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2006/02/26

企業体質が問われる日経新聞

nikkeitop
又しても日経新聞社の不祥事が発覚しました。昨年6月にキャノンソフトウエア社の株式分割広告に絡んで、日経広告社の営業局長がインサイダー取引を行い、証券取引法違反で告発を受けたばかりです。今回もこうした企業の法定広告に関連したインサイダー取引が行われた模様です。

決算や格式・社債の発行など経営に関わる重要事項については、官報か日刊紙に掲載することが商法により定められていますが、こうした法定広告では日経新聞は圧倒的なシェアを握っています。
広告は数日前には新聞社に持ち込まれるため、広告局の社員は事前に発表の中身を知ることが出来ます。
株式分割であれば株価が上昇する可能性が高いので、事前に購入すれば儲けることが出来ます。
新株予約権つき社債発行の場合は株価が下がる可能性が高いので、売り抜けるか空売りすれば利益が得られるわけです。
今回問題となった社員の場合は、こうした手口で数千万円稼いだそうです。社内調査で当人は、「ゲーム感覚で繰り返した」と語ったとのことですが、冗談ではない。事前予測がつかないならゲームですが、結果が分かっているならゲームとは言わない。

かつては株屋さんの新聞であった日経新聞ですが、今や経営者やビジネスマン必読の経済・産業新聞となりました。記事は企業から直接取る情報が多いので、いきおい社員と企業との接触が深くなります。
企業側としては、自社に有利な記事を書いて欲しいし、不利な情報は掲載して欲しくない。そうなると記者に対して特別な情報を提供したり、時には便宜を計らうこともあるでしょう。
私のいた会社では、取材に来た日経の記者には、手土産程度は渡す習慣がありました。大体3-5千円程度の品物だったと記憶しています。大した金額ではないのですが、企業との距離の置き方としてどうなんだろうかと、私としては多少の違和感がありました。

日経新聞の社員の場合、法定広告や企業からの様々なアプローチを通して、個人的利益を得る機会が多いと思います。それだけに社員に対しては高い倫理性が要求されます。
今回問題となった社員の、“ゲーム感覚でインサイダー取引”という表現自体に、日経新聞社内の規律の緩み、規範の欠如が現れています。
日経では過去、2003年に関連企業である内装工事会社の不正経理・手形乱発事件で社長が辞任に追い込まれています。この件を機に、コンプライアンス遵守のための社内機関を設置しましたが、今回の不正を見る限りでは、有効に働いていないようです。

現在ライブドア事件の捜査が進行中ですが、発表された情報を見る限りでは、少なくとも堀江被告らは企業の利益のために犯罪を起こしていたと考えられます。
しかし今回の日経社員の場合は、自己の利益つまり私腹を肥やす目的でのインサイダー取引ですから、見方によってはこちらの方が遥かに悪質です。
証券取引等監視委員会は勿論のこと、日経新聞社内においても厳正な調査と処分、再発防止に取り組んで欲しいと思います。

2006/02/25

イナバウアーの白うさぎ

arakawa
寄席で紙切りの芸人が言っていましたが、オリンピックが始まって女子フィギュアがスタートする前は「安藤美姫」というリクエストばかりだったが、ショートプログラム(SP)の結果が出た途端「女子フィギュア」に変わり、金メダル獲得後は「荒川静香」一色だとか。

海外メディアの日本の獲得メダル予想では荒川+1個の声が高かったのですが、国内の人気という点では今一つだった荒川選手、クールビューティと呼ばれる冷静な表情が、スポーツに熱血や根性を求める日本人の国民性からややずれていたのでしょう。
表彰式後のインタビューでも「未だに信じられない」という感想を連発した彼女、JOC関係者としては「ようやく日本にメダルを持ち帰ることができます」という一言を聞きたかったでしょうが、そういう“お約束”に乗らない所は、いかにも荒川らしい。
得点に全く貢献しないイナバウアーにこだわる彼女の姿が、二重写しとなります。

2004年の世界選手権で頂点に立ち、一度は引退を考えていた荒川ですが、2005年の大会で一気に9位まで転げ落ち、その屈辱感から「このままでは終われない」ともう一度五輪代表へ執念を燃やしたと聞いて、クールな表情の下にある熱情を知ることができました。
会場に掲げられていた標語の『Passion lives here.』を正に地で行っていたわけです。

