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2006/03/14

ライブドア株主の損害賠償請求、ん?

horie
ライブドアの東証上場廃止が決まり、株主(あるいは株主だった)が、同社及び堀江被告ら経営者が決算を粉飾したため、「株を不当に高い価格で買わされた」ということで、損害賠償の提訴を行うべく準備が進められています。
確かに「高値で買わされた」のであれば、損害賠償を求めることができるでしょう。しかし本当にそうなのでしょうか。
買わされたというのは、次のケースが考えられます。
①強く勧誘を受けて買わされた。
②取引関係やM&Aなどで、株を買わされた。
こういう方々は当然損害賠償を請求できるでしょう。

これが数年前でしたら、証券会社から無理に勧められてということもありましたが、ライブドアの場合個人株主の割合が高く、現在個人で株を売買する人の大半はネット取引です。
ネット取引での株の購入は、強制でも勧誘でもなく、自らの判断で行ったものではないのでしょうか。

もう一つネットの時代になって変わったことは、様々な情報が容易に入手できるという点です。
ライブドアについて、確かに同社や堀江前社長を持ち上げる風潮がありましたが、同時に同社に対する批判的な情報もネットでは流されていました。
例えば「フォレスト・コンサルタンツ」のホームページ(http://consul.mz-style.com/)で、山根治さんという公認会計士が、公開されていたライブドアの有価証券報告書を分析し、同社が粉飾決算を行っていたことを指摘してきました。「ホリエモンの錬金術」の連載を開始したのが、1年前の2005年3月15日でした。

売る人は株価はもう上がらないと判断し、買う人はこれから上がると判断する、誰かが得をした分、他の誰かが損をする、株式市場はゼロサムゲームです。
ライブドアを1株700円で買った人がいるとすれば、同じ数だけ売った人がいます。買った人は損失を出し、売った人は利益を得る、しかしそのトータルはゼロになるというわけです。

私は今から30年ほど前に、株に興味を持ったことがあり、「株式入門」というようなタイトルの本を購入しました。そこに書かれていたことは、
①株は余裕資金で買う
②手持ち資金の3分の1以下に抑える
③複数の銘柄に投資し、リスクを分散する
④信用取引には手を出さない
でした。ここに書かれていたことは、現在でも当てはまりますね。

日経平均は、1989年末に3万8915円の最高値をつけて以後、2003年4月29日には7607円のバブル後最安値をつけました。この14年間に株を購入した殆どの人は、価格の値下がりだけを経験しました。
又1999-2000年に掛けて起きたネットバブルでは、株価が100分の1以下になった例もありました。
株式投資にリスクは避けられません。

2005年は1年間で平均株価が40%上昇しました。これならサラ金から借りても儲かります。
これが続くようなら、日本国民はみんな仕事を辞めて、株で生活できます。そんなバカなことがあるわけないし、異常事態と言わざるを得ない。
金儲けで頭に血がのぼっていたとしたら、ライブドアショックで株式市場が調整場面を迎えたことに、むしろ感謝が必要でしょう。
「濡れ手でアワ」が国民の規範になっては困りますからね。

ライブドア事件については、政治的背景を含めた原因究明と、旧経営陣の責任追及は当然必要ですが、株購入者の損害賠償請求に対しては、率直に言って違和感があります。
自民党を信じて、小泉首相や武部幹事長を信用して株を買ったという声もありますが、そもそもそれが間違っていたということです。

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コメント

トラックバックありがとうございます。
ライブドアの株主は儲けることしか考えていないんです。
本来株って、儲けるためにするものではないと思うのです。企業のために力を貸してあげるものではないでしょうか。そして、その結果企業が儲かったら配当金を得る。
そして、株は自分の責任においてやるものです。
・・・熱く語ってしまいました。
また、僕のブログにも来てくださいね。普段は馬鹿なこと書いていますが、たまに真面目なことも書きます。

