「2年半を返せ!」-痴漢事件の逆転無罪判決
男「何で拳銃を持ってるだけで逮捕なんだ。」
警官「銃を持ってれば、殺人未遂容疑だ。」
男「じゃあれか、世の中の男は全員強姦未遂で捕まるのか。」
という小咄があります。
3月8日東京高裁で、電車内で痴漢をはたらき強制わいせつ罪に問われていた男性に、地裁の有罪判決が破棄され、逆転無罪判決が出されました。男性は逮捕されて2年半一貫して無罪を主張していました。
この男性は105日間も拘留されて起訴された結果、会社は休職、預貯金をはたき、アルバイトでしていた作業中の事故で複雑骨折を負い、現在は生活保護を受けているそうで、奥さんも心労がたたって体調を崩しているそうです。実にお気の毒としか言いようのない状況です。
私はサラリーマン時代42年間電車通勤を行ってきましたが、痴漢をしたこともされた事も無い(当たり前か)、又痴漢の現場を見たことも無いので、自分の体験は披露できませんが、他人の経験から今回の事件を考えてみたいと思います。
会社の同僚で、通勤電車内で痴漢で捕まった友人がおりましたので、その話を紹介します。
いきなり痴漢だと騒がれ言い争いになり、友人は駅員に事情を説明して誤解を解いてもらおうと、友人自身が率先してその被害者と共に駅の事務所に行きました。
処が駅員は被害女性の話しか聞かず、直ぐに警察に連絡したそうです。警官はというと、これまた女性の言い分しか聞かず警察に連行され、ここでも終始犯人扱いだったそうです。
警官から否認すれば逮捕・勾留して裁判となり、罪を認めれば起訴猶予となるか、仮に起訴されても罰金刑で済むと脅かされ、結局罪を認めて帰宅を許されました。
友人は、処分が決まるまでは会社に連絡されないか、家族(妻と、二人の娘)には通知されないか、起訴されたらどうしようかと、毎日悩んだそうです。
結局、起訴猶予となり事なきを得ましたが、心に大きな傷が残りました。
被疑者が「痴漢していない」と否認し裁判を争い続けたものが、2000年までに203件あったのですが、すべて有罪判決だったそうです。むしろ先の男性のケースのように、否認して裁判で争う行為自体が、裁判では反省の色が見えないと判断されてしまうわけです。
警察は、女性からの供述をすべて鵜呑みにして取調べをし、実況検分などはしません。
こうした事件が起きると、被害女性にたいしての非難が起きたり、痴漢被害に対する女性の過剰反応を指摘する声も出てきますが、これはこれでとんでもない意見です。
統計データでは、電車内で痴漢にあった女性は50-70%と極めて高く、そのうちの80%の人は繰り返しの被害にあっています。これ程多くの人が日常的に被害にあう犯罪は、痴漢だけです。
又痴漢にあう女性の側に原因を求める声もありますが、こうした統計を見る限りでは、年齢さえ若ければ殆ど無差別に被害にあっているわけで、こうした主張は根拠がありません。
愛妻は今から数十年前に、車内で胸を摑まれたことがあるそうで、「あれはきっと私が余りに魅力的で、バストの形が良かったからだわ」と申しておりますが、もちろん妄想に過ぎません。
電車でちょっと触られたくらいで痴漢だと騒ぐのはおかしいと主張する人もいますが、これもおかしい。
知り合いの男性で、痴漢被害にあった人が複数います。加害者はいずれも男(WOW!)だそうです。
被害を受けた瞬間というのは、先ず屈辱感だそうで、とても声を上げたり制止したりする心の余裕は無いそうです。
精神的なショックが大きく、そのうちの一人の男性は、その日会社を休んでしまいました。
これだけ痴漢被害というのは、被害者にとって大きなダメージとなります。
今回の事件にしても、悪いのは先ず痴漢を働いた犯人です。痴漢の加害者は女性の敵だけでなく、男にとっても敵です。
それに105日間も勾留しておきながら、ロクな取調べを行ってこなかった警察官と検事であり、こうした杜撰な捜査を見抜けず一方的に検察の言い分を通してしまう裁判官が悪いのです。
ここは間違えないで欲しい。
私は電車通勤で、心がけていたことが二つあります。
①極力若い女性の近くに行かない。止むを得ず近づいた時は、背を向ける。
②常に片手にカバンを持ち、もう一方の手はつり革を握る。
李下に冠を正さず、痴漢の冤罪を被せられることも無く済みました。こんな苦労が必要ないように、女性専用車両を増やすなどの対策を講じるしか、方策は無いのでしょう。
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TBどうもです。
私も数十年電車通勤コースですが、幸いに疑われた事はありません。
かといって、別段何も意識していないんですよね。。
管理人さんと同じく現場を見た事すらありません。
電車乗っている時は、本読んでるか携帯画面見てるか、目を閉じているかですので、周りを注視しない事が冤罪防止策のひとつかもしれませんね。
投稿: kingcurtis | 2006/03/10 22:26