他の競技でもそうかも知れませんが、フィギュアスケートは毎回選手達の人生が投影されます。
ロシア代表のスルツカヤは、自身悲願の金メダル獲得という目標に加えて、今回はロシアのフィギュア4種目完全制覇と、ソ連時代からただ一つ実現していない女子での金メダル獲得という国家的な目標が、彼女に重くのしかかっていました。
フリーでは最初から彼女らしからぬ滑り出しで心配していましたが、転倒もあって全般に精彩を欠き、3位に終わってしまいました。
ここ10年近く世界の女子フィギュア界のトップに君臨してきた彼女ですが、万全でない体調に対して余りに過重なプレッシャーが彼女を押し潰してしまったのでしょうか。
インタビューでは「That’s life.(これが人生よ)」と冷静に答えながら、会場裏では悔し涙を流していたそうです。
血管の難病と闘いながらのスルツカヤの競技人生に対して、トリノの観客は大きな声援を送っていたのが印象的でした。

米国代表のコーエン、SPでは1位に立ちながら、フリーでの2度の転倒に沈み2位にとどまりました。
フリー直前のウォーミングアップで度々転倒する彼女を見て、異変は感じていました。恐らくは足に故障があったのでしょう。
コーエンはソルトレーク五輪でメダルを逃し、壁に向かって号泣したと伝えられています。
今回はやはり米国代表であったミシェルクワンが練習で足を痛め、急遽大会出場を断念するというアクシデントがあり、彼女が星条旗の重圧を背負うことになりました。
しかし転倒による精神的落胆と体調不良に立ち向かっての、フリー後半の演技は実に見事なものでした。
間違いなくコーエンは、これからの女子フィギュア界を背負っていける選手です。

4位に終わりましたが村主章枝は、私の父性愛本能を大いに刺激してくれました。

こうして選手達の人生を考えながら楽しんだフィギュアの種目は全て終了しました。
今夜からはぐっすり寝られそうです。

2006/02/22

東京都庁舎は「欠陥ビル」ですか

tocho
以前このブログで記事にしたテーマで、昨日改めて話題になった問題がありましたので、取り上げてみました。
一つは東京都庁舎です。2005年5月25日付の記事「丹下氏、そして都庁舎のこと」で、故丹下健三氏設計のこの建物が、デザインに品が無いだけでなく、「バブルの塔と呼ばれている建築費用の無駄使い(不透明な金の話も一部ありました)、毎年かかる膨大な維持費、都民の一人である私にとって、ウラミの対象でしかありません」と書きました。

そこで今この庁舎がどうなっているかといえば、築15年にして雨漏りがしていて、天井裏はポリバケツとビニールシートで応急措置がされているそうです。
年間で修繕費に18億円、光熱費を含めた管理経費に34億円掛けてなおこの有り様です。都の担当者は「都がランニングコストを考えずに、デザイン優先で決めた結果だ」と語っていますが、こんなことは当初から指摘されていて、分りきったことでした。
そのデザインにしても、私は公共施設、特に首都の庁舎として品格に欠けると思っていますし、これも当時から多くの建築家が指摘していました。
加えて不透明な金の流れがあり、総工費1570億円の一部は、建設費以外に使われた可能性が高い。

東京都庁舎ははっきりいえば「欠陥ビル」と言って過言ではないし、当時の設計者である丹下氏と、都知事であった鈴木俊一氏の責任は免れないものと思います。しかし15年経ってますから、今更責任追及は出来ないですね。
都は、今後計画的な本格修繕を検討しているそうですが、現時点の試算結果によれば1000億円に達するそうです。
この建物はバブル最盛期に計画され建てられたもので、今なら相当安く出来るでしょう。談合抜き、裏金抜きにすれば更にコストは下がりますので、仮に新規に建て直しても、修繕費と同程度の金額に抑えられると想定されます。
ここは耐用年数ギリギリまで辛抱して使って貰い、新しく建て替える道を選んで貰いましょう。

もう一つは、2005年4月8日付の記事「子供を宗教活動にまきこむな」でとり上げた、聖神中央教会という宗教法人で、代表者の金保が多数の信者の少女を強姦したとして逮捕された事件です。
21日京都地裁で判決が出され、「被害者が神に近い存在として見ていた地位を乱用し、常習的に犯行を繰り返していたものであり、性犯罪の中でも類を見ないほど悪質」として、懲役20年を言い渡しました。

