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2005/12/30

当世部録倶事情(今ブログは・・)

kikko 2004年がブログ元年なら、2005年はブログが世間一般に知られ、認知された年と言えるでしょう。
今年3月末時点でのの総務省調べで、
・国内ブログサービス利用者数は約335万人
・純ブログ利用者数は約165万人
・少なくとも月に1度ブログを更新しているアクティブな利用者数は約95万人
・月に1 回以上ブログを閲覧している利用者は約1651万人
と推定していましので、現在ではその数は更に増えているのは確実です。

今年ブログで話題になったのは、何といっても「きっこのブログ」でしょう。このブログは,元々はヘアーメイクアーティストでMAXファンの横山きっこさんの「きっこの日記」が母体で、ブログはそのミラーサイトになっているようですが、ほぼ毎日5000字近い新記事がアップされていること、アクセス数が毎日約4万件というお化けブログです。

特に「耐震偽装」問題が持ち上がってからはいわば独走状態で、一種の社会的現象になったといって過言ではありません。世間がようやく「耐震偽装」問題に関心を持ち出した11月の23日には、「すべての黒幕は総合経営研究所の内河健所長だ」と暴露していたのですから驚きです。
その後の記事でも、マスコミの報道の一歩先を行く事が多く、形の上では「きっこ」がマスコミをリードしているような現象が現れました。この件に関連して、ヒューザーの元社員やイーホームズの藤田社長、民主党の議員からのメールや情報提供もあり、ますます注目を集めることとなりました。

ヒューザーの小嶋社長の証人喚問が、自民・公明の反対で見送りになりそうだった時期には、「小嶋喚問」のキャンペーンを連日繰り広げ、「テポドン大作戦」と称して読者に対しマスコミに直接行動を起こすよう働きかける呼びかけを行っています。
この辺りが、ナミのブログと違う所です。

「きっこブログ」の特長の一つは、「たいへん申し訳ありませんが、トラックバックって、その存在理由が理解できないので、受け付けていません。また、自分と違う考え方の人と不毛な議論をするつもりもないので、コメントも受け付けていません。あしからず。」と断り書きがあり、読者との直接的なコミュニケーションを絶っていることです。
もう一つには、人気ブログには珍しく反自民の旗幟を鮮明にしていることです。特に小泉首相に対しては、本人プロフィール紹介の中で、「【今一番やりたいこと】コイズミをグーで殴る!」と書いているように、蛇蝎のごとく嫌っているのも他に無い特長です。
30代後半と思しき美女(写真で見る限り)で、趣味の俳句では3冊の句集を公開しており、音楽日記は英文で書く才女とお見受けした「きっこ」さん、その謎の姿と共にしばらくはブログ界を席捲することでしょう。

さてブログの現状ですが、利用者や閲覧者が多くなっているのは結構なことですが、その内容はといえば、いくつかの問題を感じざるを得ません。
「きっこ」が参加している「人気ブログランキング」には現在18万件余りが登録され、日々ランキングが公表されていますが、綜合ベストテンを見ると、「きっこ」と「生協の白石」を除く他の人気ブログは全て「芸能ニュース」ブログであり、それもグラビア・アイドルタレントのゴシップと水着や盗撮写真満載のものばかりです。
因みに「人気WEBランキング」を見ると、こちらの綜合ベストテンでも大半が「美少女ゲーム」であり、いずれも閲覧者の多くが「イロモノ」志向であることが窺われます。

一方政治・社会・ニュースなどの部門別のランキングでは、上位の大半が愛国、反中国、反韓国をテーマとしたいわゆるプチナショ系ブログで占められています。
国を愛することに異存はありませんが、「直ちにシナを撃て」とか「北の金王朝打倒」などと絶叫しているブログが高位を得ているのを見ると、いささか戦慄を覚えます。
最近皇位継承問題で「男系・男子」を主張する人が、「女系・女子が国民の多くの支持を得ているというが、ネットでは男系・男子支持が9割だ」と発言していましたが、確かにブログで見る限りは「男系・男子」論者が多数のように思えます。
ネットで発言する人は政治意識が高いなどと云われることがありますが、私は否定的です。
むしろある種の傾向を持った人がネットで発言していると考えた方が、自然かも知れません。勿論自分を含めてのことですが。

ネットのマナーですが、これは確実に悪化傾向にあると感じています。
記事で政府や自民党を批判する内容を書くと、多分プチナショ系の人と思われますが、いきなり「お前はアホか」などという冒頭から悪罵で始まるコメントが寄せられた来ることがあります。内容は専らこちらへの人格攻撃です。
こういうコメントを読むと、その内容の是非より、これを書いた人は余程不幸な人生を歩み、こうした形でしか世の中に怨念をぶつけられないのだろうなどと、ついついコメントを書いた人の人生を考えてしまいます。
この延長線上に弱者への攻撃や子どもへの暴力があると思われ、こうした人々が増えることに懸念を感じます。

