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2006/03/02

「寄席」カンタンガイド

yose
落語のような芸は、日本にしかないそうです。そして寄席もまた日本独特のものでしょう。
寄席に行かれたことが無い方のために少し解説しますと、現在定席(1年中寄席をやっている劇場)は都内に4軒で、1ヶ月を10日ごとに区切り、それぞれ上席、中席、下席と呼び、更に昼の部と夜の部の2部制となります。10日間は出演者の顔ぶれが同じです。
上野鈴本演芸場の例ですと、一回の出演者は15人程度で、時間は3時間半から4時間程度ですから、一人(一組)あたり数分から15分位の持ち時間となります。
1軒の定席に出演できる芸人の数は、およそ1ヶ月で100人程度という計算になります。

現在定席に出られる芸人は、「落語協会」か「落語芸術協会」のいずれかに所属している芸人だけで、鈴本演芸場は落語協会のみ、新宿末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場は、2つの団体が交互に出演します。
出演者は日によっては代演になることがあり、当日の顔づけは寄席か各協会のHPで確認できます。
落語家の団体としてはこの外に三遊亭圓楽率いる「圓楽党」と、立川談志率いる「立川流」がありますが、いずれも定席には出演できません。従って独自の落語会や独演会を開いています。
定席以外に、国立演芸場や横浜にぎわい座などの劇場があり、こちらには所属団体に関係なく芸人が出演できます。

昨日入門した前座から、明日死ぬかも知れない長老まで含めて、落語家の数はおよそ600人だそうですから、平均すれば4軒の定席の一つに出演できるのが1ヶ月半に1回の割合になります。
出演者は席亭(劇場のオーナー)と協会との間の話し合いで決まりますので、やはり人気のある芸人、笑いの取れる芸人に声が掛かりやすい。
人気や実績が出てくれば、TV出演や地方公演、独演会、各種落語会と活躍の場が広がります。
その反対に、余り出番のない芸人も出てくるわけです。
こう見ていくと結構厳しい競争社会であることが分ります。

寄席には落語以外に色物という分野の芸人がいます。講談、漫才、漫談、物まね、浪曲、奇術(手品)、コント、紙切り、太神楽、俗曲などなど、実に多彩な芸人たちが、文字通り色を添えるわけです。

寄席の最大の特徴は、一人一人(あるいは一組)の芸を見せると同時に、その興業全体が団体として集団芸になっているという点です。
最後に出てくる芸人を主任又はトリといいますが、その興業の出演者は全員でトリを盛り立てるように演じていく、これが寄席の真骨頂です。
前座から最後のトリまで、出演者は自分の後の人、後の人を立てて演じなければならない。
トリより上手の芸人が前に出ることも多いのですが、決してトリを食ってはいけない。しかし自分を目当てに来る客もいるわけですから、そうした客には満足させなければいけない、実に難しい技術が要求されます。
それが出来ない芸人は、やがて寄席から声が掛からなくなる、こういう厳しい世界でもあります。
この辺り、実に日本的な世界と言えますね。

定席は通常は全席自由席でチケットは当日売りですから、正月や特に人気が高い芸人が出るとき以外は、いつでも好きな時にフラリと入れます。
先ず開口一番で前座が出てきます。羽織や袴を着けていないから直ぐ分ります。最近の前座の多くは、大学のオチ研から入門してきますので、それなりに聞かせてくれますし、又この中から将来の大物を見定めるという機会でもあります。
「あいつは若い頃はさっぱりだったが、歳を取ってからはヤッパリ駄目だ。」なんて言える楽しみがあるわけです。

それから二ツ目や真打の落語家、色物の芸人が入れ替わり立ち代り登場し、仲入り(途中で15-20分の休憩がある)前に登場するのが前半の締め、仲トリと呼ばれる落語家で、この芸人が当日のトリに次いで大事な役目を負います。その日の高座の出来不出来は仲トリで決まるといわれる重要な役割です。

仲入り後“くいつき”と呼ばれる芸人が登場します。別に客席に下りてきて食いつくわけではありません。仲入りでざわついた客席を鎮めながら、後半の高座につなげる役割があります。
その後に膝前と呼ばれる落語家が出てきますが、しばしばトリより大物や協会幹部クラスが出演します。しかしここはあっさりと短く演じて引っ込むのがお約束です。
そして膝替りと呼ばれる色物の芸人を挟んで、最後にお目当てのトリが出てきます。この人だけは20-30分程度の長い噺ができます。逆にいえば、長い噺が出来なければトリにはなれません。

落語家というのは決してバカではなれないし、利口な人は決してならないというビミョーな職業です。
そして寄席は世界中探しても日本にしかない空間です。是非足を運んでください。

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コメント

全くの寄席音痴で、勿論寄席には行ったことなし。
唯一、関連しそうなことはテレビで笑点の大喜利を笑いながら見るだけという何も知らないタケチャンマンとしては物凄く参考になりました。
有難うございました。
今度、思い切って寄席に行ってみようかな?

いい記事ですね、リンク貼らせて頂いてもよろしいでしょうか?

タケチャンマン様
是非一度寄席に足をお運び下さい。
先日も私の直ぐ後ろで、群馬県から初めて寄席に来たというオバサン二人連れが、終始腹を抱えて笑っておりました。
こういう姿を見るのも又寄席の楽しみの一つです。

ロング様
お褒めに与り恐縮です。
リンクは、どうぞどうぞご自由になさって下さい。
以前から気になっておりましたが、寄席に関する記事は数多くありますが、寄席に行かれて事が無い方に、簡単に解説している記事がなかなか見当たりません。
そこで今回超カンタンガイドを書いて見ました。
中身は初歩的ですが、末広亭の席亭である北村義夫さんのインタビュー記事を読んで書きましたので、落語ファンの方にも多少参考にして頂けるのではと考えております。

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