被害者の少女の多くが後遺症に苦しむ一方、合計22件の暴行を繰り返していた被告は、拘置所から被害者宅に手紙を出し、「今回の件は、偽りに満ちている、信じてください。」「悪魔との闘いに勝利してください。愛しています。」「最後まで付いてきなさい。」といった文面を送りつけ、一層被害者の怒りをかっていたそうですから、当然の量刑といえるでしょう。

私はその時の記事に、「今回の事件は、信者である彼らが宗教施設に子供を連れて行き、宿泊までさせていたことにも原因があったのではないか。子供さんたちは確かに被害者で、本当にお気の毒と思いますが、親である信者は、見方によっては加害者ではないだろうか。厳しいかも知れませんが、親としての保護責任が問われると、私は思います。」と書きましたが、この事件の後も、宗教団体内部での性的被害が跡を絶ちません。
当時の指摘は正鵠を得ているものと考えます。

2006/02/19

イスラム諷刺漫画と表現の自由

muhammad
米国に対する批判が多いこのブログですが、今回はアメリカ政府の見識を評価したいと思います。
デンマークの新聞がイスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画を掲載した問題で、イスラム教徒による抗議行動が世界的広がりを見せています。
概して西側のジャーナリズムの反応(日本を含む)は、表現の自由を理由にして、こうした抗議行動に批判的な論調が目立ちます。
先日米国務省のヒギンズ報道官が会見で、「このようなやり方で宗教的、民族的な憎悪を煽ることは受け入れられない」「これらの漫画はまさにイスラム教徒への侮辱だ」「我々は皆、言論・表現の自由を完全に尊重しているが、その自由には言論側の責任も伴う。すべての社会およびその宗教上の信条・行為に対する寛容と尊重を呼び掛けたい」と語っています。〔AFP=時事〕

こうした見解と、米国のアフガニスタンやイラクに対する武力行使と、どう整合するのか疑問ではありますが、それはそれとして先ずはこの発言を支持します。

私が問題にしたいのは、ムハンマドが爆弾の形をしたターバンを巻いている図柄を描いたこの諷刺画の作者が、「イスラム教の信仰がテロリズムの『精神的な弾薬』になっているとの思いを漫画にしたと」と主張している点です。この作者はどの程度イスラム教やコーランを勉強しているのかと、疑問を持ちます。
確かに現在一部のイスラム教徒が神の名の下に自爆テロを行って、毎日多数の犠牲者を出しています。しかしこのテロにより死亡したり傷ついたりする人の中には、多くのイスラム教徒やその支援者、米国のイラク戦争に反対している人も含まれています。
こうした無差別テロは厳しく批判されなくてはいけませんが、それとイスラム教そのものを冒涜することとは全く別の問題です。

テヘラン在住の日本人が書かれているブログ『イランという国』(http://malicieuse.exblog.jp/m2006-02-01/#4146257)の記事の中から、コーランについての記述を引用したいと思います。
「いけないのは、他人に不当なことをして、むやみやたら日常で横暴を働く者ども。こういう者どもは今にひどい天罰を蒙ろうぞ。だが本当は、害されてもじっと堪え、赦してやるのが誠の道というもの」(コーラン相談章第37-42節)
「人を殺したとか、あるいは地上で何か悪事をなしたとかいう理由もないのに他人を殺害する者は、全人類を一度に殺したのと同等に見なされ、反対に誰か他人の命を一つでも救った者はあたかも全人類を一度に救ったのと同等に見なされる、とした」(コーラン食卓章第32節)
「自分の敵とする人々を憎むあまり正義の道を踏み外してはならぬ。常に公正であれ。それこそ真の敬神に近い。アッラーを懼れまつれ。アッラーは汝らの所行一切に通暁し給う」(コーラン食卓章第8節)

悪いのは、コーランの片言隻語を取り出して捻じ曲げ解釈し、無差別テロを煽る一部の指導者であって、諷刺画の作者が言うようにイスラム教がテロの精神的な弾薬ではないし、この点は作者の曲解ないしは無知によるところでしょう。

言論・表現の自由は大事ですが、同時にマスメディアは、「人情あればご先祖様や尊敬する先人を公衆で貶されたアラブの方々やイスラームを信仰する方々に同情せざるをえません。この事件をきっかけにマスコミ各社が主張している『言論の自由』は『無知やら無縁を理由にできる公衆での嘲笑』の権利を含むのでしょうか」という指摘に(ブログ『Tant Pis!Tant Mieux!そりゃよござんした。』〈http://malicieuse.exblog.jp/m2006-02-01/#4146257〉より)、耳を傾けるべきでしょう。