そして相も変らずアダルトサイトからの迷惑トラックバック。携帯への迷惑メールを送っていた業者が、ブログへ矛先を変えたのでしょう。昔は「うるさい」を「五月蠅」と書きましたが、今は「迷惑TB」と書いた方がよさそうです。全く追い払っても追い払ってもたかってくる、実に不快な存在ですね。是非プロバイダーに根本的な対策を望みたい。

今年愛読していたブログがいくつか閉鎖になりました。多分管理人の事情なのでしょうが、長年の友人を失ったような気分になります。
私自身も時々「なんでブログなんか書いてるんだろう」と自問する時もありますが、しばらくは続ける予定ですので、引き続きご愛読下さい。
今年1年拙稿を読んで頂き感謝します。
来年も宜しく、そして皆様よいお年を。

2005/12/28

「金原亭馬生独演会」in 鈴本

basyou
12月26日鈴本の年末恒例の「金原亭馬生独演会」へ。この会は未だ前名馬冶だった頃から続いていますが、年々盛大になっています。
数年前までは当日でも自由席で入れましたが、今はどうして前売りで完売、補助席から立見まで出る盛況ぶりです。
後援会関係者が多く、お互いに暮の挨拶を交わす姿は、馬生後援会の定期総会のような和気藹々の雰囲気です。

馬生の良さは、先ず様子がよいこと、男前だし、踊りは上手いし、声は良いし、年配の女性ファンが多いのは頷けます。
芸は正統派古典一筋、折り目正しく楷書で書いたような芸風です。
その分、最近落語ファンになったような若い方には不向きかも知れません。
当日も客の平均年齢はかなり高目でした。

馬生の1席目は「音曲長屋」。音曲好きの大家の所に店子になりたい人が集まり、次々と芸を披露するという典型的な音曲噺。
馬生は「青柳」では自慢の喉を、「木遣崩し」では威勢のいいところを、「越後獅子」では太鼓を叩き、「松の緑」では三味線(余り上手ではないのがご愛嬌)を弾き、「深川」では得意の踊り、「明烏」では新内の喉をたっぷりと聞かせ、客席とのヤリトリを交えての大サービス。
このネタは、こうした多彩な芸の裏付けがなければ出来ないわけで、現役では馬生しか演じ手がいないかも知れません。
とにかく観客は大喜びでした。
落語は普段精進している芸を客に披露するのも、大事なサービスです。
他の芸人も見習って欲しいところですね。

2席目は「夢金」。この演目の眼目は、最後のオチで初めて夢と分かる、船宿から屋根船での船頭と浪人とその連れのお嬢さんの人間模様を、いかにリアリティを持って演じられるかです。
馬生は、雪のふりしきる大川の描写、船頭に人殺しの共犯を迫る浪人と、最初は断りながら結局金のため協力を受け入れる船頭の心理、そして最後の逆転と大団円、目出度し目出度しと思わせておいて、実は夢だったというサゲまで、一気に聞かせました。
当日の観客は、皆さん満足して帰ったことと思われます。

他に客演の上方落語の桂春之輔が、他に演じ手のいないという珍しい演目「死ぬなら今や」を飄々と演じていました。
馬生の弟子達、駒春「雑俳」、馬冶「つぼ算」、馬吉「近日息子」をそれぞれ丁寧に演じました。それぞれが師匠の芸風を受け継いでいて、将来が楽しみです。

来年も馬生独演会に足を運ぶつもりですが、チケットが手に入るか心配です。

2005/12/27

風刺が薄くなった「爆笑問題」

bakumon
12月25日、国立演芸場「花形演芸会」へ。
毎年この例会に「爆笑問題」が出演するので、欠かさず通っています。お笑い芸人は、人気が出ると寄席を敬遠するようになりますが、やはり芸を磨くにはお金を払って見に来る客の前で演じることが大事です。
TVの公開番組で甘い客だけを相手にしていて、ウケていると勘違いしている内に、いつの間にか姿を消す芸人が後を絶ちません。
「爆笑問題」のように回数は少なくても定期的に寄席に出る、これは後輩のお笑い芸人も是非見習って欲しいところです。

さて今年最後の花形演芸会、その「爆笑問題」目当てで満席でした。
柳家小蝠「粗忽長屋」、過去師匠が談志から文治、更に蝠丸と3回変ったという変り種、そのせいか二ツ目に昇進するのに11年掛かっています。よく言えば苦労人、悪く言えば今一つパットしないという所でしょうか。もう少し登場人物にとぼけた味が欲しい。

