落語ブームの影で・・・
毎年恒例の行事というと、やはり芝居や歌舞伎、相撲など伝統的なものに拘りたい。ここ数年来、年末は鈴本演芸場の「金原亭馬生独演会」に行くことにしています。
今年も12月26日に開催ということで、先日鈴本に前売り(以前は当日で入れました)を買いに行きました。処が、今年から鈴本では扱いません、全て馬生の後援会扱いになったのでそちらに問い合わせしてくれとの返事でした。
帰宅してネットで検索して、「11代目金原亭馬生応援会」という会を捜して電話するとFAXが送られてきて、指定口座に振り込めば指定券を送るとあります。
このFAX文書には、独演会の日時も、場所も、当日のプログラムも、何も書かれていません。知っているから問い合わせするんだろうと思っているのでしょうが、いかにも不親切です。
馬生の年配のファンの中には、こうした面倒な手続きが煩わしくてついて行けず、もう独演会に行くのは止めたという方も現れるでしょう。
こうした長年のファンのことを、会の運営者はどう考えているのでしょうか。ここは一定枚数を鈴本でも販売し、従来の顧客も買えるようにすべきだと私は思います。
お笑いブーム、落語ブームが囁かれ、確かに最近はどこの小屋に行っても、前よりは入りは良くなって来ている。しかしこういう時こそ、「初心忘るべからず」です。
私が未だガキの頃、寄席に通い出した昭和20-30年代というのは、戦後落語の黄金時代でした。志ん生、文楽、圓生といった昭和の芸人たちが、揃って円熟期を迎えていました。
大ホールで行われる名人会は、どこも満員でした。
当時ラジオでも落語番組が人気があって、寄席に比べて圧倒的にギャラが高いものですから、人気落語家や実力者はなかなか寄席に出演しなくなった。
そのため、空前の落語ブームの中で、老舗の寄席が次々と廃業して行きました。しまいには寄席の歌舞伎座と言われたいた、人形町末広まで閉館しました。
ブームが去れば、残された数少ない寄席も、閑古鳥が鳴く有様です。
「驕る平家は久しからず」は、永遠の真理ですね。
業界関係者には、古いファンを大切にしながら、新規顧客を開拓するという姿勢が望まれます。
落語と寄席をこよなく愛するが故の苦言と、受け止めてください。
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