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2005/12/12

創作小咄「身代わり」

なんにしても夫婦に赤ちゃんが生まれるというのは大変なことで、最初のお子さんでは特にそうですな。
夫“いよいよ明日が予定日だね。順調に生まれるといいね。”
妻“さっきね、お医者さんも多分明日の夕方ごろかなって、仰ってたわよ。でもね、私初めての出産でしょ。あの陣痛というのがすごく痛いらしいのよ。分娩の時だって気絶しそうに辛いんだそうよ。そう考えると、あなた、私もう不安で不安で、いても立ってもいられないのよ。”
夫“そりゃそうだな。それでなくとも君はこれから母親として、出産の後も赤ちゃんの面倒を見なくちゃいけないし、大変だよな。それじゃ、こうしよう。今から神様にお祈りして、母親になり代わって父親が、陣痛や分娩の痛みを全部引き受けるからと、よーくお願いしとくからね。”
妻“まあ、あなた、嬉しいわ。”

夫“今赤ちゃんを見てきたよ。玉のような男の子で、元気に泣いてたよ。自分の子っていうのは実に可愛いもんだね。”
妻“それに、あなたのお祈りが効いたせいか、私陣痛も分娩の痛みも全く無かったのよ。でもあなたの方は大変だったんでしょ?”
夫“それが不思議でさあ。ボクの方も全く痛みがこなかったんだよ。”
妻“まあ、それは良かったわ。きっとあなたが普段から信心をしているお陰よ。神様がゴリヤクを下さったんだわ。”

翌朝、この男が出勤しようと家を出ると、隣のご主人とパッタリ顔を合わせました。
夫“やあ、これはお隣のご主人、何だか今朝は随分と顔色が悪いようですが、どうかされましたか?”
隣家の男“やあ、実は昨日午後からひどいハラ痛になりましてな、夕方までもう七転八倒の苦しみでした。あんな辛い思いをしたのは初めてでしたよ。”

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