のミスは絶対に認めないんですね。まあ、これはホテルに限ったことではありませんが。
サンフランシスコのニッコーホテル、JAL直営で日本人には人気があるそうですが、チェックインを済ませて部屋に入ったら、シャワールームの配水管修理の真っ最中でした。もう間も無く終わるというので、街に出て時間をつぶしましたが、日本のホテルでは考えられないことです。

ホテルで最も重要なのは、トイレ、バス(シャワー)、ベッドです。海外のホテルでしばしば経験するのは、この設備の使い勝手が良くない。先ずトイレ、ペーパーホルダーの位置が、妙に使いにくい。便器の真後ろにあったりして、こっちは体操選手じゃあないんだから、身体は180度に曲げられません。
便座の位置が高いのも困る。座ったときに、足が床につかない。便座がフニャフニャ軟らかいのも、身体が安定しない。
余談ですが、海外の男性用小便器というのは、どうしてああ背が高いのかしら。私の身長は公称165cmですが、殆どの国で、爪先立ちして用を足しています。外国人でも身長が低い人は大勢いるのですから、日本のように低くすべきです。便器の高さだけは、“低は高を兼ねる”です。

バス(シャワー)では、排水の悪いところが多い。シャワーを浴びている時に、足下に水が溜まってくるのは、とても気色が悪い。あと、風呂の栓が閉まらず、結局バスタブが使えないことが多い。旅行中、ゴルフボールを持ち歩く日本人が多いのは、そのためです。
シャワーが固定式で、ハンディタイプのシャワーが付いていないものが多い。部分洗いができないのは、やはり不便です。シャワーの噴出し口が詰まっていて、お湯が真直ぐに出ないなんていうことも、珍しくない。
もっとひどいのは、ボイラーの容量不足で、シャワーの途中、お湯が水に変わってしまうことです。冬なら風邪を引きます。

さあ、寝ようと思うと、電気のスイッチが全て on と off だけ。日本ならビジネスホテルでも、ベッドサイドのライトは調光器がついてますけど。スイッチを切れば真っ暗で何も見えず、つければ明るくて眠れない。
海外では多くのホテルがそうで、あれは不便を感じないのかしら。

こうした当たり前のことが、当たり前にできているところが、日本の強みでしょう。
正に痒いところに、手が届くようにです。
人が便利さを追求する限りは、海外での日本製品の優位性は、これからも揺るがぬものと思います。

2005/08/10

小泉さん、「一言政治」は止めませんか

koizumi6
前回の記事で予測した民営化法案否決-解散-総選挙は、その通りになりました。解散について賛成と言いましたが、世論調査でも賛成意見が多いようです。経済に対する影響は無いと書きましたが、解散後の株価は上昇に転じ、経済界も同様の評価のようです。
予想が当たったからといって、何ということも無いのですが、ちょっと言いたかったもので、ヘヘ。

今回の総選挙は、首相は郵政民営化に対する国民の審判と言ってましたが、実質的に小泉首相に対する信任投票の色合いが強いと思われます。
依然として支持率が高く、評価の声も多いのですが、私は小泉首相の世論誘導とキャッチコピーの巧みさは認めるものの、政策の中身には大いに疑問があります。この点を、解散当日の記者会見を中心に、見てゆきたいと思います。

郵政民営化について、小泉氏は「民でできることは民で、官から民へ」のフレーズを繰り返していました。
確かに、これだけ聞けば、誰もがその通りと思います。業務・実務として考えれば、官庁・役所で行っている仕事は、殆どが民間でも可能でしょう。現在の閣僚の顔ぶれを拝見するに、大臣の仕事でさえ民間人の方が、遥かに優れた人材がいると思う時があるくらいです。もしかして総理大臣も・・・、まあこの辺で止めておきます。

いずれにしろ、「民でできることは民で」が理解できないから、国会で200時間近い審議をしたわけではないでしょう。
国会で何が議論され、何が問題となって否決され、その点を首相としてどうしようとするのか、これを明らかにして欲しかった。
それが相変わらずの“ワンフレーズ・ポリティックス”では、いつもでも説明責任を果たせません。

「民営化されても、郵便局はなくならないし、全国一律のユニバーサル・サービスもなくならない。」との国会答弁ですが、これははっきり言います、ウソです。
民間企業は利益をあげることが先決です。採算の合わない事業からは撤退し、利益を生まない営業所は閉鎖・縮小します。無論、民営化後の企業が、様々な工夫をして、ユニバーサル・サービスを維持したり、郵便局の統廃合を最小限にする可能性はあります。しかし、誰も断言できません。