投稿: 黒ぶちメガネ | 2006/03/14 12:13

 損害賠償が発生する場合としては、債務不履行による場合と不法行為による場合の二つがあります。
 債務不履行による損害賠償について規定する民法四一五条前段は、「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」と規定します。
 一方、不法行為については、民法三編五章によることとなり、民法七〇九条で「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定します。
 LD社株主の場合、後者によることとなります。
 一般の不法行為の成立要件は、①責任能力のある者が、②故意又は過失によって(過失責任の原則)、③他人の権利又は法律上保護される利益を違法に侵害し(違法性)、④その行為によって損害が発生していること(損害の発生・因果関係)です。
 一応、この要件を満たすと考えられますから、損害賠償の対象になると考えていいと思います。
 ただし、③の因果関係については、粉飾決算がすべてということではなく、他の要因も絡んできますから、賠償額を算定する際に、他の要因が参酌されることになります。
 home-9さんが、仰っているのは、この参酌についてだと思います。
 付け加えておけば、自民党を信じて買ったなら、自民党や小泉、武部に対し、損害賠償請求をするのが筋です。
 もっとも、党や小泉等に請求しても③の因果関係の立証はできないでしょう。
 つまり、損害の発生の原因を求める先が間違っているというのが、home-9さんの記事の趣旨かと思います。

投稿: 柴田晴廣 | 2006/03/15 08:36

黒ぶちメガネ様
コメント有難うございます。
その会社の株を買うということは、その会社に投資するということです。大事なお金を投資するわけですから、相手の会社を良く調査した上で判断する必要があるでしょう。
ミニバブルと称され活況を呈した2005年の株式市場にあって、浮かれ買いでライブドア株を購入したとすれば、やはり自己責任は免れないと思います。
法的には損害賠償が請求する権利はあると思いますが、投資家側の反省がなければ、又今後同類の被害が繰り返されると考えます。

投稿: home-9 | 2006/03/15 09:58

柴田晴廣様
コメント有難うございます。
証券取引法では,上場会社が粉飾決算など違法行為をした場合,会社及び取締役など役員は,株主に対し損害賠償責任を負うとの民事責任を規定しています。平成16年12月1日施行の改正により、民事責任追及が容易となりました。こうした事から、損害賠償を提訴することは可能だろうと思います。
そこを敢えて批判的な記事を書いたのは、昨今の異常とも思える株価の上昇に乗っかって、余りに安易な取引を行った責任まで棚上げにして良いのだろうかという問題提起です。
むしろ今回の失敗を振り返り、自分の投資行動が正しかったかどうかを反省する機会とすべきではないでしょうか。
特に、今回の大口の損失を招いた投資家の多くは、信用取引を行った結果だろうと推察します。そうした人々までが被害者として救済されることが、果たして正義なのでしょうか。私の疑問は、その点にあります。
無論親記事に書いたように、ライブドアあるいは他の第三者から強く勧誘を受けて株を購入した人は、損害賠償を提訴するのは当然であると思います。

投稿: home-9 | 2006/03/15 22:30

 私も本来の株購入という観点から言えば、昨今の株の購入動機というのは、逸脱したもののように思います。
 私は、株はやりませんから詳しいことはわかりませんが、他の取引には、消費税等がかかるわけですし、公共ギャンブルでも寺銭を取っているわけですから、昨今の博打と変わらない株取引には、大幅に課税すべきだと思います。
 労働意欲の減退も労働に対する課税がこうした投機的な取引による課税に比べ重いことが原因の一つだと思います。

 話は変わりますが、証券取引法にも不法行為の特則が規定されているんですね。
 無体財産権法では、客体の特許権等が占有できないという特質に鑑み、立証責任の侵害者側に転換する規定が数多く設けられています。
 著作権の侵害についても民事訴訟を起こせば、侵害が阻却されることはほとんどないのではないかと思います。
 今のところ、インターネット上の著作物について個人が訴訟を起こすという事例はほとんどありませんが、起こせば、勝てると考えていいと思います。

投稿: 柴田晴廣 | 2006/03/16 12:26

柴田晴廣様
株式市場に公正さや透明性が求められていますが、「賭博場」としての要素も抜けきらない。「賭博場」の要素を完全に一掃し、クリーンにしてしまえば魅力が薄れ、それこそ「水清きに魚住まず」で、却って市場参加者が離れてしまうでしょう。
投資家は、こうした株式市場特有の性格を理解し、市場に参加することが求められると思います。

証券取引法では、有価証券報告書等の「虚偽記載等の事実の公表」が行われたとき、公表前後の1ヶ月間の価格差を損害賠償請求できますが、今回の場合ライブドア社自身は、未だに虚偽記載を公表していません。
強制捜査をもって虚偽の公表と看做すかが、裁判の焦点になるでしょう。
この場合、世論の動向が大きく結果に影響すると考えられますが、原告側が「社会正義の旗幟」を立て難いのが弱点と言えると思います。

投稿: home-9 | 2006/03/16 18:46

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