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2006/02/15

ライブドア事件の「功」と「罪」

horie2
2月13日東京地検特捜部は、ライブドア(LD)とライブドアマーケッティング(LDM)2社と、堀江前社長以下4名を起訴しました。地検の伊藤次席検事の談話では、「LDグループが急成長を遂げた鍵が証券取引の公正を害する犯罪行為にあった・・・本件はその一端で、全容解明に向け徹底的に捜査する。」と、強い決意を示しています。
ライブドア事件、あるいはホリエモン事件とよんだ方が分り易いのかこの「罪」は、既に傘下に収めていた企業を子会社にすると発表したり、利益を水増ししたりして子会社の株価を上げ、高値で売り抜けていたことです。
更に投資事業組合や海外の金融機関を迂回して、自社株の売却収入をLD本体の売り上げに還流し、決算を粉飾していた疑いが持たれています。自社株を売った金は企業の売り上げに計上してはいけないのですが、利益の水増し→株価のつり上げ→株式交換による企業買収というLDの戦略のために、敢えてこうした不正行為を日常的に行ったものと見なされています。
こうした一連の行為は「取引の公正」を定めた証券取引法に違反しており、今回のように企業とその役員が逮捕・起訴されたものです。

さらにこの事件の副次的効果として、LDグループの強制捜査に端を発した株式の暴落と、市場の混乱が起きました。LD社の株は元々が個人株主が多かったことから、多くのLD株主の損失を招いたものです。
又株式市場全体の下落により、特に信用取引を行っていた投資家が追加担保の差し入れを求められて持ち株を投売りし、大きな損失を出した人もいるようです。これはライブドア事件のもう一つの「罪」といえるでしょう。

ではこの事件の「功」とは何でしょうか。それはこの事件から、私たちが得るべき教訓だろうと思います。
この事件は元々が経済事件でしたが、ライブドアあるいはホリエモンが一種の社会現象になっていたことから、影響は政治を含めて社会全体に広がっています。
堀江前社長は「時代の寵児」とよばれていましたが、これは正に小泉総理の進めた「改革の寵児」を意味しています。数日前の与謝野大臣の記者会見によれば、金融庁は相当以前からLD社の違法行為に着目し資料を集めていた。それを小泉総理は始め政府首脳や自民党幹部は当然知っていた筈です。
そうしたリスクを負ってまで党を挙げて支援したのは、選挙を通して国民に「改革」の成果を眼に見える形で示したかったからでしょう。
今回の事件により、そうした「改革」の「光」の部分が、「影」に暗転したわけです。
今回のライブドア事件は、小泉「改革」の粉飾決算も又問われていると考えます。

次に株式市場に参加している投資家は、この事件からどのような教訓を得るべきでしょうか。
これは私見ですが、LD社の株を買った多くの個人投資家は、恐らくはライブドアやホリエモンへの人気を根拠としたと思われます。人気と実績が食い違うことは世間によくあることです。
今回の株式市場の混乱で思い出すのは、1999年から2000年に掛けて起きた、ネット(IT)バブルとその崩壊です。
日本の金融機関や企業はバブル崩壊で大きな痛手を負いましたが、この時のネットバブル崩壊では、多くの個人投資家が莫大な損失を被りました。
その当時の教訓として書かれていた記事がありましたので、その一部を引用します。
・投資対象についてほとんど知識なく 大きなリスクを好まない個人投資家には インターネット銘柄への投資を勧められません。
・ビジネスモデルがしっかりしていないインターネット・ビジネスは 駄目です。 実績のないネットビジネスに 個人が投資するなら 市場の評価や人気で決めるのは危険です。
・投資は自己責任で行うべきであり 情報開示がその前提ですが 肝心な情報はなかなか得難いものです。

歴史は繰り返す、ただし2回目は喜劇として。

ネットでの株式投資が普及したため、多くの個人が容易に市場に参加できるようになりました。
しかし株式市場そのものは、生き馬の目を抜く世界であることに今も昔も変わりない。
今回のライブドアショックで、お年寄が老後の資金を失ったとか、小学生の貯めていた小遣いが紙くずになったとか、そんな声を耳にしますが、そういう人が株式市場に参加することは間違っていると思います。それでも参加するのは自由ですが、それなら損をしても泣き言をいわないことです。

個人投資家が売買している株のおよそ半分が、信用取引だと聞かされて驚いています。
かつてはプロの世界であった信用取引に、素人がそんなに簡単に手を出して良いのでしょうか。
今回の事件で堀江被告への批判の声は強い。
しかし、ホリエモン現象は社会全体に蔓延しているのではないだろうか、私はそう危惧しています。

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コメント

今回のホリエモン騒動やほぼ同時期に起きたある証券会社の誤発注事件で、定職につかず一日中PCに向かって株取引きを繰り返しているデートレーダーの存在がクローズアップされた。
しかも、一瞬にして数億円儲けたとか、何億円の損失を出したがすぐに取り返したのでとか、英雄視するかにようなマスコミの論調が新聞紙上やテレビに流れた。

只、右から左へ株を動かして儲けるのが格好良い利口者のやることで、額に汗をしてこつこつ働くのは格好も要領も悪い奴のやること!
物造りなんか糞食らえ!
俺も、俺も未来のホリエモン!
俺ならもっと要領よく、捕まらないようにやるぞ!
そんな若者が一杯!

こんな日本に誰がした???
何が悪かった???

投稿: タケチャンマン | 2006/02/15 16:54

タケチャンマン様
コメント有難うございます。
年率40%も値上がりした株式市場、便乗して儲け浮かれ上がっていた一部の風潮、はやし立てたマスコミと政治家、それに冷水を浴びせたのはライブドア事件の功績かも知れません。
「コツコツと真面目に努力する人が報われる」という日本社会の規範は、これからも大事にしていかねばならないでしょう。

投稿: home-9 | 2006/02/16 09:33

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