不可解な「アマゾン・ドットコム」の対応
9月17日付のネット・ニュース“ZAKZAK”に、気になる記事が載っていました。ロングセラーで、通常の書店で入手できるある書籍が、ネット書店最大手の“アマゾン・ドットコム”で、1年以上品切れになったまま、購入できない状態が続いているという記事です。
実は私もその本を、アマゾンで申し込んだのですが、発売間も無く突然品切れとなり、2週間後にようやく購入できました。処が、その後直ぐに再び品切れとなり、そのまま放置されていたので、不自然さを感じていました。
その本の名は、『拒否できない日本』(関岡英之著、文春新書)です。
内容は、米国政府が毎年10月に日本に提出する、「年次改革要望書」の存在を暴いたものです。この本で、現在小泉政権が進めている郵政民営化法案などの構造改革、規制緩和政策などが、この「要望書」通りに実現されていることが、指摘されています。
この「要望書」ですが、1994年以来毎年、米国政府より日本政府に渡され、毎年3月その進捗状況が米国連邦議会に報告されています。
「要望書」はアメリカ大使館のHPでも公開されていて、誰でも見ることが出来ます。
「要望書」の中身は、通信、エネルギー、金融、流通から医療制度、公正取引委員会と独占禁止法、商法、司法制度改革、郵貯・簡保など公益法人の民営化政策。個別産業分野から法制度、行政と司法のあり方まで、一国のあらゆる分野を網羅しており、米国政府による、「日本改造計画書」と呼べるものです。
著者によれば、この10年来、日本政府はほぼこの「要望書」に従って政策を立案しており、「要望書」を見れば、日本政府の方針が分かると言うのです。
アメリカ政府が、こうした要求を日本政府に行うこと自体は、必ずしも不当なものとは言えません。
問題は日本政府が、当初からこの「要望書」の存在を、国民に明らかにしていないこと、そして何故か新聞など報道機関も、この問題に触れてこなかった、この点を著者は指摘してわけです。
例えば竹中平蔵郵政民営化担当相は、平成16年10月19日の衆院予算委で「存じ上げております」と答弁しながら、郵政法案の審議が大詰めを迎えた今年8月2日の参院郵政特別委では、「見たこともありません」と、答弁を一転させています。
郵政民営化を進める理由の一つに、米国政府からの強い要請がありますが、どうも政府はこのことに触れたくないようです。何か、やましいことでもあるのでしょうか。
先のアマゾン社の品切れについては、出版元の文藝春秋社や著者の関岡氏が、度々問い合わせを行いましたが、アマゾン社から回答が無いし、改善もなされていないそうです。
関岡氏は「アマゾンは、私の本が読まれると、要望書の存在が広く知られ、嫌米論調を刺激することになるのを避けたいのでしょうか」と、コメントしています。
ことは言論・出版に関わる問題です。アマゾン社は、積極的に真相を明らかにし、利用者に説明を行う義務があると思います。
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ナゼ読めない…「アマゾン」で1年超も品切れの本
米が日本に提出する「年次要望書」の存在を暴く
その本とは 『拒否できない日本』(関岡英之・著、文春新書)
有隣堂ヨドバシAKIBA店にも、電話してみるが、「その本は現在、話題になっていて、売り場にはございません。」という。
「取り寄せですか?」と聞くと、「そうだ」という。
書店発注ならどこでも同じだろうと、丸善に発注しておきた。
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TBありがとうございました。
やはり要望書の通り、国が動いているというのが不可解ですし、何でも揃うはずのアマゾンにない、不足のまま放置されている、というのも、しかるべき方面からの圧力を感じます。
難しい本かなぁ、読んでもわからないところが多いのかなぁ、という不安もあるのですが、廃版にする理由もないでしょうから、この事実はもっと大々的に知られていいと思います。
投稿: お疲れ | 2005/09/18 10:30
お疲れ様
コメント有難うございます。
著者の関岡氏は、米国が日本に対して、こうした要求をすることを、非難していません。むしろ、各国が国益に基づき、自らの主張をすることは当然と考えています。
問題は、それを唯々諾々として、右から左に言われる通り実行している日本政府です。しかも、米国からそうした要請のあることさえ、公にしない、その姿勢を問題視しているのです。
本の趣旨は、極めて明快で、文章も読みやすく書かれていますので、多くの方が一度目を通されることを希望します。
投稿: home-9 | 2005/09/18 13:23
はじめまして。ぼくてきと申します。
私もこの本を読み、自分のブログ(同じココログ)に駄文を書きました。少しでも多くの方に読んでほしい本ですよね。
このサイトにはgooの検索から参りました。
なぜか、ココログの検索では「拒否できない日本」が一件もヒットしないからです。ヒットしないことについて昨日書いたところ、書いた当日の夜までは「拒否できない日本」の全文検索にかかったのに、今日になったらまた消えていました。
使っているココログさんを疑いたくないけど、毎日検索から「「拒否できない日本」を消している」ように見えていやです(事実は「ここ3日ほど、毎日なぜか消えている」ということだけですが)・・・。
ながながと済みません。ココログの全文検索自体が去年の秋頃始まったようなので、まあ大した事ではないのかもしれませんが・・。
投稿: ぼくてき | 2005/09/21 10:43
日本では見えない言論統制が行われています。
どうやら、ココログにも圧力がかかったようですね。
一度ヒットしたものが消えるということは、明らかにおかしいです。
暴走首相に
http://www.asyura2.com/0505/senkyo12/msg/978.html
http://www.asyura2.com/0406/bd37/msg/810.html
http://asyura2.com/0411/hasan38/msg/211.html
http://www.asyura2.com/0505/senkyo13/msg/619.html
裏から操る同盟国の真の支配者に
http://www15.ocn.ne.jp/~oyakodon/newversion/sinbunterebiiranaiyo.htm
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200410030000/
http://homepage2.nifty.com/silverring/stanleyhilton.htm
周辺国に
http://www.asyura2.com/0502/senkyo9/msg/207.html
http://www.geocities.jp/japanguardian/
http://sapporo.cool.ne.jp/rati_yurusan/
http://www.nikaidou.com/
http://konn.seesaa.net/article/4022996.html
政治に干渉する宗教に
http://www.toride.org/
http://web.archive.org/web/20021205072103/justicere.hp.infoseek.co.jp/index.htm
危ない法律に
http://blog.livedoor.jp/monster_00/
http://www.geocities.jp/sanseiken_hantai/
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/anti/yuugai2.html
食べると危ない食べ物に
http://blog.livedoor.jp/safe_food_of_asia/archives/50010839.html
http://asyura2.com/0311/lunchbreak2/msg/321.html
http://www.asyura2.com/syokuhin.htm
投稿: 通りすがり | 2005/11/05 12:23