« 現代保育事情 | トップページ | 国際テロの背景(その2) »

2005/10/12

国際テロの背景(その1)

binladen
ここのところパキスタンとインドを襲った大地震の陰に隠れた感がありますが、インドネシア・バリ島で起きた爆弾テロのその後、捜査は殆ど進展が無いようです。10月1日に起きたテロにより、死者は日本人一人を含む22人、負傷者は120人を越えています。
バリ島では2002年10月に大規模な爆弾テロが発生、日本人を含む二百二人が犠牲になりました。治安当局は国際テロ組織アルカイダとのつながりが指摘されているジェマ・イスラミア(JI)による犯行と断定しています。今回の同時テロについても、JIが関与したとの疑いを強めています。

インドネシア政府は、2002年のテロ事件の後、JIに対する取締りを宣言しましたが、一部イスラム教の反発を受け、アイマイにしたことが、今回の事件を招いたとの批判が起きています。

こうしたテロが起きるたびに、日本のマスコミの論調は、テロは絶対に許せない、しかしテロを根本的に廃絶するのは、イスラム教国の貧困と抑圧を無くすことが大切だという主張を繰り返してきました。これは果たして本当なのでしょうか。最近私はどうもこの理論が疑わしいと思えてなりません。
例えば我が国で起きた戦後のテロ事件を振り返りますと、右翼少年による浅沼社会党委員長刺殺事件、赤軍派や連合赤軍を名乗るメンバーによるビルの爆破やハイジャック、空港での乱射事件、オウム真理教による地下鉄サリン事件、いずれをとっても、貧困や抑圧とは全く無関係なものばかりです。

これらはいずれも特殊なイデオロギーに洗脳された人たちによる犯罪であり、責任はむしろそうしたイデオロギーを植えつけた指導者の存在ではないでしょうか。
バリ島テロの首謀者と目されるJIですが、彼らの主張はインドネシアやマレーシア、フィリピン南部を統合するイスラム国家樹立を目指すというものです。こんな荒唐無稽な主張が実現する筈が無い。
日本のテロ事件との類似性を求めるなら、オウム真理教の一連の事件に近いと言えます。宗教的信念に基づく政治的主張の実現です。

テロの背景を考える上で、もう一つ注目しなければならないのは、最近とみに聞かれるアルカイダと米国CIAとの繋がりです。
元々は、アフガニスタンでのアルカイダ掃討作戦で、米軍はビンラディンを追い詰めては逃がし追い詰めては逃がしを何回も繰り返したことから、疑いが持たれ始めたのです。
例えばフランスのフィガロ紙が、ビンラディンが9・11直前の2001年7月、中東ドバイのアメリカン病院に、腎臓の病気を治療するため入院し、その入院中にアメリカCIA要員やサウジ高官などが、面会に訪れていたことを報じています。
又最近では、トルコの大手紙「ザマン」が、トルコ当局がアルカイダNo.5のルアイ・サクラを逮捕し、取り調べたところ、自分はCIAのエージェントとして、多額の資金を貰って活動をしていたと自供したと、報道しています。

CIAとアルカイダの結びつきは、今後の検証を待たなくてはなりませんが、先のザマン紙に語ったトルコのテロ専門家のコメントは、国際テロの背景を考える上で、留意する必要があると考えます。
「アルカイダという名前の組織は存在しない。アルカイダとは、テロ戦争を永続できる状況を作ることを目的として、CIAなどの諜報機関が行っている作戦の名前である」。
「テロ戦争の目的は、常に低強度の危機が持続している状態を作ることで(アメリカが世界から頼られる)単独覇権体制を維持することにある」。
(この項、「田中宇の国際ニュース解説」より引用)

|

« 現代保育事情 | トップページ | 国際テロの背景(その2) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

トラックバックありがとう。
どうしてもそこへ帰結するわけじゃな。
田中宇も時に突拍子もないことを書くようじゃが、一般通念とは違うところで世の中が動いておるのは事実のようじゃのう。