日本もこれから少子化対策として、いずれ海外から労働力を受け入れることになります。
その際そうした人々の宗教や民族、祖先に対する敬愛、誇りに対して、十分な配慮が必要になると思います。
(今回の記事は、性格上引用が多くなりましたが、ご了承下さい。)

2006/02/18

トリノ五輪、もっと気楽にいきましょうよ。

ando
トリノオリンピックも中盤を迎えました。冬季のスポーツにはさほど関心がないので、余り熱心に見ているわけではないのですが、どうも気になることが一つあります。
TV各局のスポーツコーナーでの、キャスターの第一声が決まって「日本選手、今日もメダルに手が届きません」で始まることです。
気のせいか、現地中継のアナウンサーが日に日に元気が無くなっています。
大会ごとに目標メダル獲得数を掲げたり、話題が専ら日本選手のメダルだけに集中するようになったのは、いつ頃からですかね。スポーツ大会なのだから、その競技の関係者や関心がある人が、世界トップレベルの技を楽しめば、それで良いのでは。

過去の冬季オリンピックの結果を見ても、開催国であった札幌と長野の大会を除けば、日本のメダル数は1~2個が大半で、ゼロの大会も結構ありました。
今大会も海外メディアの予測では、フィギュアスケートの女子で1個それにうまく行けばプラス1個とされており、現在までの結果はそう予測が外れていない。
期待や応援は当然としても、同時に日本の力を客観的に見る目も必要でしょう。
成績のパッとしない子に、東大合格を期待しても仕方がないですし。

奥様から、「あらあんた、そんなにスケートが好きだったかしら」などと嫌みを言われながら、フィギュアの安藤美姫さんの演技を、TV画面に食い入るように見ているお父さんも多いでしょう。それもリッパなスポーツ観賞方法ですね。
でもやはり冬季オリンピックといえばアルペン競技、それもスキーの滑降と回転競技が醍醐味です。私はスキーを一度もやったことが無いのですが、滑降の中継を見ているだけで、体がワクワクしてきます。順位がどうのという前に、ああしたコースを滑りきりゴールする選手を見るだけで、尊敬の念が湧いてきます。
ケニアからたった一人参加したクロスカントリー選手への暖かい声援を見ていると、気持ちが和んできます。

今日の早朝は、スケートのアイスダンスが行われました。日本も2大会ぶりに代表が出場しています。
この競技などは、さしずめ世界の美男美女大会の様相を呈しており、私の場合は女子選手のスタイルの美しさ、あでやかなコスチューム、優雅な動きにウットリと見とれていました。
アイスダンスの場合、コンビを組んで10年を越すカップルが多い。従って競技を通して、この二人の年輪を感じることができるのも魅力ですね。
それとフィギュアのペアもそうなのですが、演技が終わった後に二人で抱き合ったり、キスしたり、男性が女性の肩を抱いたりしますが、その様子からビミョウに二人の親密度が分ります。
中には同じペアを十数年続けているのに結婚していないケースもあり、ついつい事情をあれこれ詮索したくなります。
スポーツ観賞としてはやや邪道かもしれませんが、これも一つの楽しみ方です。

勝つことだけがスポーツではない、これは阪神ファンを50年間続けてきた私が達した心境です。

2006/02/15

ライブドア事件の「功」と「罪」

horie2
2月13日東京地検特捜部は、ライブドア(LD)とライブドアマーケッティング(LDM)2社と、堀江前社長以下4名を起訴しました。地検の伊藤次席検事の談話では、「LDグループが急成長を遂げた鍵が証券取引の公正を害する犯罪行為にあった・・・本件はその一端で、全容解明に向け徹底的に捜査する。」と、強い決意を示しています。
ライブドア事件、あるいはホリエモン事件とよんだ方が分り易いのかこの「罪」は、既に傘下に収めていた企業を子会社にすると発表したり、利益を水増ししたりして子会社の株価を上げ、高値で売り抜けていたことです。
更に投資事業組合や海外の金融機関を迂回して、自社株の売却収入をLD本体の売り上げに還流し、決算を粉飾していた疑いが持たれています。自社株を売った金は企業の売り上げに計上してはいけないのですが、利益の水増し→株価のつり上げ→株式交換による企業買収というLDの戦略のために、敢えてこうした不正行為を日常的に行ったものと見なされています。
こうした一連の行為は「取引の公正」を定めた証券取引法に違反しており、今回のように企業とその役員が逮捕・起訴されたものです。

