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2006/05/14

「テロ対策」は水戸黄門の印籠か

Bush
アルジェリアに出掛けていて少し休みを取っていましたが、今日から再開致します。「9・11」以後海外に出られた方々が並べて経験されているのは、空港での検査体制強化ではないでしょうか。靴まで脱がされたり、大勢の人の前でカバンの中身を全部広げられたり、中にはボディチェックで下着の中に手を入れられたという人もいて、嫌な思いをした方も多い。女性検査官から指でサワラレタ幸せな男性もおりましたけど。
今回の旅行でも先方では搭乗までに最低3回の手荷物検査があり、その度に手荷物の中を開けさせられました。

以前米国内の空港でトランジットするだけなのに、入国審査と手荷物検査で2時間以上待たされ、もう少しで乗り継ぎ便に乗り遅れるところでした。その時は待たされていた乗客をトイレに行かせないと言い出し、米国の係官に激しく詰め寄る人もいました。こうなると人権問題です。米国の空港では預け入れのスーツケースの鍵を掛けないよう指示がされていて、知らずにいて鍵を壊された人もいます。
これらは全て「テロ対策」です。
しかし、真剣に検査しているのはイスラエルの空港くらいなもので、他は規則だから形だけと言う所が大半です。

今や「テロ対策」は錦の御旗であり、水戸黄門の印籠です。何を云われても、ヘッヘーと頭を下げるしかありません。
しかし良く考えてみると、ここ数年で本当にテロが増えているのでしょうか。本当にテロに対する危険性が増加しているのでしょうか。私は納得できる数値的な裏付けデータを見た事がありません。
確かに現在イラクでは毎日のように自爆「テロ」が起きています。しかし過去の歴史を見れば、外国の軍隊に占領された国で抵抗運動、武力闘争が起こるのは極く当たり前のことです。
今回訪問したアルジェリアでも、長期にわたってフランス軍に対する抵抗運動が行われ、その結果独立を勝ち取りました。第二次大戦中にドイツに占領されたヨーロッパ各国では、ナチスに対する抵抗運動が行われました。しかしその当時は、こうした抵抗運動を「テロ」とは呼んでいなかった、レジスタンスと呼んでいました。
処が最近では、民族独立闘争でさえ「テロ」のレッテルを貼り、その結果あたかも世界中に「テロ」が横行しているかのような印象を与えているのでないでしょうか。

「テロ対策」に便乗、悪乗りする者も出ています。
米国では、国家安全保障局(NSA)がテロ対策のため、数十億件、数千万人の市民の通話記録を極秘に収集していたと報じられましたが、ブッシュ大統領は「わたしの承認した情報活動は合法的だ」と述べ、NSAの活動を正当化しています。
盗聴事件がきっかけで大統領が辞任した国とは思えない状況に至っています。

中国では、新疆ウイグル自治区で当局は、過去半年の間で数千人の人びとを拘禁した上、宗教の自由や文化的権利に対して新たな制限を導入しました。長期刑に処された人びともいますし、処刑された人びともいます。
これも「テロ対策」の一環です。
米国は以前はこいうした中国政府の人権抑圧に厳しく抗議していましたが、「テロ」防止への協力という名目で、現在では事実上黙認する姿勢に転じています。

ロシアではどうでしょう。「テロ対策」の名の下に、チェチェンに対する弾圧が一層過酷になっています。
テロ情報を市民が治安機関に簡単に密告できる法案が上院で可決されました。これまでは情報提供者の氏名・年齢・職業などの明記が必要でしたが、完全に匿名がゆるされることで、簡単に密告することができるようになりました。
何だか昔のソ連時代に戻ったような気がしてきます。
更にプーチン大統領は、現在メディアに対する新たな規正法を企んでいます。政府がテロリストと認定した人へのインタビュー、あるいは「反テロ戦争はかえってテロをよぶ危険性はないのか・・」というような「疑問」を提示する論文を掲載すれば、その報道機関を閉鎖させることもできるものだそうです。
いかにもKGB出身のプーチンがやりそうなことです。

こうした潮流は、我が日本も決して無縁ではありません。
前回の記事に書きました、現在国会で審議中の「共謀罪」法案は、まるでロシアの後追い、又は魁とも思える悪法です。

私達はもういい加減に、ブッシュが掲げる「テロ対策」という印籠に、頭を下げ続けることを考え直しましょう。
「テロ対策」の美名の下に、各国政府が何を企んでいるのかを見抜く時期に来ていると思います。

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コメント

こんにちは!5月5日付の拙ブログでのエントリーですが露西亜の「市民密告法」について取り上げましたのでTBいたします。ご笑覧くださいましたらうれしいです。
共謀罪については具体的動きを待っている状態です。
フランスでは先週、シラク大統領が日本に秘密口座を持っており69億円振り込まれていたことが諜報機関の調べでバレたことが話題になりましたが、日本では日経で記事になった以外動きがありません。不思議です。

投稿: ま・ここっと | 2006/05/14 20:23

ま・ここっと様
コメントとTB,有難うございます。
貴ブログのエントリーを早速拝見し、参考になりました。
中国の胡錦濤は、ソフトな見掛けに反してタカ派であり、中国の民主活動家を次々投獄しているようです。
各国の支配層は、「テロ対策」を口実にして、言論の自由を奪い、市民生活への監視を強めつつあります。勿論、日本もです。
こうなると、ビンラディンのCIA手先説とか、ロシアの学校占拠事件の治安当局犯人説に、ついつい同調したくなってきます。

投稿: home-9 | 2006/05/15 09:16

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» お露西亜では古いものが新しかったりするらしい。 [■Tant Pis!Tant Mieux!そりゃよござんした。■]
今朝なんですけれど、VALVANE(ヴぁるヴぁーぬ) さんのブログを拝見しまして、先週4月26日お露西亜の上院で「市民密告法」が可決されたこと を知りました。正式名称は「市民からのアピールの受け入れに関する法」で修正案可決だそうなので、日本國で連休明けから審議予定の 共謀罪 修正案と同様、露西亜においても「国連における国際組織犯罪防止条約」絡みの話なんでありましょう。 んが、「市民密告法」となると国連が条約加盟国に求めた参加罪と共謀罪の両翼を受け入れたことになるんぢゃないかと思います。日本は片翼の... [続きを読む]

受信: 2006/05/14 20:20

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