古今亭錦乃輔は新作「ワルの条件」で一席を伺った後、曲芸は鏡味正二郎、未だ若手ですが芸がしっかりとしています。最近の若い太神楽の芸人は研究熱心な人が多く感心します。古参の芸人はウカウカとしていられません。
仲入り前は三遊亭金時、今最も期待される古典落語家の一人です。この人の良いところは、全身が落語家としての雰囲気を備えている事と、高座が落ち着いている事です。
この日は大ネタの「掛取万歳」、この演目の難しさは多彩な登場人物の描き分けと、演じ手に芝居や音曲の素養が必要とされる点です。
当日の金時は、風邪気味だったのかやや声の調子を落としていましたが、この噺途中で切る落語家が多い中で、金時は端折ることなく最後の万歳までノーカットの熱演でした。
最近の金時には、芸に風格が漂ってきてます。

カンカラの時代劇コントの後、お目当ての爆笑問題の高座。
最近バラエティの司会が多いこの二人ですが、社会風刺のしゃべくりが本業です。今時の殆どのお笑いが一般庶民を笑いのネタにしていますが、爆笑問題は政治家や有名人など社会的強者をネタにする所に、最大の魅力があります。
特にTVでは流せない内容も、高座では披露できますので、これを毎年の楽しみにしているわけです。
で、今年ですが、初期の頃と比べると段々と風刺が薄くなりました。特に政府に対する風刺はカゲを潜めていました。
どうもお笑いタレントは、売れてくると毒を失う傾向がありますが、この日を見る限りでは爆笑問題もその例に漏れないようです。
客席の笑いも、いつもより少なかった。
太田光の奮起を望みたいと思います。

トリは三遊亭円馬が、「お神酒徳利」を丁寧に。

2005/12/25

「男系・女系」論議より大切なこと

tenpan
以前記事にした創作小咄「身代わり」は艶笑譚で、恐らく世界各国同じような話が転がっていると思います。
我が国の江戸川柳に「町内で知らぬは亭主ばかりなり」という名句があり、実に短い言葉でコトの本質を衝いていると、感心させられます。

パートナーあるいは親しい女性から「出来たらしいの。お医者さんの話では3ヶ月ですって。」と告げられた男は、身に覚えがあるならここで「ああ、俺の子だ」と観念するわけです。喜ぶか、はたまた「アッチャー」と思うかは、その時の置かれている状況によりますが。
とにかく生まれた子供の母親だけはハッキリしていますが、本当の父親が誰かは、生んだ女性にしか分らない。

閑話休題。
11月24日に「皇室典範に関する有識者会議」が、女性・女系天皇の容認を柱にした報告書をまとめ、小泉首相に提出しました。
これに対して、男子・男系の天皇を主張する人々から反対の声が上がっています。
これについては意見の分かれる所でしょうが、例えばその会議の記録を見ますと、八木秀次氏より次のような発言があります。
「125 代一貫して男系継承であった事実の重みでございます。これまで一度の例外もなく、一貫して男系で継承されてきた。そのこと自体、もはや確立した原理というべきではないか」。

「講釈師見てきたような・・・・」という江戸川柳を地で行くような発言ですね。
近代になってからはともかくとして、神話時代に遡って存在すら判然としない人物について、男系継承が事実だと、どうしたら断言できるのでしょうね。

更に八木氏は、「遺伝学の見地からも説明が可能だということが指摘されており」とか、「Y染色体の刻印」というような解説を行っていますが、私はこうした皇位継承問題に、生物学的な事柄を持ち出さないほうが賢明だと思います。 

「有識者会議」に望まれるのは、男系女系論議よりも、これからの皇室の在り方を議論して欲しかった。
皇位継承が男系にせよ女系にせよ、いずれにしろパートナーは民間から迎え入れなくてはならない。
皇室は美智子皇后、雅子妃二代にわたり、難しい状況を経ています。
以前東宮職に従事していた方から伝え聞いたとところによれば、昭和天皇の時代に皇后が美智子妃を訪れた際に、幼かった今の皇太子が、廊下に両手を広げて立ちふさがったことがあるそうです。母君を守ろうとしたのでしょう。
当時かなりの緊張関係にあったと推察されます。
現在の雅子妃の状態は、周知の通りです。
来年からの国会審議では、こうした点も踏まえて、皇室の今後の在り方をしっかりと議論して欲しいと思います。

2005/12/21

ES細胞から外れて著作権のお話し

takemura
韓国の黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大教授の研究成果のねつ造疑惑の続報ですが、黄教授は今年5月に科学誌サイエンスに提出した論文では採取した185個の卵子から11株のES細胞の作製に成功したとし、17分の1の高確率で抽出に成功したとされていました。
ところが共同研究者から、実際には1000分の1程度の低確率だったとの指摘があり、更に苦しい立場に立たされています。
偶然出来たというのは科学とは言えませんから、再現性は重要な要素なのです。