さらにこの事件の副次的効果として、LDグループの強制捜査に端を発した株式の暴落と、市場の混乱が起きました。LD社の株は元々が個人株主が多かったことから、多くのLD株主の損失を招いたものです。
又株式市場全体の下落により、特に信用取引を行っていた投資家が追加担保の差し入れを求められて持ち株を投売りし、大きな損失を出した人もいるようです。これはライブドア事件のもう一つの「罪」といえるでしょう。

ではこの事件の「功」とは何でしょうか。それはこの事件から、私たちが得るべき教訓だろうと思います。
この事件は元々が経済事件でしたが、ライブドアあるいはホリエモンが一種の社会現象になっていたことから、影響は政治を含めて社会全体に広がっています。
堀江前社長は「時代の寵児」とよばれていましたが、これは正に小泉総理の進めた「改革の寵児」を意味しています。数日前の与謝野大臣の記者会見によれば、金融庁は相当以前からLD社の違法行為に着目し資料を集めていた。それを小泉総理は始め政府首脳や自民党幹部は当然知っていた筈です。
そうしたリスクを負ってまで党を挙げて支援したのは、選挙を通して国民に「改革」の成果を眼に見える形で示したかったからでしょう。
今回の事件により、そうした「改革」の「光」の部分が、「影」に暗転したわけです。
今回のライブドア事件は、小泉「改革」の粉飾決算も又問われていると考えます。

次に株式市場に参加している投資家は、この事件からどのような教訓を得るべきでしょうか。
これは私見ですが、LD社の株を買った多くの個人投資家は、恐らくはライブドアやホリエモンへの人気を根拠としたと思われます。人気と実績が食い違うことは世間によくあることです。
今回の株式市場の混乱で思い出すのは、1999年から2000年に掛けて起きた、ネット(IT)バブルとその崩壊です。
日本の金融機関や企業はバブル崩壊で大きな痛手を負いましたが、この時のネットバブル崩壊では、多くの個人投資家が莫大な損失を被りました。
その当時の教訓として書かれていた記事がありましたので、その一部を引用します。
・投資対象についてほとんど知識なく 大きなリスクを好まない個人投資家には インターネット銘柄への投資を勧められません。
・ビジネスモデルがしっかりしていないインターネット・ビジネスは 駄目です。 実績のないネットビジネスに 個人が投資するなら 市場の評価や人気で決めるのは危険です。
・投資は自己責任で行うべきであり 情報開示がその前提ですが 肝心な情報はなかなか得難いものです。

歴史は繰り返す、ただし2回目は喜劇として。

ネットでの株式投資が普及したため、多くの個人が容易に市場に参加できるようになりました。
しかし株式市場そのものは、生き馬の目を抜く世界であることに今も昔も変わりない。
今回のライブドアショックで、お年寄が老後の資金を失ったとか、小学生の貯めていた小遣いが紙くずになったとか、そんな声を耳にしますが、そういう人が株式市場に参加することは間違っていると思います。それでも参加するのは自由ですが、それなら損をしても泣き言をいわないことです。

個人投資家が売買している株のおよそ半分が、信用取引だと聞かされて驚いています。
かつてはプロの世界であった信用取引に、素人がそんなに簡単に手を出して良いのでしょうか。
今回の事件で堀江被告への批判の声は強い。
しかし、ホリエモン現象は社会全体に蔓延しているのではないだろうか、私はそう危惧しています。

2006/02/12

近頃「らくご」を聴くのも「らく」じゃない

sanshi
珍しく風邪をひいたらしく熱が38度も出て、今日のアタシはリトル気分がすぐれない。そんなわけでこう毎日寒い日と温かい日が交互にくれば、体調を崩す人も多いだろうな・・・と思う今日このごろ、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
イケネエ、誰かの文体がうつっちまった。

