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2005/11/02

「イスラエル紀行」連載を終えて

gold_dome
別館で22回にわたり連載してきた「イスラエル紀行」の連載が終わりました。当初は10回を予定していましたので大幅なオーバーです。理由は、連載が進むと共にアクセスが次第に増え、管理人がいい気になったことです。「おだてりゃ、木に登る」の例え通りですね。
それにイスラエル旅行記では、聖書の引用が欠かせません。四苦八苦しながら聖書を読み原稿を書いてましたので、これに予想以上の時間とページを取られました。

イスラエルという国、国民の行動様式を理解する上で、私は二つのキーワード「キブツ」と「マサダ」が重要だと思いました。
「キブツ」というのは、集団農業共同体とでもいうのでしょうか、かつて旧ソ連や中国で導入しいずれも失敗した集団農業ですが、イスラエルで成功しました。
イスラエル建国の過程で、各国から集まったユダヤ人が特定の集団単位で入植し、集落を作り、共同で農作業を行いました。この集落内では貨幣は廃止され,すべての物が共有とされ,活動も集団的管理のもとに行われています。労働の成果は平等に分配されます。
一種の共産主義的な生産方式です。
こうした制度が成功するためには、余程内部の結束が固くないと無理でしょう。構成員のエゴが出てくれば、ソ連や中国のように解体するしかないわけです。
ここから、共通の意思、思想(宗教)で固く結ばれた国家という姿が、浮かんできます。

もう一つの「マサダ」、以前このブログの記事で紹介しましたが、キリストの死後数十年してから、ローマ帝国によってユダヤ国家は滅亡します。この最後に、マサダの砦に立てこもったユダヤ人が集団自決をする、これがマサダの戦いです。
この「マサダ」を教訓にして、イスラエルの人々は、 再び国を失い民族が離散させられるぐらいなら、死ぬまで進んで戦うという精神を作り上げました。
そして敵の攻撃に任せていては、結局マサダの悲劇をまた繰り返す。もし攻撃される恐れがあるならば、先に相手を倒すことでしか身を守ることが出来ない、という先制攻撃論に到達してゆきます。
この「マサダコンプレックス」が、イスラエル国家の政策、行動様式を理解する上での、重要なキーワードだと私は思います。

私がここで言う「理解」は、「支持」あるいは「共鳴」とは全く異なるものであるということは、ご「理解」下さい。

イスラエルという国の、最大の魅力は「物語性」だと思います。
たくさんの宗教施設、遺跡、聖跡を巡り、聖書に書かれている世界を目で見、手で触れて実感できる、これが大きな魅力です。
その結果、例えばイエスが等身大の生身の人間として見えてきます。イエスが辿った道を歩いてくると、当時のユダヤ国で生まれ育ち、宗教家を目指して生き、死んでいった一人の若者の姿が、そこに現れます。
イエスが説いた人類愛、平和への希求、平等の精神、こういったものはキリスト教を信じるか否かに拘らず、大切にしなければならないでしょう。

その一方で、西に神のお告げで戦争を始めた大統領があれば、東に神の名において自爆テロで無辜の民を殺す若者ありです。
一体この人たちにとって、神とはナンなんでしょうか。
今回のツアーでご一緒した一人の女性が、教会でお祈りをした後にふとつぶやいた、「何でこう、宗教の名の下に、戦争が起き、人が殺されていくのかしらね。」という言葉、世界中の多くの人の疑問でもあります。
今イスラエルで、パレスチナで、イラクで、この答が求められています。

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コメント

kanekatu様

TBありがとうございました。また、長期にわたる連載お疲れ様でした。ほぼ同じタイミングで旅行記を書いていたのは何かの縁ではないかと思います。
私はいろんな意味でユダヤ人と日本人の不思議な共通点と絶対的に違う点を感じずにはいられずにいます。
その点ではおそらく同じような思いをされているのではないかと感じながら読んでまいりました。
またちょくちょくと寄らせて頂きます。今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: ひろ | 2005/11/04 12:35

しばらく出かけておりましたので、このサイトからご無沙汰でした。
そこでちょっと遅くなりましたがイスラエル紀行については一言申したくて(笑)

私のビジネスでのカウンターパートがキブツの出身でした。
仲々の色男で話も上手く、さぞかしモテモテだろうなという感じの男でした。
彼のお陰で何回もキブツに泊まりキブツの生活を経験しました。
キブツというと何か宗教的な戒律が厳しくという感じがしますが、キブツで聞いた私のカウンターパートの評判は・・・・、
「キブツでは財産は共有だが」
「彼は奥さんも共有だと勘違いしている」

我々の年代だと戦争体験は親父から聞くもの!
今の若い人たちだと歴史上の出来事。
でもイスラエルでは現実の体験!
「第3次中東戦争の時は、そこまで敵が迫って・・・・」
「塹壕の中から銃を構えて・・・」
そんな生々しい話しをイスラエルの友との夕食の度に聞きました。

私がホッツキ歩いた覚えのある通り、店が自爆テロで粉々に粉砕された光景を何回テレビのニュースで見たことでしょうか!
私がエルサレム蝋燭を買ったあの店も、あの親父の笑顔も・・・・・!
ユダヤの友ともパレスチナ人の友とも語り合いました。
彼らにとっては2000年前が、つい先ごろの出来事のようです。
「紀元前○○年に彼らは・・・」
宗教は難しい!
それと同時に教育の大切さを感じました。
教育は憎しみの伝承ではない!
彼らと話していてそう思いましたが、口には出せませんでした。

投稿: タケチャンマン | 2005/11/07 19:35

タケチャンマン様
お久しぶりです。
イスラエルは美女の多い国ですから、そちら方面の発展家は忙しいんでしょうね。
イスラエル国民にとって、戦争やテロは日常生活の一部になっています。彼等の主張や行動を評価する時、このことを念頭に置かなくてはいけないと感じました。
教育論は、私も同感です。

投稿: home-9 | 2005/11/08 10:17

こんにちは。イスラエルの宗教を探していてこちらを拝見しました。
現在イギリスで英語を勉強しておりますが、先日知り合ったイスラエル人の生徒が耳慣れない宗教名を話していたんです。ユダヤ教でも、キリスト教でもなく、たしか”ア”からスタートする名前でした。
宗教の事なので何回も聞き辛くて・・・ご存知でしょうか?

投稿: かなこ | 2005/11/11 19:24

かなこ様
ご質問内容からすると、私がお答えするのは無理です。
イスラエル在住の日本人の方のサイトが、検索で出てきますので、そちらの方をお尋ね下さい。
お役に立てず、スミマセン。

投稿: home-9 | 2005/11/12 05:03

いいえ、お返事どうもありがとうございました!イスラエル在住日本人の方のサイトを探してみます。ありがとうございます☆

投稿: かなこ | 2005/11/12 22:07

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