ここで一句、“「黄」教授 「レッド」カードで 「青」くなり”、オソマツでした。猪口山人さんに叱られそうですね。

さて前回の記事は、ES細胞の話から脱線して、著作権や工業所有権の話になってしまいました。ハズレついでにこの話題、もう少し続けて見たいと思います。

「代作」を辞書で引きますと、「他人に代わって作ること。また、その作品」とあります。本来の著作権はその作品を作った人のものですが、本人が了解した上で他人の名前で発表された場合は、その他人が著作権を有することになります。
柴田晴廣さんから寄せられたコメントから推察しますと、こうした行為は「著作権法121条の対象となると解され」ますが、「公衆を欺くというような実質的な違法性、反社会性がない場合は、本条に規定する処罰の対象とならないと解され」るようです。

古い話ですが私の高校時代の友人が、レコード大賞を受賞したことがある高名な作詞家に弟子入りしたことがありました。その彼から聞いた所によれば、その作詞家の先生が一つのテーマを与えて、大勢の弟子達に詞を書かせ、中で良い作品をピックアップして、先生の名前で発表する仕組みだそうです。
作曲の世界も、恐らく似たようなものなのでしょう。
いわゆるタレント本は、大半がゴーストラーターが書いています。
以前安部なつみというアイドル歌手が盗作問題を起こした際に、芸能界内部は概して同情的だったのは、この辺りに原因があるのでしょう。

年に数十点も出版しているような売れっ子作家の場合も、やはりゴーストライターの存在は不可欠なようです。
以前TVのコメンテイターをしている評論家の作品に盗作問題が起きたとき、ご本人が「忙しくて自分の作品を読んでいない」と、堂々と釈明していて驚いたことがあります。
昔文藝春秋の社長だった池島信平さんが、菊池寛の作品のいくつかは自分が書いたと後年述べていましたが、文学の世界でもこうした代作というのはあるわけです。

学術分野でも前回書いたように、弟子や部下が書いたものを自分の論文として発表するということは、普通に行われています。
これはある理系の大学教授から聞いた話ですが、A教授とその弟子のBが書籍を出版する際に、Bが全文書いた場合は著者はA,Bの共著、一部をAが書きその他をBが書いた場合はA単独の著作として刊行されるそうで、これは学術分野で暗黙のルール化されているとの事でした。
ある大学の助手が長期にわたる研究の結果をレポートにして教授に提出したら、後日その教授の論文として発表され、とても口惜しい思いをしたと聞かされたことがあります。
こういうのは代作でもないし、盗作ともいえず、なんと呼んだら良いのでしょう。

前回の記事で、企業における職務発明の場合、本当の発明者がその特許の発明者になっていない場合があると指摘しました。工業所有権そのものは出願人(通常は企業)が有するのですが、最近のように発明者に高額な報奨金が支払われるケースが増えてくると、大きな問題になると思われます。

こうした事例を耳にすると、そもそも著作権というものをどう考えたら良いのか、特に企業や学校など組織と個人の著作やアイディアとの関係をどのように考えるのか、難しい問題を孕んでいます。

2005/12/18

ソウル大「黄」教授の「灰色」論文疑惑

kiiro
お隣の韓国で、ソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)教授の研究成果ねつ造疑惑が起こり、揺れています。何しろ黄教授は、クローン胚からES細胞を作ることに成功させた国民的英雄であり、ノーベル賞の期待も持たれていた人ですから、事は重大なのです。

ES細胞というのは、これからなんにでもなれる大元の細胞で、この細胞一つで、体を構成するあらゆる種類の細胞を作り出す能力を持っています。
例えば臓器移植が必要な患者の場合、自分自身の体からES細胞をつくり、そこから新たな臓器を作れる可能性がありますから、再生医学においては画期的な偉業でした。

黄教授チームのメンバーの研究員が、今年5月に米科学誌サイエンスに掲載された論文の写真が黄教授の指示でねつ造されたものであることを明らかにしています。
黄教授自身は、ES細胞は存在するとしながら論文は撤回するという意向であり、名前は「黄」ですが、研究成果は限りなく「グレー」のようです。

“だから韓国は・・・”などという声もあるようですが、日本も余り偉そうなことは言えません。
医薬の世界では、製薬企業が新薬を開発するために、治験や臨床試験を医師、病院などに依頼して、症例データの提供を受けています。
この際、治験を担当する医師が、データを企業の都合のよいように捏造する見返りとして、製薬企業から多額の謝礼や研究費名目での寄付を貰う、この手の話は後を絶ちません。
中には報告書自体、製薬会社の人間が書くことも少なくないそうです。
医学部教授が海外で行われる学会で論文を発表する際に、論文の執筆からスライドの作成、航空券やホテルの手配まで製薬会社やその代理店の丸抱えというのも、医学の世界では現実にあります。

今回の黄教授の疑惑も、こうした世界の反映なのかも知れません。

ES細胞疑惑とは直接関係無いかも知れませんが、私が以前から気になっていた研究分野での“悪習”について、触れてみたいと思います。
文系の方は良く知りませんが、理系の世界では論文あるいは書籍の著者と、実際に書いた人(ゴーストライター)が別人であることは、ごく日常的なことです。
私は、昔ある高名な大学教授が書かれた論文について、詳細を伺いに訪問したことがあり、その際教授から実際の執筆者を紹介されました。大学の場合は大抵教授のお弟子さんが書くようですね。
著者自ら、「実はボクも、細かな所は見てないので」などと言われ、唖然としたことがあります。

