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2006/03/24

新国立劇場オペラ「運命の力」

unmei
3月21日新国立劇場にオペラを観に行ったのですが、ロビーの隅が黒山の人だかりでした。WBC9回表の日本代表の攻撃中で、点が入るたびに歓声と拍手が巻き起こっていました。
それ程関心の高かったWBC、スモール野球が功を奏して見事優勝の栄光に輝きました。しかし私のスモールライフは、栄光とは無縁でしたねえ。スモールなら何でも良いわけではないんですね。
それとMLB関係者の心境は、大相撲関係者と似ているでしょうね。大相撲も国別対抗戦をやれば、モンゴルの優勝間違いなしです。

さてその久々のオペラは、ヴェルディ「運命の力」。
イタリアオペラですが、18世紀のスペインを舞台にしています。インカの血を引く青年と、父親から反対されても彼への愛を貫こうとする女性、父の復讐のために青年を追う女性の兄、この3人のそれぞれの運命と、悲劇的な結末を描いたこの歌劇は、オペラには珍しくストーリー性があります。運命と闘い、自らの幸せを求める主人公の姿は、現在の観客にも十分共感が得られると思います。

オペラの魅力は一にも二にもソリストの歌唱力、それも先ずは声が良くて声量があることだと思います。
今回の公演では、何より主役のレオノーラを演じたアンナ・シャファジンスカヤ(ソプラノ)の声量に驚かされました。オーケストラの音量に負けていません。ウクライナ出身で、どちらかといえば小柄ですが、どこからあのパワーが出るのかと思う程です。
そして声も美しい。ウットリと聴き惚れました。
もう一人の主役ドン・アルヴァーロを演じたロバート・ディーン・スミス(テノール)、声量も声の美しさも申し分なしです。特に劇中で、病院のベッドに真横になってアリアを歌うシーンがあるのですが、劇場全体に声が響いていて感心しました。
レオノーラの兄ドン・カルロ役のクリストファー・ロバートソン(バリトン)、グアルディアーノ神父役のユルキ・コルホーネン(バス)の二人も、声量豊かに歌い上げていました。
終幕でのレオノーラ、ドン・アルヴァーロ、ドン・カルロの三重唱は、切なく胸に響きました。
今まで見たオペラの中でも、最終場面の美しさで際立っていたと思います。

井上道義指揮の東京交響楽団の演奏も、ヴェルディの曲の美しさを十分表現していたと思います。
惜しむらくは日本人ソリストの歌唱力、声量・声の艶共に外国人ソリストと比べ見劣りしていました。彼らが活躍する場面になると、途端につまらなくなる。この辺りは新国立劇場オペラの課題でしょうか。

凝った舞台装置は美しい照明効果と共に、ヴェルディの世界を舞台に再現させようとした演出家エミリオ・サージの意図を反映したものと思われます。オペラが総合芸術であることを実感させてくれました。

全体としてとても印象的な、そして十分満足のいく出来栄えのオペラでした。

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
romaniと申します。
私も同じ公演を観ておりました。
野球の結果もさることながら、この公演にも大変感銘を受けました。
今後ともよろしくお願い致します。

P.S
私の感想もTBさせていただきました。

こんばんは。

3月21日といえば、我が家でもWBC決勝戦の観戦に熱が入っていました。
単なる「キューバしのぎ」かと思えば、大差で優勝しましたね~。

homeー9さんはその日、ずっと文化的な素晴らしい時をすごしてられたんですね。
また、めずらしい選曲のオペラでもあると思います。ベルディーの曲は、私も只今取り組んでいますが、たとえ宗教音楽(鎮魂歌)であっても、ドラマチックで、まるでオペラを歌っているようです。
確か、イタリア王国独立の前後を生きた作曲家だったと思いますが、当時ベルディーの音楽は、愛国のシンボルとしてもてはやされていたようですね。

ところで、アジア人を省く、外国人の歌唱力には、どうにもかないませんね。(ノ_-)クスン
日本人は器楽に関しては、器用にこなしてしているようですが、「体」という器の違いでしょうか、声楽はなかなか追いつかないですね。
クラシック音楽でも、肉声で表現でするオペラ・声楽は、最高の芸術であると思っております。


うさぎさん
コメント有難うございます。
ご返事が遅れて申し訳ありません。
全く最近のココログは調子が悪く、特にTBが上手くいきません。ヴァージョンアップしたと言ってますが、改善された様子がありません。
さてヴェルディの「運命の力」ですが、本当に良かったと思います。この物語の背景は18世紀のスペインです。当時のヨーロッパは、片や知性が尊重される啓蒙主義が広まり、一方ではキリスト教への信仰心があり、伝統的な家族制度と個人の自立、平等思想と奴隷制度といったような、相反する対立がありました。
このオペラの原作は、当時の社会が抱えていた矛盾が個人の運命をどのように左右していったかを描いたもので、現代の私たちが見ても、十分共感しうる物語となっています。
今回の舞台は、演出家を初め多くのスタッフと演奏家、出演者が一体となって、作曲家の意図を表現していたと思います。
オペラという言葉が、元々は様々な芸術が集めれたものという意味があるそうですが、今回の「運命の力」の舞台を観て、改めて認識しました。

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» 新国立劇場  歌劇「運命の力」 [ETUDE]
今日、新国立劇場の「運命の力」を観てきました。 <日時>2006年3月21日(火) <場所>新国立劇場 <曲目>ヴェルディ:歌劇『運命の力』 <演奏、歌手> ■レオノーラ     : アンナ・シャファジンスカヤ ■ドン・アルヴァーロ : ロバート・ディーン・スミス ■ドン・カルロ    : クリストファー・ロバートソン ■プレツィオジッラ  : 坂本 朱 ■グァルディアーノ神父 :�... [続きを読む]

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