郵便事業の全国一律サービスを維持するために、各国とも国営が大多数です。
アメリカも郵政公社(USPS)です。
民営化ではモデルケースといわれているドイツですが、確かに一律サービスは維持されていますが、郵便局の数は、10年間で2万9000局から1万4000局へ、半分に減っているそうです。
首相が、見通しを語ったり、希望を述べるのは自由ですが、将来の民間企業の具体的な方針は決められない。もし首相が経営の将来を決められるなら、それは民間企業ではありません。実質国営企業です。

小泉首相は、「郵政民営化は重要課題だ。しかしその結果、将来において、地方特に過疎地の郵便局が廃止になる可能性がある。全国一律のサービスも崩れるかもしれない。しかし民営化は必要だから実現したい。」と言うべきだと、私は思います。
「痛みを伴う改革」より「社会的弱者の犠牲を伴う改革」の方が、中身を正確に表すと思うのですが、総理、いかがですか。

次回は、小泉政権の、その他内政、外交政策について、検討したいと思います。

2005/08/07

否決-解散-総選挙って言うじゃない

koizumi5
いよいよ明日の参議院本会議で、郵政民営化法案が否決された場合、衆議院が解散となる可能性が高まってきました。ここで選挙をすれば、政治空白が生まれるという声がありますが、なに5月にこの法案の衆議院での審議が始まってから、ずっと政治空白になっているのですから、今更50歩100歩でしょう。日本経済に与える影響を心配する意見もありますが、元々民間はもう御上に頼っていませんから。いずれにしろ、余り問題は無いでしょう。

自民党の造反議員からは、法案はともかく小泉首相の政治手法が気に食わないから反対する、という声がよく聞かれます。私は逆で、小泉首相の政治手法は間違っていると思わないが、法案には反対なのです。小泉氏は、若い時から郵政民営化論者で、この姿勢は一貫しており、周囲の人はみなこれを知っていました。2回の自民党総裁選、国政選挙でも、小泉氏は郵政民営化を公約に掲げていました。

この点では、過去の自民党が、選挙のときはダンマリを決め込み、選挙が終わると途端に、消費税などの重要法案を提出するという公約隠しを行ってきたことに比べれば、フェアーと云えるでしょう。
そして、法案が参議院で否決されれば、それは内閣に対して議会が不信任したわけだから、衆議院を解散、選挙によって国民に直接信を問うということで、スジは通っていると思います。

一方国民の側から見れば、郵政民営化が具体的に成案となった時点で、この賛否を投票で示せるのですから、一種の直接性民主主義といえます。
その結果、自民党が壊れようが、政権が変わろうが、それは国民自身の責任です。森さん、青木さん、武部さん、ご心配なさらずとも結構ですよ。

もう一つ、小泉氏は、郵政民営化は改革の本丸と言い続けてきました。小泉政権の最大のキャッチコピーは、例の「痛みを伴う改革」でした。当時は、何となくこの言葉の響きに惹かれ、改革派は正義、守旧派は悪、という構図が描かれていました。
この4年間で、小泉改革の中身が明らかになり、痛みも国民のどの層の人々が、どのような痛みを受けるかも、次第に明らかになってきました。
従って、有権者としては、この改革をこのまま進めさせるのか、それともこれにSTOPをかけ軌道修正を迫るか、選挙で意思表示ができます。

もし、否決-解散―総選挙となれば、それは絶好の機会ですね。
明日を楽しみに待ちましょう。

2005/08/06

殺人の動機は「性的快楽」

sm
8月5日自殺サイトで女性を呼び出し殺害したとして、男が殺人と死体遺棄容疑で逮捕されました。容疑者は前上博容(36)で、今年2月2月19日大阪・河内長野市で、レンタカーの中で長元美智子さん(25)の手足を縛った上、口と鼻を押さえて窒息死させ、死体を埋めたものです。
男は「息ができなくて苦しむ様子を見て、性的興奮を覚えた。自殺するつもりは無かった。」と供述しています。更に同様の手口で、21歳の大学生と、14歳の中学生の殺害についても、供述を始めているようです。
この男は、過去中学生などの口をふさいだとして、傷害容疑で3回逮捕され、懲役10ヶ月の実刑判決を受けています。

首を絞めて苦しむ姿を見ると、性的に興奮するというのは、性的嗜好の一種です。そういえば、あの有名な「阿部定」事件は、首を絞められると、性的に興奮するという性癖から起きた事件でした。
今回の事件は殺人ですが、広義の性犯罪とも言えるでしょう。
こうした性的嗜好に起因する事件というのは、犯罪者の矯正が難しく、再犯率も高い、厄介な代物です。