企業でも同じような事があります。
私が所属していた会社でも、在職中に博士の学位を得た人がいましたが、その学位論文の殆どを、部下に書かせていた人が少なくありません。
それで学位を取得しているのですから、ああいうのは「偽装博士」だと思うのですが、学会で問題になったと聞いたことがありません。
会社での職務発明でも同様のことが起きます。重要な発明ですと、発想した本人の上司の名前で特許を出願するケースだってザラでしょう。

著作権がうるさく言われている時代、こうした慣習は改める必要があると思います。
特に人の生命に係わる分野では、「偽装研究」「偽装論文」だけは是非御免蒙りたい。

2005/12/15

「耐震偽装」という砂上の楼閣

uchikawa
昨日の「耐震偽装」証人喚問ですが、時間をかけた割には、肝心な所が詰め切れなかい結果となりました。即ち、関係者がどれだけ“違法性”を承知していたかが焦点でしたが、姉歯を除いては全員が否定しましたし、彼らに“違法性”を認めさせる証拠が示せなかった。
㎡単価とか、㎡当たりの鉄筋量が書かれた文書も出ていましたが、あれだけでは指示書なのか、施主が希望するコスト(工事で施主がコストを提示するのは当たり前)を示したものかが、はっきりしません。

それにしても証人達の言動、開き直りあり、泣き落としあり、引かれ者の小唄ありで、まるで時代劇のお白州の場面を見ているようでした。当初は諸悪の根源のように言われていた姉歯が、一番善良な人物に見える始末です。内河については、さすがに三百代言でメシを食ってきた人間らしい、厚顔無恥な立ち振る舞いが目に付きました。

中継を見ていた多くの方が、こういう人物が集まって家を建てたり、ビルを作っていたのかと呆れたと思われますが、正しくああいう人間が建築に携わっているのは事実です。確かに誠実に仕事をしている建設業の方もいます。しかしそれは少数で、たまにそういう方に巡り合うと、何か砂漠で泉に出会ったような気分になります。
昨日も姉歯が、「今日は平成設計の名刺でと、指示された」との証言がありましたが、あれも日常茶飯事、私も他社の制服とヘルメットで建築現場に入ったことがありました。
「キックバック」も当たり前の世界で、政治家がそのウワマエをハネテいるのも日常の風景です。
ピンハネのウワマエをしている政党や政治家が、マトモに追求できる筈がありません。
昨日の証人喚問も、そこまで話が及べば、もっと面白かったのでしょうが。

今回の「耐震偽装」不正は、関係者全員が法律違反という“砂上の楼閣”の上で、関係者全員が金儲けを企んで動き回った結果です。文字通り「耐震偽装」という砂上にビルやマンションを建てたわけです。
聖書のマタイ福音書7章に次のキリストの言葉が書かれています。

『それで、わたしのこれらの言葉を聞いて行うものを、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができよう。
雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけても、倒れることはない。岩を土台としているからである。
また、わたしのこれらの言葉を聞いても行わない者を、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができよう。
雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまう。そしてその倒れ方はひどいのである。』

今回の件は、「砂の上に家を建てた愚かな人々」に「洪水が押し寄せ、倒れてしまった」結果であり、人間の知恵というのは、約2000年の時を隔てても、余り変らないものだということをつくづくと感じました。

2005/12/12

創作小咄「身代わり」

なんにしても夫婦に赤ちゃんが生まれるというのは大変なことで、最初のお子さんでは特にそうですな。
夫“いよいよ明日が予定日だね。順調に生まれるといいね。”
妻“さっきね、お医者さんも多分明日の夕方ごろかなって、仰ってたわよ。でもね、私初めての出産でしょ。あの陣痛というのがすごく痛いらしいのよ。分娩の時だって気絶しそうに辛いんだそうよ。そう考えると、あなた、私もう不安で不安で、いても立ってもいられないのよ。”
夫“そりゃそうだな。それでなくとも君はこれから母親として、出産の後も赤ちゃんの面倒を見なくちゃいけないし、大変だよな。それじゃ、こうしよう。今から神様にお祈りして、母親になり代わって父親が、陣痛や分娩の痛みを全部引き受けるからと、よーくお願いしとくからね。”
妻“まあ、あなた、嬉しいわ。”

夫“今赤ちゃんを見てきたよ。玉のような男の子で、元気に泣いてたよ。自分の子っていうのは実に可愛いもんだね。”
妻“それに、あなたのお祈りが効いたせいか、私陣痛も分娩の痛みも全く無かったのよ。でもあなたの方は大変だったんでしょ?”
夫“それが不思議でさあ。ボクの方も全く痛みがこなかったんだよ。”
妻“まあ、それは良かったわ。きっとあなたが普段から信心をしているお陰よ。神様がゴリヤクを下さったんだわ。”

