「耐震偽装」という砂上の楼閣
昨日の「耐震偽装」証人喚問ですが、時間をかけた割には、肝心な所が詰め切れなかい結果となりました。即ち、関係者がどれだけ“違法性”を承知していたかが焦点でしたが、姉歯を除いては全員が否定しましたし、彼らに“違法性”を認めさせる証拠が示せなかった。
㎡単価とか、㎡当たりの鉄筋量が書かれた文書も出ていましたが、あれだけでは指示書なのか、施主が希望するコスト(工事で施主がコストを提示するのは当たり前)を示したものかが、はっきりしません。
それにしても証人達の言動、開き直りあり、泣き落としあり、引かれ者の小唄ありで、まるで時代劇のお白州の場面を見ているようでした。当初は諸悪の根源のように言われていた姉歯が、一番善良な人物に見える始末です。内河については、さすがに三百代言でメシを食ってきた人間らしい、厚顔無恥な立ち振る舞いが目に付きました。
中継を見ていた多くの方が、こういう人物が集まって家を建てたり、ビルを作っていたのかと呆れたと思われますが、正しくああいう人間が建築に携わっているのは事実です。確かに誠実に仕事をしている建設業の方もいます。しかしそれは少数で、たまにそういう方に巡り合うと、何か砂漠で泉に出会ったような気分になります。
昨日も姉歯が、「今日は平成設計の名刺でと、指示された」との証言がありましたが、あれも日常茶飯事、私も他社の制服とヘルメットで建築現場に入ったことがありました。
「キックバック」も当たり前の世界で、政治家がそのウワマエをハネテいるのも日常の風景です。
ピンハネのウワマエをしている政党や政治家が、マトモに追求できる筈がありません。
昨日の証人喚問も、そこまで話が及べば、もっと面白かったのでしょうが。
今回の「耐震偽装」不正は、関係者全員が法律違反という“砂上の楼閣”の上で、関係者全員が金儲けを企んで動き回った結果です。文字通り「耐震偽装」という砂上にビルやマンションを建てたわけです。
聖書のマタイ福音書7章に次のキリストの言葉が書かれています。
『それで、わたしのこれらの言葉を聞いて行うものを、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができよう。
雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけても、倒れることはない。岩を土台としているからである。
また、わたしのこれらの言葉を聞いても行わない者を、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができよう。
雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまう。そしてその倒れ方はひどいのである。』
今回の件は、「砂の上に家を建てた愚かな人々」に「洪水が押し寄せ、倒れてしまった」結果であり、人間の知恵というのは、約2000年の時を隔てても、余り変らないものだということをつくづくと感じました。
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真相解明への端緒となり得る内容だったと言えるだろう。
衆院国土交通委員会で、耐震強度の偽装問題について初の証人喚問が行われ、姉歯秀次・元1級建築士らが証言した。
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TBありがとうございます。
政党や政治家まで追及の手が伸びないと、何のための証人喚問かという結果になりますね。
投稿: henry | 2005/12/16 11:55