昨年の「志の輔noにぎわい」の記事で、今後ここで志の輔が見るのは難しくなってくると書きましたが、悪い予感があたりました。
3月公演は2月10日11時から電話予約開始だったのですが、30分後にようやく電話がつながったら、既にsold outでした。
窓口発売が10時からだったのですが、それで売り切れになったと説明がありました。
アーア、後はホールでの公演を狙うしかないですね。しかし本当は、落語なぞはホールで聴くものじゃないんですがね。
立川志の輔の現在の人気と、常に観客を満足させるサービス精神と、1日公演であり、横浜にぎわい座という小屋の大きさからして、私の希望は贅沢なのでしょうか。

その日ネットで鈴本演芸場のHPにアクセスしたら、4月中席10日間に「桂三枝」がトリをつとめるとあり、前売りは窓口で11日午前10時よりと書いてありましたので、昨日9時に鈴本に行ってきました。
そうしたら、シャッターが下りていて、発売開始時間が午後1時と表示されています。腹が立ちましたが、私と同様もう一人来ていたオジサンとブツブツ言いながら、とにかく帰宅。
「チケットぴあ」でも発売するのを思い出し、10時丁度にネットにアクセス、15分後にようやく申し込みが出来て、後ろの席でしたがとにかく希望日のチケットをゲット。こちらは10日間の興行なので、何とか取れたんです。

11日10時から、国立演芸場の3月公演の電話発売日でもありまして、3月の「花形演芸会」のチケット、こちらの方は比較的早く電話がつながり、希望の最前列の席が取れました。

寄席だの落語会というのは、今日はちょっと寄席にでも行って笑ってくるかと、フラリと出かけるのが本来の姿です。
もうそんな事は言ってられない時代です。
お客が4人しかいなかったと昔の寄席が懐かしくなりますね。

2006/02/08

馬脚を露わす「小泉改革」

koizumi
私は以前から、小泉首相が唱えている「改革」は見掛け倒しであり、本当の改革とは程遠い事を指摘してきましたが、ここ数日の動きを見ると、ますますこの感を深くします。

1月31日に、自民・公明両党が提出していた「議員年金廃止法案」が衆院を通過し、今年4月からの同年金の大幅な制度変更が確実になりました。
しかしこの法案は「廃止」とは名ばかりで、廃止されるのは議員が支払う掛け金だけで、議員年金受給の道を残す内容になっています。
具体的には、現職議員は次のいずれかが選択ができます。
(1)掛け金を2割削減し返還
(2)4月で在職10年を超える議員には現行水準より15%削減した年金を受給する
無論(2)を選択したほうが有利に決まっています。
そうすると、勤続10年以上の議員は65歳から毎年352万円の年金を生涯受け取れます。
一方年金制度廃止に伴い、議員の掛け金はゼロになりますので、つまり今後は国庫負担100%の、とてもオイシイ年金制度に「改革」されたわけです。

2月7日高速道路整備計画を審議する国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議、北側国土交通相の諮問機関)が、国の整備計画9342キロのうち、事業主体が未定だった19路線・49区間(1276キロ)について整備方法を決めました。
その内容は、民営化会社が建設する有料高速が42区間(1153キロ)、国と地方が税金で造り通行無料になる「新直轄方式」が7区間(123キロ)とするものです。
つまり採算の悪い道路は3兆円の税金をつぎ込んで建設し、開通後は無料にする。これによって当初予定していた高速道路の整備計画9342キロは全て建設することになります。
道路公団の民営化は、郵政と共に小泉「改革」の目玉として、民営化により無駄な道路、採算が合わない道路は今後は建設しないという約束でしたが、結果はその逆です。

こうなると、郵政民営化の先も見えて来るというものです。

どうも小泉「改革」は、小泉「改悪」と読み替えた方がよさそうです。

2006/02/06

国立演芸場「花形演芸会」(2月)

santaro
今回は行かないつもりだったのですが、「築地の柳」さんから寄せられたコメントを見て気が変わりました。結果は行って良かった。2月4日の「花形演芸会」は、会場の入りは今一つでしたが、収穫の多い会となりました。

古典芸能の話芸は「女性に向かない職業」というのが私の持論です(浪曲は例外)。それと芸能各分野に有能な人材が出ていますが、唯一「講談」だけはどうもパッとしないと思っていました。
そうした偏見を吹き飛ばしそうな講釈師が表れました。それがこの日に出演した「神田京子」です。演目は「大名花屋」(?)。
初見でしたが、先ず話の「間」が宜しい。始めはタカを括って聞き流していましたが、次第に引き込まれていきました。
未だ芸は未熟ですが素質は十分、講談界久々の期待の新人です。
後は、悪い男に引っかからないように、芸を磨いて欲しいところです。

