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2006/01/08

「驕り」が目立つ近頃の小泉発言

koizumi
日本海側を中心とする記録的な大雪は、甚大な被害をもたらしています。豪雪による死者は8日午後5時現在の集計で16道県計67人に上り、負傷者は30道府県計1127人(重傷は352人)に達する惨事となっています。被害は鉄道や道路からライフラインにまで影響が広がっており、野菜の高値が続いています。最近我が家の食卓に、葉物野菜の姿がすっかり消えてしまいました。
地方自治体によっては、除雪費用に充てる予算を既に使い切ってしまい、これから本格的な寒さに向かい深刻な事態に追い込まれています。
ところが被害の大きさに比べ、どうも政府の対応は鈍い。
一昨日の小泉総理の会見でも、この件でコメントを求められると「大雪の被害が出ないよう、しっかりとした対策が必要ですね。」などと、およそ他人事のような気の無い返事でした。
小泉という人は、自分に興味のある問題になると自説をとうとうと述べますが、自分に関心が無い問題になると途端に木で鼻をくくったような言い方になります。
目下の関心事は「ポスト小泉」、なるほど郵便局のカタがついたので次は「ポスト」ですか、モノは順に行ってますな。

今年の総理年頭記者会見での小泉首相の発言で、報道機関で余り大きく取上げなかったのですが、これは看過できないと思われる一言がありました。それは次の発言です。
「一国の首相が一国民として戦没者に哀悼の念をもって靖国参拝する。日本人からの批判は理解できない。精神の自由に、政治が関与することを嫌う知識人や言論人が批判することも理解できない。」
従来中韓など海外からの批判についての反論はありましたが、日本国内での反対論を「理解できない」と断じたのは、恐らく始めてではないでしょうか。

私は首相の靖国参拝には反対ですが、「戦没者の方々に心から哀悼の誠をささげたいという気持ち」は理解できますし、私自身もそうした心境から、靖国神社に参拝したことがあります。
現在小泉総理に問われているのは、そうした個人的心情ではなく、国の最高指導者の行動として適切か否かです。

靖国神社は単なる戦没者慰霊の宗教施設ではない、これは恐らく多くの方が実感していると思われます。
戦前は神道を事実上の国教とする国家神道の頂点に立つ宗教施設であり、他の神社と異なり軍部の管轄下で軍事的役割を果たしていました。
戦後は一宗教法人となりましたが、現在、
・大東亜戦争(太平洋戦争、日中戦争)は日本の自衛のため、そして欧米の植民地であった東アジアに自由と平等を実現するために行われた正当なものであった。
・東京裁判などの戦争裁判は戦勝国が国際法を無視して行なった不法な裁判であり、所謂「戦争犯罪」はすべて冤罪である。
と主張しており、これらは日本政府の公式見解とは異なります。
特に遊就館の展示を見て、宗教施設というよりはプロパガンダ施設という印象を受けた方も多いと思います。
戦前の靖国神社が果たした役割に対して反省どころか、正当化して強弁する姿勢が目立ち、私自身は強い違和感を持ちました。

そうした靖国神社の特異な性格から、戦後の歴代総理が参拝に慎重な態度をとり、新聞各社の論評も反対論が根強い。
総理の足下の自民党内でさえ反対論があるし、過去の世論調査でも賛成反対が拮抗しています。
無論このことは、総理は百も承知の筈です。
反対論に耳を傾けるというのは民主主義の基本ですし、様々な意見を聞いた上で総合的に判断して結論を下すのが、民主主義国家の指導者の在るべき姿です。
それを気に入らない意見は「理解できない」と、問答無用に切り捨てるなら、独裁国家ならいざ知らず、我が国の指導者として資格が問われます。

最近の小泉首相の言動は、権力者の、勝者の驕りを感じますし、もっと云えば些か”図に乗っている”としか思えません。

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コメント

初めまして、TBありがとうございます。
小泉首相はいつもまる投げで、「様々な意見を聞いた上で総合的に判断して結論を下す」ことなんてしたことはなかったと思います。今後も、ないでしょうけど…。
ところで、こちらのブログはよく考えて書かれていますね。落語ネタも関心がありますし、今後は度々拝見させて頂きます。

投稿: 春霞 | 2006/01/08 15:41

まったく同感です。

投稿: おぅんごぉる | 2006/01/08 18:36

春霞様
コメント有難うございます。
落語や寄席の記事は、これからも書きますので、又遊びにおいで下さい。

投稿: home-9 | 2006/01/09 05:00

おぅんごぉる様
コメント有難うございます。
とてもイラストがお上手で感心致しました。
これからも宜しくお願い致します。

投稿: home-9 | 2006/01/09 05:04

TBありがとうございます。
確かに巨大与党になって「はしゃぎすぎている」ことが目につきます。
防衛庁を国防省に昇格させる動きも、そうした現れのように思っています。

投稿: ふくろうの城 | 2006/01/10 00:04

ふくろうの城様
コメント有難うございます。
軍備増強を目指す政治家が、他国と緊張関係を作り出すのは常套手段です。
小泉首相が靖国参拝に拘る唯一の理由は、中韓との緊張関係を強め、国内のナショナリズムを煽り、憲法を改正して強力な軍隊を持つことにあります。
こうした文脈で見ていくと、小泉首相の言動は大変分り易いと思います。

投稿: home-9 | 2006/01/17 10:34

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