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2006/02/25

イナバウアーの白うさぎ

arakawa
寄席で紙切りの芸人が言っていましたが、オリンピックが始まって女子フィギュアがスタートする前は「安藤美姫」というリクエストばかりだったが、ショートプログラム(SP)の結果が出た途端「女子フィギュア」に変わり、金メダル獲得後は「荒川静香」一色だとか。

海外メディアの日本の獲得メダル予想では荒川+1個の声が高かったのですが、国内の人気という点では今一つだった荒川選手、クールビューティと呼ばれる冷静な表情が、スポーツに熱血や根性を求める日本人の国民性からややずれていたのでしょう。
表彰式後のインタビューでも「未だに信じられない」という感想を連発した彼女、JOC関係者としては「ようやく日本にメダルを持ち帰ることができます」という一言を聞きたかったでしょうが、そういう“お約束”に乗らない所は、いかにも荒川らしい。
得点に全く貢献しないイナバウアーにこだわる彼女の姿が、二重写しとなります。

2004年の世界選手権で頂点に立ち、一度は引退を考えていた荒川ですが、2005年の大会で一気に9位まで転げ落ち、その屈辱感から「このままでは終われない」ともう一度五輪代表へ執念を燃やしたと聞いて、クールな表情の下にある熱情を知ることができました。
会場に掲げられていた標語の『Passion lives here.』を正に地で行っていたわけです。

他の競技でもそうかも知れませんが、フィギュアスケートは毎回選手達の人生が投影されます。
ロシア代表のスルツカヤは、自身悲願の金メダル獲得という目標に加えて、今回はロシアのフィギュア4種目完全制覇と、ソ連時代からただ一つ実現していない女子での金メダル獲得という国家的な目標が、彼女に重くのしかかっていました。
フリーでは最初から彼女らしからぬ滑り出しで心配していましたが、転倒もあって全般に精彩を欠き、3位に終わってしまいました。
ここ10年近く世界の女子フィギュア界のトップに君臨してきた彼女ですが、万全でない体調に対して余りに過重なプレッシャーが彼女を押し潰してしまったのでしょうか。
インタビューでは「That’s life.(これが人生よ)」と冷静に答えながら、会場裏では悔し涙を流していたそうです。
血管の難病と闘いながらのスルツカヤの競技人生に対して、トリノの観客は大きな声援を送っていたのが印象的でした。

米国代表のコーエン、SPでは1位に立ちながら、フリーでの2度の転倒に沈み2位にとどまりました。
フリー直前のウォーミングアップで度々転倒する彼女を見て、異変は感じていました。恐らくは足に故障があったのでしょう。
コーエンはソルトレーク五輪でメダルを逃し、壁に向かって号泣したと伝えられています。
今回はやはり米国代表であったミシェルクワンが練習で足を痛め、急遽大会出場を断念するというアクシデントがあり、彼女が星条旗の重圧を背負うことになりました。
しかし転倒による精神的落胆と体調不良に立ち向かっての、フリー後半の演技は実に見事なものでした。
間違いなくコーエンは、これからの女子フィギュア界を背負っていける選手です。

4位に終わりましたが村主章枝は、私の父性愛本能を大いに刺激してくれました。

こうして選手達の人生を考えながら楽しんだフィギュアの種目は全て終了しました。
今夜からはぐっすり寝られそうです。

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スポーツ」カテゴリの記事

コメント

荒川静香選手、おめでとうございます。
今回の彼女の勝利には、スケーティング以前の演技の企画・立案段階での要素が大きかったのでないかと思います。
つまり難易度の高い大技を決めて大向こうをうならせるのではなく、そこそこの難易度の技に絞って、それを完璧にこなす。
点数の配分に浮き身をやつすのではなく、自分で美しいと思うものを一番美しく表現する。
このような作戦が見事に成功したのだと思います。
もちろん、この作戦を実現するためには彼女の天性のスケーティング技術と柔軟な肉体が不可欠です。
特に美しさの表現に重要な要素となる身体の柔軟性については数日、トレーニングをしないと大きく損なわれると言います。
その意味で、たゆまぬ努力が基本になったのは言うまでもないでしょう。
勿論、本番の演技で実力を充分に発揮できるという精神力も・・・・・。

タケチャンマン様
今回の荒川静香の金メダルは、いくら誉めても誉め過ぎることはない快挙です。
大袈裟にいえば、日本社会の空気を変えてしましました。
同時に敗れ去った者の美学にどうしても魅かれてしまいます。
今回の女子フィギュアは、特に人間ドラマが多かったと思いました。

こんばんは、初めましてまるこ姫と申します。
荒川選手は、大人の女の演技で気品があり、エレガントで美しかったですね。
技も大事ですが、技ばかりにこだわると自分らしさも美しさもなくなってしまうと思うのです。
彼女は、点が取れなくてもこだわりを持って演技したからこそ、自分らしさが出せたのではないでしょうか?
とにかくあの大舞台で、重圧を跳ね返しての素晴らしい演技は涙が出てきました。
本当に嬉しかったです。
やはりなんだかんだ言ってもメダルの力は凄いものがありますね。
国民を元気付けてくれるのですから。
私の記事をTBしますね。
宜しくお願い致します。

TBありがとうございます。

今回の女子フィギュアはアメリカ人の目から見ると、実力下降線なのに無理やり五輪切符をつかんだ?同じアジア系のクワン嬢が結局ドタキャンで演技しなかったことへのやりきれなさもあって、(自国選手が敗れながらも)勝った荒川嬢に敬意というか“すがすがしさ”を感じてるようですね。

総集編の一面に彼女の笑みが載る↓こんなサイトもあったり。
http://quazet.cool.ne.jp/imgs/ap_turin2006.gif

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