若手のお笑いからは、栃木訛りの漫才「U字工事」。どうも大阪に押され放しの若手漫才ですが、この二人はとても面白い。「間」が、いかにも東京の漫才の「間」です。
「アンタッチャブル」や彼等のような人材が寄席の定席に出れば、寄席も活気付くし、本人たちの芸も進歩すると思うのですが、惜しまれます。

「林家彦いち」は「反対俥」、以前から評判は聞いていましたが、実際に聞くのは初めてでした。マクラのニューヨークで行った英語の「南京玉簾」の公演の話も含めて、場内の笑いを誘っていました。
この人の筋肉質の芸風とネタが良く合っています。

「モロ師岡」は久しぶりでした。少々毒のある一人コントで根強い人気がありあます。
客席は沸いていましたが、病院待合室での老人の生態というネタは、余りにありふれていて新味が感じられない。

いつも楽しい「ポカスカジャン」、この人たちは音楽がしっかりしています。
曲芸の「鏡味正二郎」、最近の曲芸や太神楽の新人は芸がしっかりしています。ベテランはおちおちしていられないですね。

トリはお目当ての「柳家三太楼」、演目は「宿屋の仇討」。
三太楼は今年度の演芸大賞に最も近い距離にいます。今回の高座も、当然それを意識したものになりました。
2日前に同じネタを立川談春で聴いていましたが、談春が三代目桂三木助のオリジナルを正確になぞっていたのに対し、三太楼は随分と変えた演出でした。噺を相当刈り込んでいて、談春と比べテンポの良い展開です。何より侍に風格があるのは、やはり一日の長です。江戸っ子達の描写も秀逸でした。
しかし、やはり固さが出たのでしょうか、マクラの部分で「子別れ」と「芝浜」を間違えたのはともかく、大事な場面で、侍が名前を名乗る所を抜かしていました。
三太楼が昨年大賞を逸した口惜しさを滲ませた高座での「宗論」の方が良かったと思いました。

2006/02/04

「立川談春独演会」in横浜にぎわい座

danshun3
「横浜にぎわい座」は、毎月1-10日は独演会や企画もので、11-20日が寄席形式になっています。
2月上旬は立川流の独演会が10日間の内4本を占め、立川一門の隆盛を実感します。
「立川談春」も昨年までは「四季の会」と称して、年間4回の興業でしたが、今年は1,2,4月と独演会が設定されていて、すっかり固定ファンをつかんでいるようです。

「独演会」といっても通常は、前座、ゲスト(又は弟子)、本人、お仲入りを挟んで色物、本人というのが大体標準的なのですが、談春だけは本人のみの出演で、名実共に独演会になっています。
ここにぎわい座の場合、1時間近い演目を二席やるスタイルになっています。

2月2日の独演会の一席目は「宿屋の仇討」、この噺は元々が上方落語から来たもので、三代目桂三木助が大阪から持ってきました。
従ってこの演目は、三木助のものが名演としての評価が高い。
談春は、意外なくらい三木助の演出を忠実になぞっていました。二人旅と一人旅のマクラの振り方まで一緒です。
このネタは三木助が柳家小さんに教えていますので、その弟子の立川談志を経て談春に伝わったものと思われます。
この噺は、騒ぐのが好きな江戸っ子3人組、隣座敷でこれを嫌い宿の番頭に苦情を言う侍、その間にたって右往左往する番頭、この対比をおかしく見せるのが眼目です。
談春は、侍にやや風格が欠けていたきらいはありますが、江戸っ子と番頭の描写は良く出来ていました。
ただ細かな「トチリ」は噺のリズムを崩しますので、注意して欲しい。

二席目は大岡政談のうち「五貫裁き」、高座にかかる機会が少ないネタですが、談春の独特の「間」と、とぼけた味が活かされて、上出来の高座でした。
商売を始めるにあたり開店資金を集めようとする男と、それを後押しする親切な大家、大金持ちなのに欲深く因業な大店の主人、この人物の演じ分けが見事でした。特に男が毎日一文の金を大店に届ける場面が、笑いを誘います。
展開の中で一方的に敗訴と思われた男が、実は勝訴であったという種が明かされ、奉行の名裁きが次第に分ってきます。
それと勧善懲悪の結末にせず、双方共にハッピーな結果となっていて、今で言うならwin-winの民事和解というストーリーも後味が良いものとなっています。
談春の「五貫裁き」は、今年のMyベスト5の有力候補です。

