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2005/10/24

国立演芸場「芸術祭寄席・夜の部」

utamaru
現在東京に、ということは日本に、いや世界に寄席の定席(一年中落語を上演している劇場)は4軒だけです。浅草、上野、新宿、池袋(ここはいつも空いてるので有名)と、さすが繁華街にあります。
これは、お参りに行った帰りに、お花見の後で、買い物ついでにというように、何かのついでに行ける利点があるからでしょうね。

そこいくと国立演芸場、三宅坂の最高裁判所の裏ですからね、こちらはついでに行く所じゃない。最高裁小法廷に証人として出廷した帰りに落語でも聞いて・・・、そんな人はいませんやね。だからここだけは、わざわざ来る人ばかりです。
以前は、特別興業でも当日入れたんですが、最近は人気番組になると予約で完売、10月23日の「芸術祭寄席・夜の部」も大入りでした。
本当は寄席なんぞ、予約で行く所じゃないんだけどね。

この日は、歌丸、小遊三という“笑点”の人気者二人(この二人だけは実力を伴っている)の出演です。“笑点”といえば、三遊亭圓楽の入院、心配ですね。5月に高座を見た時に、盛んに手拭いで口を拭いていて、何か麻痺でもあるのかと気がかりだったのですが。

前座は桂夏丸で「課長の犬」。前座には珍しい新作もの、多分どこやらの大学オチ研出身でしょうが、手堅くまとめてました。
来年柳家小さんを襲名する柳家三語桜は、「親子酒」。先代小さんの息子さんで、中堅実力派の噺家です。正統派古典一筋で、噺も上手い。でも何かが足りない。この何かが、大看板になるための必須条件です。
話は変わりますが、私は最近の落語界で世襲が目立つのは、気に入らない。歌舞伎じゃあないんだから。この世界だけは、実力本位でいってもらいたいですね。いろいろ内部事情があったのでしょうが、大名代の柳家小さんは、やはり一番弟子の柳家小三治に継いで欲しかった。

三遊亭小遊三、落語芸術協会の押しも押されもせぬ大看板になりました。当日の演目は「野ざらし」。この噺、元々は陰気な内容だったんだそうですが、三代目春風亭柳好が改作し、現在の賑やかな形に変えました。私はその柳好の高座を、何回か見てます。(お前、歳いくつだよ、と言われそう)。小遊三は持ち前の明るさが、この噺と良くあって、実に楽しい高座となりました。軽く演じているようですが、相当工夫をしており、いい出来でした。
欲を言えば、小遊三は小唄、端唄、都々逸といった俗謡の素養に欠ける。ここを克服すると、この噺はもっと生きてくると思います。

曲芸のボンボンブラザース、私はこのコンビが大好きです。二人とも一口もしゃべらず、黙々と芸をするのが良いですね。それと、細長い紙を額の上に立てる芸、いつ見ても大笑いです。帽子を使ったジャグラーも、このコンビだけの持ちネタです。

トリは桂歌丸で「井戸の茶碗」。歌丸は今や落語芸術協会会長であり、名実共に第一人者になりました。
歌丸の高座は年1回位しか見ませんが、感心するのは見る度に上手くなってることです。あの歳で、まだまだ発展途上にある、これが歌丸の偉さですね。
この日の高座も、若い武士、年配の浪人、紙屑屋、この三人をキッチリと演じ分けていて、大変気分の良い高座となりました。
芸術祭らしく熱演が続き、客も満足して帰ったと思います。

他に操り人形のニューマリオネット、講談の一龍斎貞水が出演。

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コメント

 池袋の演芸場には、学生時代に、ちょくちょく足を運びました。

投稿: 柴田晴廣 | 2005/10/24 18:59

お久しぶりでございます!トラバ頂き、ありがとうございます。
「別館」の方も時々立ち寄らせていただき、イスラエル気候など読ませていただいております。イスラエル、是非一度は行ってみたい!

私は最近落語ファンになったので、いつ行ってもフラッと入れる寄席のほうがかえって少なく、チケット取りに頭を悩ませることもしばしばです。
本来寄席というものは、フラッと入れてフラッと帰れるというところが魅力なのだとのことですが、そうすると前売り指定席に慣れた新規顧客の開拓はできない・・・。そのあたり悩ましいところですね。
私自身は、小朝師匠が銀座落語会や、先日の花緑師の鈴本10日間興行の時に、敢えて寄席に前売り指定席制を取り入れるなど、それはそれで新しい試みとしては、時代に即した制度なのかと思いながらも、これまでのファンの方たちは、それを知らずに来た場合「え?早く来たのに前売りで指定席完売?いつからそうなったの?」という事態になりかねず、致し返しかなと思っています。

これからも落語という演芸を残していくには時代に即したものを提供することは大事だとは思うのですが、一方で伝統を継承する必要もあり、落語を見る人、聞く人も少しだけでもこうした側面を気に留められれば、と思います。

あら、コメント欄に生意気なことをごたごたと・・・。失礼致しました・・・・。

投稿: 築地の柳 | 2005/10/25 00:26

柴田晴廣様
私の場合は、新宿末広亭をメインに、上野鈴本演芸場、浅草演芸場、そして残念ながら閉館してしまった人形町末広といったところです。

投稿: home-9 | 2005/10/25 04:36

築地の柳様
ようこそ。お忙しい仕事の合間を縫っての寄席通い、ブログを拝見していつも感心しています。
私も最近ブログに記事を書く関係で、噺を聞きながらメモを取りますが、以前はそういう客がいると、周囲から変な目で見られたものです。
前売り、予約、こうした事も時代の流れなのでしょうね。
ただ芝居だの寄席だのという分野は、やはり本来は気が向いた時にふらっと入るという性格のものだと思うんですけど。
こうして好きな時に寄席に行けるというのは、東京に住んでいる人間の特権です。ですから私は、東京以外に住みたいと思う街はありません。
9代目桂文治の口癖じゃあないけど、「ニッポン人はやっぱり寄席へ来なくっちゃいけません」。

投稿: home-9 | 2005/10/25 05:00

いまさらですが、小せん師が亡くなった今、先代小さん師匠の弟子では、小三治師でなく、さん助師が筆頭かと思いますが・・・。

投稿: 通りすがり | 2008/05/19 01:43

通りすがり様
2件のコメント有難うございます。
確かに筆頭弟子はさん助で、これは勉強不足でした。
五妻も寝取られりゃ一盗に昇格ですね。女の側から見た男の順位はどうなるのか、訊いてみたい所です。

投稿: home-9 | 2008/05/19 09:02

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