翌朝、この男が出勤しようと家を出ると、隣のご主人とパッタリ顔を合わせました。
夫“やあ、これはお隣のご主人、何だか今朝は随分と顔色が悪いようですが、どうかされましたか?”
隣家の男“やあ、実は昨日午後からひどいハラ痛になりましてな、夕方までもう七転八倒の苦しみでした。あんな辛い思いをしたのは初めてでしたよ。”

2005/12/11

今年のイチオシ!談春の「文七元結」

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最近寄席や落語をネタにしたブログが増えました。およその勘ですが、8割は女性が書いてますね。採り上げられている噺家は、いわゆる寄席通が贔屓にしている人とは多少違っているようです。
立川談春もその一人で、ブログで話題になる噺家としては、今や確実にBEST10に入るでしょう。

12月10日に横浜にぎわい座、その「談春四季の会『冬』」に。実は談春は初見でしたが、会場は補助席が出る一杯の入り、やはり女性客が目立ちました。
前座なし、ゲストなしで、中入を挟んで本人が2席という文字通りの独演会です。

1席目は「味噌蔵」。これが終わった頃は正直、来たのを後悔していました。師匠談志が食べ物を大事にするというマクラから本題まで、全く笑えなかったし、一口で言えばつまらない。
先ずネタの選定が間違ってます。「味噌蔵」という演目は長講でやる噺じゃない。トントンとテンポ良く、1席15分程度に仕上げるネタです。
近年では八代目三笑亭可楽が得意としていましたが、可楽独特のリズム感がこの噺に生きていました。
談春は独自の工夫をしていましたが、全体が間延びしているため流れが悪い。談春に限ったことではありませんが、最近独演会で本来の短い噺を、無理やり長講にする傾向がありますが、あれは止めた方が良いと思います。

2席目は「文七元結」、毎年暮になると古典落語の真打が高座にかける演目で、過去多くの名人上手の名演がありますので、演者の実力が最も問われる大ネタと言えるでしょう。
先ず、恐らくは談春本人がバクチ好きなのでしょうか、博打打ちのマクラを生き生きと語っていました。
父親の左官長兵衛の博打の借金を見かねて吉原の大店「佐野槌」に身を沈める娘お久。「佐野槌」の女将が長兵衛に向かって、50両と引き換えにそのお久の気持ちを伝え戒める場面、そしてお久自身が長兵衛に母を大事にするよう訴える場面が、この噺の前半の泣かせ所ですが、ここを談春は大胆に端折ってしまいました。
その代わりに、女将が博打がいかに馬鹿馬鹿しいものかということを懇々と長兵衛に説く演出にしています。
世の中のウラもオモテも知り尽くした女将の人物描写の見事さ、借金の期限を2年先の大晦日にして、一日でも返済が過ぎれば「その時は、私は鬼になるよ」というセリフの凄み、談春の語りが冴え渡ります。

その大事な50両を、大金を盗られたと思い込み、吾妻橋から身投げようとしていた「近江屋」の手代文七に投げ与える長兵衛。
談春の演出はここを余り理詰めにせず、行きがかり上引っ込みがつかなくなった江戸っ子の心意気にしていましたが、この演じ方の方が後半の展開に無理なくつながり、成功していました。

文七が「近江屋」へ戻り、既に財布が店に届けられていることを知った時の動転ぶりが可笑しく、番頭が文七から「佐野槌」の名前を引き出すのに、当時の吉原の大店の名を片端からあげて、ご主人から「番頭さん、良く知ってますねエ」と嫌みを言われる場面は、このご主人の鷹揚な性格を描き出していました。

夜を徹して喧嘩していた長兵衛夫婦の元へ、文七とご主人がお礼に現れ、最後は娘お久も50両も戻ってくるというお目出度い大団円まで、談春は一気に盛り上げていきました。
大いに泣かせ、大いに笑わせ、この日の幕を閉じました。
私が聴いたここ数年の「文七元結」の中では、この談春の噺は出色の出来でした。
そして今年1年聴いた落語の中でも、これが一番でした。
未だ少し早いですが、立川談春の「文七元結」に、「2005年My演芸大賞」を贈呈したいと思います。

2005/12/09

「耐震偽装」の最大の巨悪は「国交省」

kitagawa
「耐震偽装」の悪役は、当初の姉歯設計士から木村建設、そしてヒューザー、最近ではヤッパリ総合経営研究所(総研)と移り変わっています。今回の一連の不正は、売主、設計事務所、工事会社、検査機関がグルになって行ったものであり、全体のプロデユーサーが経営コンサルタントであったという全容が、ようやく見えてきました。