投稿: 好々爺 | 2005/10/12 15:56

 異なる視点から見る必要があるということ、もっともなことだと思います。
 またまた、親記事からはずれ「身近にあった「人身売買」(その2)」のコメントの続きのようになりますが、私は、地球温暖化とソ連崩壊っていうのは、私は無縁じゃないと思っているんです。
 旧ソ連っていうのは、地理的にみれば、長い海岸線を有する海洋国家です。しかし、その海岸線の多くは北極海に面し氷で閉ざされ、実質的には、大陸国家でした。
 地球温暖化という言葉が出始めた頃、ソ連崩壊が始まりました。極地の氷が解け、本来の海岸の機能を回復し、海洋国家としての様相をソ連がもち、地理政治学の当然の帰結から海洋国家のあるべき姿市場経済に移行した、このように考えられるのではないかと思います。
 温暖化、温暖化といかにも温暖化=悪のようにいっていますが、排気ガスなどなくても縄文時代など今より温暖で海面は、今より5~10メートル上昇していました(縄文海進)。
 先日のニューオリンズではありませんが、先進国の中には、ベネルクス諸国のように、海進になれば、国土がなくなる国もあります。
 一方、途上国の中には、温暖化により恩恵を受ける国もあるはずです。私は、地球全体から見れば、もう少し温暖化した方がいいように思います。
 これも国土が海に沈む先進国の言い分だけが先行しているからでしょう。

投稿: 柴田晴廣 | 2005/10/12 19:41

好々爺 様
コメント有難うございます。
ブログの記事を拝見した感想としては、「好々爺」というよりは、「ご意見番」という名前の方がピッタリと感じました。

投稿: home-9 | 2005/10/12 20:28

柴田晴廣様
地政学から現実政治を論ずるのは、決して万能とは思いませんが、こと日本の周辺国との関係を見て行く場合は、有効な手段だと思います。
温暖化について、温暖化そのものより、寧ろその原因とするところがどの様な二次的作用を及ぼすかが、専ら論じられている傾向にあります。
仰る通り、温暖化それ自身が、世界全体に与える影響を分析することも大事ですね。

投稿: home-9 | 2005/10/12 20:39

TB有難うございます。なるほど、ジェマ・イスラミアにはそういう主張があるのですか。大東亜帝国樹立なみに大風呂敷ですね。自らの信仰心を他人に押しつけても・・・。この辺りが原理主義者と言われる人たちの理解に苦しむ所なんですが、すり込みというか、洗脳のなせる技なのでしょうか?彼らの動機を理解するにはまだまだ時間が掛かりそうです。
CIAとアルカイダの繋がりは僕も噂程度では聞いたことがありますし、実際ソ連のアフガン侵攻ではアメリカはラディン(タリバンでしたっけ?すみません曖昧で。)にずいぶん援助をしたようですしね。どこまでが真実かはともかく、立ち位置を守るために自作自演をするというのは分からなくはないですね。

投稿: がじゅー | 2005/10/12 21:42

かじゅー様
コメント有難うございます。
アメリカとアルカイダの関係ですが、通常では一笑にふすところですが、
①ブッシュ一族とビンラディン一族とは、昔から石油利権絡みで深いつながりがあったのは、映画「華氏911」でも明らかなように、事実であること。
②ソ連のアフガニスタン侵攻の時に、ビンラディン率いるアルカイダは、アメリカの援助でゲリラ活動を行い、ソ連が撤退した後は、タリバン政権の中枢に入り込んでいたこと。
を考慮すれば、十分有り得ると考えられます。
可能性の一つとして、考慮する必要があろうかと思います。

投稿: home-9 | 2005/10/13 01:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/82117/6362890

この記事へのトラックバック一覧です: 国際テロの背景(その1):

» ビンラディン死亡は本当か? [空想世界 ★過剰人気馬は消します★]
【ベルリン12日共同】11日付のドイツ大衆紙ビルトは、国際テロ組織アルカイダを率いるビンラディン容疑者がパキスタンの地震で死亡した可能性があると報じた。  同紙によると、米情報機関の衛星探知システムが先週、パキスタン北西部に同容疑者がいたのを確認したのを最後に... [続きを読む]

受信: 2005/10/13 15:16

» テロの背景・実像 [ピースファクトリー:高知]
■アメリカに対するテロ行為の背後に共産党中国の影 2001年9月11日、アメリカは史上最悪のテロ攻撃を受けた。今日、アメリカは国を挙げてテロとどう [続きを読む]

受信: 2005/10/16 17:51

« 現代保育事情 | トップページ | 国際テロの背景(その2) »