大相撲をいっそ「WSC(World Sumo Classic)」にしたら
大相撲春場所は、横綱朝青龍の16度目の優勝で終わりましたが、最近になく楽しめました。1年前にこのブログでとり上げた白鵬ですが、2場所続けて優勝争いに絡んできて、場所終了後の大関昇進が当確となりました。元々大器として期待されていたのですが、攻撃性に欠ける面があり、ケガもあってやや足踏み状態が続いていました。先場所から積極的に攻める取り口に変わってきたのが、良い成績に結びついています。
昨年1月のあるパーティ会場で握手した、当時まだ平幕だった琴欧州(実物は映画俳優のようなイケメン)がその後大関になりましたし、応援している力士が出世するというのは、何となく嬉しいものです。
白鵬は大相撲入門を目指して、2000年に数名のモンゴル人青年と共に来日しましたが、当時体重が軽くて、他の仲間が次々入門を決めた中で取り残されてしまいました。諦めていよいよモンゴルに帰国する数時間前に、モンゴルの先輩である旭鷲山の口利きで、宮城野部屋への入門が許されたというエピソードがあります。
白鵬は、「数時間で人間の運命が変わることがあるんだ」と思ったそうです。
父親はモンゴル相撲の横綱で、5年間一度も負けたことが無いという大記録を持っています。レスリング選手としても活躍し、オリンピックのメキシコ大会で、モンゴルに初めてメダルをもたらした国の英雄でもあります。
そうした格闘技の選手としてのDNAを、しっかりと受け継いでいるわけです。
朝青龍が以前から、「大関には琴欧州が先になるかも知れないが、横綱は白鵬が先になる」と言ってましたが、この予想どうやら的中しそうな気配です。
話題の多かった春場所ですが、千秋楽が終わってみれば横綱昇進が絶望視されていた栃東が12勝3敗となって、辛うじて来場所の綱取りに期待をつなぐことが出来ました。協会としては、何としても若乃花(お兄ちゃん)以来という日本人横綱を誕生させたいでしょう。
又場所中に引退をほのめかしていた魁皇は、ファンからの「ヤメナイデ」コールに背中を押され、千秋楽で勝ち越し大関の地位を死守しました。
相撲協会としては、場所全体が出来過ぎと思われるほど万事うまく収まって、ホッと胸を撫で下ろしていることでしょう。
今場所も外国人力士、特にモンゴル勢の活躍が目立ちました。幕内最高優勝と三賞は全てモンゴル力士が独占しましたが、これは無論史上初です。又現在幕内7名十両2名合計で9名のモンゴル人関取がいますが、全員が勝ち越しました。
千秋楽にはモンゴルの首相が来ていましたし、14日目は琴欧州の出身であるブルガリアの国民会議議長が観戦していました。大相撲もすっかり国際化したものです。
十両はというと、エストニア出身の把瑠都(ばると)が全勝優勝しましたが、これは43年ぶりの記録だそうです。下から上がってくる有望力士も又もや外国人というわけです。
グルジア出身で黒海という力士がいますが、あれは”鋼鉄山”とかなんとかにして欲しかった。グルジアといえば、スターリンの国ですからね。
このままいくと、そのうち加寿美海(かすぴかい)とか栄気海(えいげかい)、地宙海(ちちゅうかい)などという四股名が出てくるのも、時間の問題でしょう。
狩武海(かりぶかい)なんざあ、いかにも強そうな名前です。
アメリカと違って、日本人の行司は外国人に不利な”誤審”はしません。一昔前の小錦の時代には、昇進の時に外国人力士が差別されることがありましたが、今は全くその気配がありません。そういう意味では既に国際化が進んでいるのです。
以前の記事にも書きましたが、ここまで来たのならいっその事、大相撲を国際試合にしたらどうでしょうか。WBCの向こうを張って”WSC(World Sumo Classic)”とか。大相撲春場所をWSC大阪大会にするんです。
今場所の場合なら、優勝式はモンゴルの国歌が演奏され、モンゴル国旗がするすると下りてきます。外国人力士は、自国の名誉にかけて更に力が入るでしょう。
「こう毎場所モンゴル国歌を聞かされるんじゃ、たまったもんじゃないね。俺達日本人力士も、ここいらで本家の意地を見せようじゃないか」ってな調子で日本人も頑張って、ますます充実した土俵を見せてくれると思いますよ。
どなたかこのアイディア、採用してくれませんかね。
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幕の内最高優勝、準優勝、三賞、十両優勝などが外国人力士に総なめにされましたが、そんなことを少なくとも私は大して意識しませんでした。
今や外国人選手はプロ野球にも多いし、サッカーのJリーグにもたくさんいます。
しかし、外国人力士は他の種目の外国人選手に比べて圧倒的に日本語もうまいし、一般社会より古いと言われている相撲社会のしきたりにも慣れ、且つそのしきたりを尊重しているように感じられます。
一時、朝青龍が横綱としての品格という議論の対象にされましたが、現在ではそんな議論も影をひそめました。
つまり外国人力士は我々が外国人と意識しないくらい日本の相撲社会に同化しているように思います。
まぁ、HOME9さんの提唱されるようなWSCの開催も一つのアイデアとしては面白いと思いますが私は当面、今のままでも・・・と思います。
投稿: タケチャンマン | 2006/03/27 10:54
はじめまして。おもしろいご意見だと思います。
わたしも、大相撲の将来を考えるときに、いっそうの国際化が必要になってくるであろうと思っています。ただ、それを、大相撲の伝統を考えるとき、必ずしも積極的にどんどん国際化を進めていくことがよいとは言えないと思います。
現在の国歌の斉唱は、選手(力士)の栄誉を称えているというわけではないと思います。いわば、「表彰式」を厳格に、伝統にのっとり挙行するのだという気持ちを込めて、式全体の中の一つの大切な目的としておこなっているものですね。
優勝選手のためにある表彰式ですが、その表彰式が自分たちみんなが認める正式なものであるという一つの証として国歌をみんなで歌うのです。
今行われてる国歌演奏をとりやめ、優勝選手の出身地の国歌を演奏しようという発想は、おそらくまったく観点の違う発想で、わたしはとてもおもしろいと思いましたが、今の形式の表彰式を見ている日本人には、おそらく誰一人として思いつかないのではないかと思いました。
投稿: 出人 | 2006/03/27 19:16
タケチャンマン様
コメント有難うございます。
外国人力士の活躍には、本より異存はないのですが、日本人力士達の不甲斐なさに少々苛立ちを覚えて、ああした記事を書きました。
第一モンゴル力士に比べ、顔で負けています。勝負士というのはもっと厳しい顔を持たねばならないでしょう。気迫の薄さが顔に現れているように感じます。
ショック療法として考え付いたものです。
投稿: home-9 | 2006/03/28 18:22
出入様
コメント有難うございます。
取り組みについての詳細な記事を興味深く拝見致しました。相撲への愛情が強く感じられます。
大相撲のベースには神事があり、現在の風習にあわないことであっても(女性が土俵に上がれないなど)、それは伝統ですから受け継いでいかなくてはならないでしょう。
日本人力士の奮起を期待して、いささか挑発的な記事を書きましたが、勝負に対する執念、力士としての精進に努め、外国人力士への手本になって欲しいと願っています。
ただ表彰式については、近年になって今の形式になっていて、古来からの伝統というわけではありません。時代と共に変えて行くことも有り得ると思います。
何にせよ、来場所は更に楽しみですね。
投稿: home-9 | 2006/03/28 18:50