「鳥インフルエンザ」への対応は冷静に
鳥インフルエンザの話題が、連日新聞やTVを賑わしています。
国の予想では、最悪の場合全国で3200万人の患者が発生し、17-64万人の死者が出るというのですから穏やかじゃない。
行政機関の立場からすれば、最悪のケースを想定し、ワクチンの確保や医療施設の点検を行うことは、必要なのでしょう。
世界保健機構(WHO)は、1997年の香港での発生直後から、トリインフルエンザの監視体勢を強化しています。
又現在世界各地で流行しているト鳥インフルエンザが、いつ新型ヒトインフルエンザになって、世界的な大流行を起こしてもおかしくないと警告しています。ここでも最悪の場合、世界で750万人が犠牲になるとの推定も行われていますが、私は多少眉に唾つけて聞いています。
この話になると、1918-1919年に2500万人の死者を出したスペイン風邪が引き合いに出されますが、当時と今とでは医療設備、医療技術、予防・治療薬など比較になりません。「結核は死の病」の時代の話を持ち出されても、という感じで聞いています。
実際に鳥インフルエンザにより、近年どの程度の犠牲者が出たのか、1991-2004年の統計を見てみたいと思います。
<1991-2004年の鳥インフルエンザ死者数>
1991-1996年 0名
1997年 香港:6名(幼児)
1998-2002年 0名
2003年 オランダ:1名(獣医)
2004年 タイ:8名、ベトナム:15名(推定)
過去の数字だけ見れば危険性は殆ど無視できますし、オランダの獣医の例を除けば、死者は全て特定の東南アジア地域に限られています。
この中ではベトナムの死者が目立ちますが、これはメコン・デルタ地域での鳥インフルエンザの発生が顕著なためです。この地域は、家族単位で多数のニワトリやアヒルの放し飼いが一般的で、しかも人々が広範囲に移動するために鳥インフルエンザウイルスが伝染しやすく、更に衛生管理も出来ていないことが、大きな要因と思われます。
もう一つ犠牲者が多い国で私が感じるのは、いずれも生きているニワトリをそのまま食肉として売っている地域に限られているということです。
そうした地域でも、鶏肉以外の食肉は日本と同じようにカットして販売していますから、鶏肉も同等の流通に乗せることは不可能では無いと思うのですが。
養鶏での衛生管理と、ニワトリと人間の接触の機会を減らすことが肝要です。
過去の経験からすると、専門家の警告というのは額面通り受けて良いのか、要注意ですね。
9・11テロ直後に多くのテロ問題専門家と称する人たちが、明日にも日本でアルカイダがテロを起こすようなことを連日TVで喋っていましたが、その後どうだったのでしょうか。
以前の「ミレニアム騒動」とか、今回の鳥インフルエンザの件もそうですが、専門家というのは、往々にして何かの意図を持って発言することが多いという点も、私たちは認識しておくべきでしょう。
必要な手は打つ、しかし徒に恐れたりパニックに陥らず、冷静に対処する態度が要なのではないかと思います。
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