2006/02/03

「利権」付き「天下り」ー防衛施設庁の談合

nukaga
先日このブログの記事で「米国産の牛肉輸入再開にあたって、農水省と厚生労働省の担当者が、米国の各施設を査察して安全確認をした筈ですが、あれはナンだったのでしょう」と書きましたが、その後の予算委審議で実は査察を行っていないことが判明しました。
閣議決定したのに実施しなかったと中川農水相が答弁、当初は自分の判断だと言いながら、その後「米国側が、責任をもって自分たちでやると言ったので」「状況が変わった」と発言を変えました。
要はアメリカが必要ないと言ったので、査察はヤメタということです。だから自分には責任が無いと言うわけです。
こういうのを世間では「ガキの使い」と言うんです。

さて防衛施設庁の談合事件ですが、2004年11月から昨年3月にかけて、自衛隊中央病院や市ケ谷庁舎新設空調工事などの3件で、空調3社が落札できるよう協定した疑いで、防衛施設庁NO.3の技術審議官、河野孝義容疑者ら3人が逮捕されました。
その後の調べで、談合は空調設備だけにとどまらず、建設工事そのものにも行われた疑いがあり、大手ゼネコンへと捜査は拡がっています。
その手口は、天下りOBの受け入れ度合いによって発注金額を配分していたというのですから、これは「談合」等という生易しいものでない。私たちの税金を武器に、天下りの受け入れを迫るという悪質な手口です。

防衛庁をめぐっては99年に発覚した航空機のジェット燃料などの談合事件をはじめ、艦船の修理の入札調整(99年)▽陸上自衛隊発注の通信機用乾電池の入札(00年)▽航空機や自動車用タイヤ入札(04年)――と談合や不自然な入札の実態がたびたび明るみに出ました。
特に1994―95年に防衛庁の旧調達実施本部(調本)への装備品納入をめぐる水増し請求が発覚、責任問題になるのを恐れた当時の調本幹部らがもみ消しを行った事件は、まだ記憶に新しいところです。
この事件では、強制捜査の直前、防衛庁で組織的な関係書類などの証拠隠しがあったことが発覚し、当時の額賀福志郎長官が引責辞任しました。今回もまた額賀防衛庁官で、この人、運が悪いのか巡りあわせが悪いのか。

自衛隊といえば、災害出動などの映像を見て、隊員の方々は過酷な環境の中でご苦労されていて大変だと思われている向きも多いでしょう。
しかしその陰で、高級官僚たちが甘い汁を吸っているという現状も、見逃してはいけない。

ご存知の通り、日本の防衛費はおよそ5兆円で、これは国家予算(一般歳出)の10%に相当します。国際比較でも、米国、ロシアに次いで世界大3位であり、国防予算だけで見れば軍事大国に肩を並べています。
こうした巨額な予算が、公正かつ効率的に執行されているのか大きな問題ですが、過去の防衛費に関する不祥事がいずれも「天下り」が関与しているのは、看過できない。
少し古い資料ですが、1999年度次点での調査で、防衛庁と取引額の多い企業50社への過去10年間の天下りは、幹部クラスの自衛官・事務官だけでも756人に上っています。
受け入れ企業ですが、三菱重工、川崎重工、三菱電機、東芝、NECなど防衛産業の有力企業がズラリと並んでいます。
こうした企業の受注金額は、今回の事件のような空調メーカーなどとは比較にならない。トップクラスは年間受注額が毎年1000億円オーダーです。それだけ戦艦や戦闘機、戦車などの武器は高価です。
これらの発注も、やはり「天下り」配分で行われているのでしょう。

本来は、防衛のためにどの程度の装備が必要かという点から予算が決められるべきですが、気が付くと武器を購入することが自己目的になっていく、これが軍隊の恐いところです。本末転倒で、理屈は後で付けることになります。
更にその先は、せっかく持っているのでついつい使ってみたくなる、こうなると最悪です。

防衛施設庁や防衛庁に限らず、殆どの省庁で大なり小なり「天下り」に伴う不正行為が行われています。
公務員を定年前に退職させ、「利権」付きで民間企業に送り込むという慣習を、根本的にやめさせる時期に来ていると思います。

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