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2005/11/14

「古今亭菊之丞」独演会

kikunojo
古今亭菊之丞、恐らく普段寄席に行かれない方は、お馴染みがないでしょう。30代前半の若手落語家ですが、既に真打です。ここ2-3年で最も伸びた噺家として、ただいま注目しています。
志ん朝の死後、名門古今亭一門がやや精彩を欠いている感がある中で、一人気をはいています。
11/13は珍しい鈴本演芸場での独演会、開演ジャスト17時半に着いたら、意外にほぼ満席、ようやく座る席が確保できました。
芸風は正統派で端整、歌舞伎の女形のような色男です。いきおい女性ファンが多いのですが、昨夜は年配のそれも男性の姿が目立ちました。やはり会場が鈴本のせいでしょうか。
ゲストも客層に配慮してか、内海桂子に志ん駒と、懐かしい顔ぶれでした。

開口一番は前座の柳家緑太「初天神」。寄席は前座の出来が良いと、その日の高座が締まります。緑太はしっかりとした芸で、将来性を感じました。「栴檀は双葉より芳し」、上手い噺家は、前座の時から違うものです。後で内海桂子の口座に呼び出されますが、大先輩との掛け合いの息も良く、センスの良さを感じます。

今年9月に真打昇進の桃月庵白酒、明るい芸風を生かして「猫と金魚」。当代の橘家圓蔵の得意ネタのナンセンス落語。
現在の実力では、綺羅星の如き落語協会の中で、頭角を現すのは容易なことでは無いでしょう。

菊之丞最初の一席は、小学生向きの落語をマクラに振って「子別れ(上)」、又の名を「こわめしの女郎買い」。
この噺の眼目は、酒を飲んだらブレーキが利かなくなる大工の破天荒ぶりと、大工のオゴリで吉原にお供するが、商売の「紙屑屋」と連呼されると自尊心を傷つけられる男の屈折した心情との対比にあると思います。
菊之丞は、折り目正しく演じていましたが、人物の演じ分けが後一歩の感がありました。

志ん駒は、海上自衛隊員という変った経歴の持ち主で、落語より芝居や時代劇への出演が目立つ噺家です。久々に彼の高座を見ました。
久々といえば、内海桂子です。年下の相方を失い、年齢も83歳になったそうですが、唄も踊りも元気一杯、都々逸を観客に合唱させるあたりは、やはり大したもんです。

トリは菊之丞二席目「二番煎じ」。この噺は、8代目三笑亭可楽あるいは最近では志ん朝が得意としていました。
菊之丞は、志ん朝の演出を踏襲して、夜回りの最中に「火の用心」の喉を互いに競い合うという、この部分を音曲噺にしています。
従って、演じ手に小唄端唄の素養が要求されますが、菊之丞は若手落語家の中では俗曲に長じており、ここを見事に演じていました。
番小屋に戻ってからの、しし鍋をつつきながらの酒盛りの場面も、登場人物の演じ分けがキッチリ出来ており、役人の登場からサゲまで気持ち良く演じていました。
最近聞いた「二番煎じ」の中では、出色の出来であり、菊之丞の実力を再認識させてくれました。

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コメント

またまたTBありがとうございます。
ああ!これが「子別れ(上)」なんですか!
「(下)の子は鎹」は、なんどか聴いたことがあるんですが、(上)は初めて聴きました。
(勉強になります!(笑))

それにしても、内海桂子師匠はお元気で、とても楽しかったです。また、寄席でお目にかかりたいな~。

投稿: 景牙 | 2005/11/14 18:43

TBありがとうございます。
いやー良い高座でしたね。
菊之丞師何年に一度の逸材と確信。
声・たたずまい・歯切れの良さ。
扇辰師と共に注目してます。
二つ目は地味ですが鈴々舎わか馬を追いかけてます。

投稿: のんこのしゃー | 2005/11/14 19:47

景牙様
コメント有難うございます。
「子別れ」は、上(じょ)が「こわめし」で廓噺、中が人情噺、下が「子は鎹」で人情+滑稽噺という構成で、難しい演目です。
菊之丞が演ずる人物は、全体に品が良過ぎるのが欠点で、人物によってもう少し荒削りな所が出てくれば、鬼に金棒ですね。

投稿: home-9 | 2005/11/14 21:45

のんこのしゃー様
コメント有難うございます。
とても良い独演会でした。高座の演者と芸人との一体感がありましたし、それを演出した内海桂子も大したものです。
落語協会は、次々と逸材を輩出しており、今後益々楽しみですね。

投稿: home-9 | 2005/11/14 22:14

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