「落語マイブーム」の今後を占う
正月だけは歌番組とお笑い・バラエティ番組を見て、今流行っているタレントの顔を認識することにしています。
昨年の流行語に選ばれた何とかHGというタレントの「フォー」を初めて見ましたが、ただ気色悪いだけで、面白さは理解できなかった。「エロかわいい」と言われている倖田來未ですが、こちらも初見でしたが、エロチックでも無いし可愛くも無いので、少々ガッカリしました。
そういえば、一昨年は貧相な芸人が出てきて「ゲッツ」とやっていたし、昨年はギターを持った着流しの芸人が「〇〇斬り、残念」とやっていましたが、ツマラナイ芸だなあと思ってましたら、いつの間にか見かけなくなりました。要は芸の底が浅い。
お笑いというのは、当時何が面白かったのか、それがなぜつまらなくなったのか、誰も説明がつかない、そこが又この世界の難しさです。
今、「お笑いブーム」だそうですね。
それから「落語マイブーム」だそうです。
戦後7回目のお笑いブームという説もあります。この中で1955年前後のブームの時だけ、主役は落語でした。当時ラジオ番組の花形は、落語などの寄席番組でした。
昭和の名人言われた文楽、志ん生、圓生が健在でしたし、多少人気のある落語家の大半がラジオ局と専属契約をして、競って出演していました。
そのあおりで寄席は閑古鳥で、間も無くTVの普及に伴い、動きの大きいコント系の芸人に主役を奪われ、寄席は長い低迷期を迎えます。
現在も人気落語家がどんどんTVに出演するわけでもなく、世間の大きな評判になるわけでもないので、落語ファンだけのマイブームに留まっているわけです。
私が落語ファンの変化を始めて実感したのが2000年です。この年に林家たい平と柳家喬太郎が真打に同時昇進しましたが、その披露公演で前方3列が若い女性で占められていて驚きました。
年寄りだらけ、しかも圧倒的に男性が多い寄席にとっては、明らかな異変でした。
処が最近では、寄席で女性ファンが多いのは当たり前の光景で、時には私のような年配の人間が却って気恥ずかしくなる場合もあります。
現在の「落語マイブーム」を支えているのは女性、それも(お見掛けしたところ)30-40代前後の女性が主力です。
さてこの「落語マイブーム」、これからもしばらく続くのか、それとも一時的に終わるのかですが、私はこれからも続くと見ています。
確かに現在は名人と言われる咄家は誰もいませんが、その代わり40-50代の中堅どころに実力者が揃っています。そして昔のように少し人気が出ると寄席をおろそかにぜず、寄席を大事にし、独演会や勉強会で互いに切磋琢磨して腕を磨いています。
私は1955年当時の落語ブームの寄席を知っていますが、当時と比べると今の方が遥かにレベルが高い。
寄席と芝居は、日本が世界に誇る文化です。
是非皆さんも、寄席や落語会、独演会に足を運んでください。でもあんまりこれ言うと、チケットがますます入手し難くなるので、考え物ですね。
では2005年のMy演芸大賞の発表です。
【大賞】 立川談春「文七元結」
【優秀賞】 柳家三太楼「宗論」
三遊亭金時「青菜」
柳亭市馬「堪忍袋」
立川志の輔「千両みかん」
古今亭菊之丞「二番煎じ」
賞品はありません、名誉だけです。
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早いもので、もう7日です。今朝はおかゆを食べました。
年頭のご挨拶が遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
私の場合、落語を聴くのは殆ど定席の寄席の為、立川流を聴く機会がありません。
今年は、どこかのホールに行ってみようかな?!と思っているのですが…。
投稿: 景牙 | 2006/01/07 11:32