私は以前から建築の不正が構造的な問題に起因するし、それを承知しながら放置してきた国土交通省(旧建設省)に最大の責任があると書いてきましたが、この主張は今も変っていません。
恐らくは、別のグループでもこうした組織的不正は行われている筈ですし、慌てて対応策を講じている企業も多いと思います。
国交省は、個々の事例について具体的な把握はしていないでしょうが、業界全体で日常的、組織的に不正が行われている実態は掌握しています。
建築基準法の改正などで、国交省に担当官が業界に対する説明会を開くことがありますが、彼らは業界で起きている状況を正確に掴んでいます。

最近「役人」という言葉が否定的に使われることが多いようですが、私は日本の役人、官僚制度というのは非常に優秀だと思っています。本省の課長代理クラスの人と会いますと、その頭の回転の早さ、理解力に驚かされます。民間企業ではメッタにお眼にかかれない人材です。官僚から国会議員になる人が多いのも肯けます。
ただ頭の使う方向が違うのです。建築行政でいえば、消費者の立場に立たず、ゼネコンとハウスメーカーのご都合だけを優先させています。

道路行政は、道路の利用者本位では無く、道路公団中心でした。
財務省は、金融機関の不良債権処理を優先させ、いつまでも預金者にはゼロ金利を押し付けています。金利は自由化されているのに、銀行間の利率の差は殆ど無い。財務省が銀行の「談合」を許しているせいですね。
厚生労働省の医療行政は、製薬会社と医師会の顔色だけを見ています。
官僚の優秀なアタマは、国民向けではなく、業界の利益優先に使われている、これが最大の問題です。

今回の「耐震偽装」の被害について、当初国交省は民間同士の問題なので行政は介入しないと言明していましたが、その後緊急の公的支援策を発表しました。
さすがに後ろめたい気持ちがあったのでしょう。

根本的には、国交省の役人の優秀な頭脳を、消費者本位に切り替えさせるころが大事でしょうが、先ずは建築基準法を厳守させることが前提になります。
建築基準法はその第1条に「建物の最低の基準を定める法律である」とあるように、最低基準しか定めていません。処が現実には、その最低基準さえ守られていないのが現状なのです。
①今回の件に関して、民間検査機関が通常の検査では不正は発見できなかったと証言しています。検査機能を官から民へ移す段階で、どのような検査マニュアルを指示したのでしょうか。今回の不正を教訓にして、検査の内容、手順を厳しく見直す必要があります。
②法律では施工にあたり、工事監理者を選定し届け出る必要がありますが、これが現在有名無実となっています。工事監理をゼネコンやハウスメーカーが指定できる現在の制度を改め、公正な工事監理を行えるようにすべきです。
③「工事完了届け」を行政に提出し、行政は「完了届け」を受理した後に完了検査を行い、合格した建物に「検査済証」を発行しています。この「検査済証」が無い建物は使用できないことになっているのですが、最近の調査で30%程度の建物が違反しているとのことです。これは法を遵守させるべきです。

国交省がその気になりさえすれば、建築業界の不正は大幅に減少すると思います。

2005/12/04

どう防ぐ「少女への性犯罪」

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11月22日の広島で起きた女児殺害事件から10日足らずで、又栃木で小学校1年生の児童が殺害され、社会に大きな衝撃を与えました。ご遺族の怒りと悲しみは、想像するだけで胸が痛みます。
子供は生まれて6歳までは、完全な親の保護の下にありますが、小学校へ入学した途端、自力で登下校し始め、いきなり世間の風を受けることになります。
つまりこの時期の子供は、最も弱い立場にあるわけです。
こうした子供を狙う今回のような犯罪は、極めて悪質なもので、断じて許しがたい犯罪です。

広島で起きた事件は未だ全容が解明されていませんが、逮捕されたフアンカルロス・ピサロ・ヤギ容疑者が過去3回にわたって少女暴行未遂事件を起こし、1992年、94年、95年の裁判記録が残されていることを明らかになっています。
この事件は1年前に起きた奈良児童殺害事件と同様に、少女暴行常習者がエスカレートして引き起した可能性が高いと言えるでしょう。

少女(幼女)に対する性犯罪者の特徴は、一人の犯人が複数の、それも数十名から百名を越すような多数の被害を与えるケースが多いこと、再犯率が高く手口も次第にエスカレートする傾向にあることです。
従って、こうした犯罪者を従来のような受刑生活により矯正することは不可能と思われます。

又こうした事件を防止するために地域のコミュニティの必要性が指摘されていますが、現実には寧ろ困難になりつつあります。
卑近な例ですが、ご近所に小学校1-2年生の少女がいて、時々下校した際に親が外出して締め出されていることがあります。
以前なら気軽に、親御さんが帰宅するまで我が家で遊んでいなさいと言えたのですが、当今はそれすら出来ない、こちらが遠慮してしまう、うっかり声も掛けられない。
犯罪の多発は、地域コミュニティさえ破壊し、それが又犯罪の温床となりうるという悪循環を生んでいるように思います。

