覚せい剤を使用すると刑が軽くなる?
刑法の抜粋。
(心神喪失及び心神耗弱)
第39条 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
前回に引き続き刑法についてのエントリーですが、ガマンして読んでください。
6月27日にある事件で高裁判決が出されました。
1999年東京都荒川河川敷で、顔見知りの男性3人を次々殺害して、殺人死体遺棄の罪に問われていた男の控訴審で、一審の死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡しました。一審が認めた完全責任能力を否定し、3人を殺害した当時、被告が心神耗弱状態だったと判断したものです。
高裁での争点は、犯行前に覚せい剤を使用した被告の精神状態でした。
被告の「殺害を指示する幻聴があった」との供述について、犯行時の被告の精神状態が正常でなかったとする鑑定を重視し、心神耗弱だったと結論づけています。
それなら、もしこの男が覚せい剤を使用せずに連続殺人を犯したなら、死刑になっていたわけですから、覚せい剤使用という不法行為を重ねたことによって減刑されるという、実に不思議な判決になっています。
冒頭に掲げた刑法39条ですが、ここでいう心神喪失および心神耗弱の例としては、精神障害や覚せい剤の使用によるもの、酩酊などが挙げられます。
過去の判例では、アルコールや麻薬、覚せい剤の摂取により、故意に心神喪失に陥った場合は、刑法第39条1項「心神喪失者の行為は、罰しない。」は適用されないとされています。
これを飲酒運転での罰則と比較すれば、分かり易い。飲酒により泥酔したまま自動車を運転して事故を起こした場合、業務上過失致死傷ないし危険運転致死傷が成立します。
酔っ払っていて覚えていないという言い訳は、通用しませんね。仮に心神喪失(心神耗弱)状態であったとしても、完全な責任が問われます。
心神喪失(心神耗弱)状態であった者が、通常の殺傷事件を起こした場合は、無罪あるいは減刑となり、一方車で殺傷事故を起こせば、完全な責任が問われるというのは、どう考えても理屈に合いません。
飲酒して事故を起こせば罪が重くなると同様に、麻薬や覚せい剤を使用して犯罪を行った場合は、むしろ罪を重くすべきではないでしょうか。
裁判所が、覚せい剤使用者に有利になるような判決だけは、出して欲しくない。
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