性的嗜好というのは様々ですが、どんなに世間から見てヘンだとしても、犯罪でなければ許されます。
SMクラブで、女王様から鞭で叩かれようと、ピンヒールで顔を踏まれようと、おしっこを飲もうと、それは本人の自由です。オムツをあてて貰うと興奮する男性もいますし、女性を縄で縛らないと興奮しない男もいます。
以前、ある浮世絵師から話を聞いたことがありますが、普通は男女交情の図や、責め絵の注文が多いのだそうですが、客のリクエストの中には、理解に苦しむものがあるそうです。
背景が緑色でないとダメな人、高下駄を履いて唐傘をさした男を描いてないと興奮しない人、とてもヘンですが、でも犯罪ではありません。
性的嗜好というのは実にオクがフカイ、と妙に感心してしまいました。

下着フェチや女装趣味は犯罪ではありませんが、下着を盗めば犯罪ですし、着替えを覗いたり、スカートの下から下着を撮影すれば、犯罪です。露出狂、痴漢行為ももちろん犯罪ですね。
もっと深刻な、小児性愛者というのもあり、子供に対する性犯罪で、いつも問題となるところです。
しかし性的嗜好という観点で見れば、みな紙一重という感じもします。
ここに性的嗜好に起因する犯罪防止の難しさが、あるのだと思います。

こういった人々も、普段はごく普通の社会人なのでしょう。今回のこの前上という男も、会社では仕事熱心だったようで、周囲の人は誰も、彼の性癖に気が付かなかった。
性犯罪の防止には米国のメーガン法など、過去の犯歴と本人の所在を公開する制度がありますが、この事件のケースでは効果が疑わしい。
性犯罪加害者の更生プログラムというのも、度々話題に上りますが、俗にいう精神分析療法やカウンセリングなどは、殆ど効果が無いという調査結果もあるようです。

どのような犯罪でも、受刑者の矯正と再犯防止は、今のところ有効な手立てがありません。
取り敢えずの解決策としては、終身刑の導入も、検討の余地があると思いますが。

2005/08/03

身近にあった「人身売買」(その1)

私が未だ中学生のころ、1950年代の後半の話しで、少し身内の恥を晒すような話しですが、私の伯父に鉄五郎という人がいまして、仕事師だったんですが、博打が大好きでした。この息子、私の従兄にあたりますが、この人の名前は鉄なんとかと言ってました。私たちは、オヤジの方を大鉄、息子の方は小鉄と呼んでました。
その小鉄ですが、怠け者で定職に就かず、ニコヨンと呼ばれていた当時の失対事業で、1日240円の日銭稼ぎの生活です。処が、博打好きだけは親譲りで、いつもピーピーしてました。

小鉄はそれでも女に手を出すのだけは早くて、20代初めには所帯を持ちました。所帯たって、とにかく小鉄は働かず、博打ばかり打っているのですから、生活が成り立たない。そこで、女房が飲み屋に働きに出ていたのです。
その女というのは、美人じゃあなかったが、中肉中背の、いわゆる男好きのするタイプだったと記憶しています。歳は、当時でまだ20代半ばってところでしょうか。

その飲み屋に、クズヤが通って来ていた。当時「クズやー、お払い」といって、一般家庭を回って、クズを買い集めていた商売、今なら環境事業自営業者とでも云うんでしょうね。そのクズヤが、女に惚れちまった。もう40過ぎのいい歳だったのですが独身で、職業柄、いままで女性とお付き合いするチャンスが、無かったんでしょうね。
だけど、小鉄という立派な(あまり立派とは言えないが)亭主がいる。そこで思い余ったクズヤが、小鉄の所に乗り込んできて、女房を譲ってくれと懇願した。小鉄は、そんなら50万円出すなら、お前に譲ってやると、啖呵を切った。当時大学卒の初任給が1万円に達していない頃の50万円、今なら1000万円近い大金です。どうせ出やしないと、高をくくっていたんでしょう。

ところが、クズヤはそれなら50万円出しましょうと言い出した。結構金も貯めていたんでしょうが、余程その女に惚れてたんでしょうね。
小鉄も、言い出した手前後に引けず、そんなら50万円で手を打とうと話がまとまり、その女房はクズヤに売られてしまった。

でもこの「人身売買」、誰も損をしていなのです。
クズヤは、惚れた女と待望の所帯を持つことができた。
女は今までの極貧生活から抜け出して、自営業者夫人に納まり、幸せな生活を送れるようになった。
小鉄は、一度に夢のような大金を手にして有頂天、女房が50万円で売れたと、親戚近所に触れ回っていました。
三方が、みなハッピーな「人身売買」になったわけです。
メデタシ、メデタシ。