こうした犯罪の防止策は、決定的なものはありません。
良く話題に上るメーガン法でも、犯罪被害者の意見によると、個人情報や犯歴を公開された人物が自分の近所に住んでいることが分っても、子供のほうがビクビクしながら生活しなければならない。そもそも、周囲が見張らなきゃいけないほど再犯の危険がある人間を、どうしてそんなに早く刑務所から出してしまうのかという、根本的な疑問に対する解決にならない、こういう見解が示されています。

対策としては、被害者の大半は低学年の少女であり、登下校の一人になる時間帯に集中していますので、この時間に大人の目が行き届くようにする。
幸い高齢化社会で、元気な高齢者が地域には沢山いますから、そうした人をボランティア登録してもらい、家族の付き添いが困難な児童については、登下校に付き添いを頼んだらどうでしょうか。

性犯罪者も更生教育につぃては、従来効果が疑問視されてきましたが、最近の研究によると、「認知行動療法」(詳しくは、http://macska.org/meg/offenderprog.html を参照下さい)が効果的で、再犯率が4割下がったという報告もあるようですから、今後こうした更生プログラムを積極的に取り入れ、再犯率を低下させる努力を行う必要があるでしょう。

次に厳罰化です。特に小学校亭学年の児童に対する性犯罪は、罰則を強化すべきです。こうした児童に対する暴行罪の再犯者は、生涯刑務所に入れると言う位の重罪にすべきです。
そのためには、早期に刑法を改正し、「終身刑制度」を導入する必要があります。
「終身刑」の導入については、死刑廃止論の人も、存続論の人も異論は少ないようですから、早く実現して欲しいと願っています。

とにかく幼い子供を社会が共同して守るという決意と体制を作ることが、こうした犯罪の防止に有効であると考えます。

2005/12/01

「耐震偽装」を生み出す底流

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姉歯建築士の不正に始まった「耐震偽装」は、調査が進むと共に次々と被害の実態が明らかとなっています。今後は、他の業者の物件でも同様の不正が発覚し、大きな問題となる可能性が十分あります。
以前の記事で、今回の不正は建設業界の体質そのものが生み出したこと、その背景に「政・官・財」(正確には更に「学」が加わる)の癒着構造があることを記しました。
今回は建設業界から政界への資金の流れについて述べてみたいと思います。

自民党(支部や議員、後援会を含む)への政治献金で、建設業界は最大の資金源と言えるでしょう。それも正式に届けられるオモテの政治献金といわゆるウラ献金と両方ですから、正確に実態が掴めないくらい多額なものです。
先ず政治家が公共事業を取ってきます。次に官から民へ、本体秘密にすべき工事予算が伝えられます。ゼネコンは、仕切り役を中心に「談合」して、受注業者を決めます。この結果民間工事に比べて、はるかに高い利益を確保することが出来ます。
この見返りとしては、一つには建設業者から政治家への政治献金であり、もう一つは官の退職者の民間業者への天下りです。
これが、典型的な資金の流れであり、「政・官・財」癒着の構造です。だからいくら「談合」を摘発しても、絶対に無くならない。
「談合」こそが、金を生む「打ちでの小槌」ですから。

しかし、政治家というものは因果な職業で、こうしたオモテの金だけでは足りず、どうしてもウラの金が必要になるようです。裏金の作り方は私の専門ではないので、業界関係者から実際聞いた一例をご紹介します。
建設工事には、沢山の業者が関わりますが、それらの下請け孫受けから集金し、ゼネコンの幹部社員の個人口座に入金させます。ここで裏金が出来ます。これを財源にして、収支報告書に記載しない、領収書がいらない政治家へのウラ献金を捻出するそうです。

ここで思い出して頂きたいのは、今回の「耐震偽装」で木村建設の篠塚明東京支店長の個人口座に、姉歯からのリベートを振り込ませていました。この事実は木村社長も認めています。
処が、先日行われた衆院の参考人質疑で、木村社長と共に堂々と篠塚支店長が出席し、悪びれた様子も無く質問に答えていましたね。使い道を尋ねられると、「自分の営業経費」と答えていましたが、つまり社長公認の裏金であったと想定されます。
ヒューザーも木村建設も政治献金はむろん行っていますが、恐らくこうした手口でウラ献金もしていたのでしょう。

11月26日自民党の武部勤幹事長が講演で、耐震強度偽造問題に関して「悪者探しに終始すると、マンション業界つぶれますよ、ばたばたと。不動産業界も参ってきますよ。景気がこれでおかしくなるほどの大きな問題です。」と述べました。
この発言は大切なスポンサーである建設・不動産業界へのリップサービスであり、政府・与党の本音を代弁したものです。

建設業界が、政治家への資金を生み出す温床と」なっている間は、業界の健全化は実現しません。
「談合」や「裏金」や「天下り」、不正行為には厳しい処罰を与え、関与した業者は公共工事から締め出すなどの制度を作っていかないと、建築の不正はこれからも決して無くなりません。

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