2005/08/01

愛読「ブログ」

自分でブログを書くようになってから、他のブログを読むことも増えました。私の場合新しい記事を書く際に、キーワード検索で、同一のテーマでどんな記事が書かれているかを、必ず調べます。この辺り、見かけによらず真面目なのであります。そうして、いくつかのブログを見ていくうちに、優れたもの、面白いものは「お気に入り」に入れて、定期的に閲覧しています。その中のいくつかを、ご紹介します。ブログのタイトルと、URL,()内は管理人名です。 

◆木偶の妄言◆(brotherjin)

http://brotherjin.exblog.jp/

ブログの中に、私がオピニオン系に分類しているブログがあります。雑誌で言えば「論座」とか「正論」ですかね。主に政治、経済、時事問題をテーマに採りあげ解説し、自己の見解を主張するという形式です。硬派なブログですね。

こちらのブログは、硬派の記事に、サッカーや業界の話(本業はライター)を織り交ぜて、読みやすいブログに仕立てています。

雑誌「世界」で紹介されるなど、既にメジャーな存在になっていますが、毎日数百人が閲覧しているのは、管理人の文章力でしょう。

それと、靖国参拝問題などビミョーなテーマを繰り返し採りあげていますが、コメントが荒れません。この点も感心します。 

エントロピーは増大し続ける・・・(teshape_p

http://teshape.exblog.jp/

こちらもオピニオン系ですが、ここのところ管理人が寒天ダイエットに凝っておられ、日々の減量記録が掲載されています。

しかし、こちらのブログが最も精彩を放つ(と感じる)のは、やはり政治、時事をテーマにした時だと思います。靖国参拝問題を断続的に採りあげていますが、関連する多くの資料に眼を配り、それを分かり易く解説する手際は見事です。それと、書き手が絶対にアツクならないのが良いですね。

5月27日の記事では、多くのブログの記事に見られる、非論理性を鋭く衝き(ウーン、耳が痛い)、 7月3日の記事では、最近よく耳にする「ジェンダーフリー教育」という言葉が、実は提唱者であるバーバラ・ヒューストン氏の原典を、日本人学者が誤読し、全く正反対に解釈したものだということを紹介しています。

こうした記事は、理系の管理人の面目躍如たるところでしょうか。

 

インターネットの普及で本当に便利になったか?(柴田晴廣

http://blog.goo.ne.jp/zxcv_002

ブログの中には、特定のテーマについて、シリーズで書かれているものがあります。この中には記事というより、論文に近いものがあります。この論文系ブログの代表として、こちらのブログを採り上げました。6月には「この国の思想」、7月には「この国のあり方」という長期のシリーズが連載されています。

その7月のシリーズ中に、更に「相撲部屋の継承と女性天皇」シリーズが含まれていて、この天皇(及び大相撲)に関する記事が実に詳細を極めています。「なぜそんなに詳しいの?」と、聞いてみたくなりますね。そして私が何より驚異を覚えるのは、これだけの長文(一度訪問すれば分かります)を、週に5本も書かれていることです。私の様に、駄文を週3回書いてフーフー言ってるのが、恥ずかしくなります。

この管理人の、天皇については、国の体制から切り離して考えるべきで、文化として残すという意見は傾聴に値しますし、7月30日の「君が代」の起源についての説を読むと、私など、ただただ“ヘーボタン”を押し続けるのみです。 

世界読書放浪(neto)

http://www.doblog.com/weblog/myblog/33838

表題が示す通り、海外に関する本の書評です。海外本といっても、いわゆる旅行記といった狭い意味ではなく、広い意味での海外本が対象です。

先ず驚くのは、こちらのブログもほぼ毎日ニューエントリーされ、時には一日に2つの書評が載ることもあります。

私も、恥ずかしながらamazon.comに、何本か書評を投稿したことがありますが、これが意外と大変な作業です。あれを毎日やれといわれたら、気が遠くなりますね。

7月末現在で、記事数が1067とされてますので、1000冊を越える本の書評が書かれたことになります。私の意見と異なるケースもありますが、日々書き続けておられるその精神力とエネルギーには、敬服します。実際の世界一周より、こちらの本の世界一周の方が、遥かに大変そうです。 

うさぎさん日記(うさぎ)

http://chappy25.cocolog-nifty.com/blog/

ブログで最も多いのは、日常の身辺を記録した、日記風エッセーです。本人を知っていれば別でしょうが、面白いものは少ないようです。

ここで採り上げた表題のブログは、管理人の感性と生き方、文章力で、毎回旅行記を中心とした、魅力的な記事が書かれています。

7月30日の記事で、ご本人が参加している老舗の楽団の話が紹介されていますが、まるで現代の社会、企業の縮図のようで、興味を惹かれました。

読んでいて、心が和む、癒し系、はまり物のブログです。

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