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2006/06/14

「村上世彰」だけが悪いのか

Murakami
6月5日「村上ファンド」代表であった村上世彰が逮捕されて以来、連日新聞紙上やTVのニュースショーでこの問題がとり上げられています。何せ逮捕直前、当の本人が記者会見まで開いて、罪を認めるという異例の展開となりました。
これだけの大事件、その村上という男はどんな悪逆非道な犯罪を犯したのかというと、これが投資顧問会社だった「MACアセットマネジメント」の元役員らと共謀し、2004年11月8日にライブドアの堀江貴文らから、ニッポン放送の発行済み株式数の5%以上を買い集めるとの情報を入手した上で、翌日から2005年1月26日までに、同放送株約193万株を計約99億5000万円で買い付けた疑いです。
いわゆるインサイダー取引ですね。
フーン、何だ、その程度の事件なのかというのが、私の第一印象でした。

その後の調べで、保有していたニッポン放送株の値上がりを狙って、ライブドア側に共同して経営権を握ろうと株の購入をそそのかし、株価が高騰すると約束を破りさっさと持ち株を売り払い、巨額の利益を得たというものです。
何のことはない、ライブドアの堀江らが、村上にまんまと一杯食わされたというお話で、ここでは堀江が被害者、加害者が村上だったということです。悪賢さでは、やはり村上の方が上だったということです。
所詮マネーゲームの世界での、キツネとタヌキの化かし合いで、どっちが勝とうと負けようと、アッシラには係わりのないことでござんす。

いや善良なる一般投資家も被害を受けているという報道もありました。その一般投資家とは、一体どこのどなたなのでしょう。
先ず村上ファンドがある企業の株を買い集めると、村上銘柄ともてはやされ株価は上昇します。
従って、その企業の株を持っていた方々は利益が得ることになります。
村上世彰は、こうした株の購入をマスコミが報道し、その結果株価が上がるのを期待して、その企業経営者に色々な提案をします。そして思惑通り株価が上昇させ、ピーク付近で売却して巨額の利益を得る、簡単に言えばこうした手口です。
損失を出した人というのは、そうした村上銘柄に目をつけ、そのおこぼれに与ろうと提灯買いしたところ、その後株価が下落して損をした人でしょう。
こうした人とかけて、サッカーW杯で日本が負けた原因と解きます。そのココロは「ジーコ責任」。

ファンドというと最近になって名前を聞くように感じますが、昔から主に投資信託という名称で知られていました。こちらは公募ファンドと呼ばれ、ファンドを設定する以前と運用開始後にも、様々な書類提出が義務付けられています。又運用にあったても、リスクを回避するために色々な制約があります。
それに対して村上ファンドのような形態のものは私募ファンドと呼ばれ、規制緩和の一環として1998年に法律が改正され、認められるようになりました。つまりは、政府の規制緩和の申し子です。
ファンドを発行する段階で、有価証券通知書のみ提出が義務付けられ、運用開始後の書類提出は不要です。
又運用に対しては規制が無く、自由な運用が出来ます。

近頃よく耳にするヘッジファンドもこうした私募ファンドの一種です。
ファンドの運営方針も公募と私募とではまったく違います。
公募ファンドが相対的は収益で評価されるのに対して、私募ファンドは絶対的な収益をあげることが要求されます。
例えば、上場企業の平均株価が年間で20%下がったとします。公募ファンドの値下がりが10%であれば、そのファンドマネージャーは評価されます。
しかし私募ファンドの場合では、逆に5%の利益を上げたということにならないと、評価されないのです。
従って、カラ売りなどのあらゆる手段を使って、収益を上げる努力をします。

他人が損しているときに、自分だけ儲かる。他人の何倍もの利益を上げられる。
こうした事が実現するためには、情報獲得だけが有力な武器です。自分だけしか知らない情報をいち早く手に入れ利益を得る、そのために有効なのがインサイダー情報です。
その企業の経営者や一部の幹部しか知り得ない情報を手に入れる、これが大事です。
もちろん通常は合法的に入手しているのでしょうが、実はインサイダー取引というのは、明確な構成要件というのがありません。文書でも残されていれば、それははっきりしますが、一般的には「耳より」情報が多いので、証拠が掴みにくいのです。
運用成績を上げようとすればするほど、インサイダー取引のグレーゾーンに近づいてしまう、これはある意味、私募ファンド運用者の宿命かも知れません。

村上本人の弁でも、2000億円儲かったと言ってましたが、これほどの巨額な収益を得るためには、今回のニッポン放送だけのことではなく、日頃から有益な情報が村上にもたらされていたと、考えるべきでしょう。
例えば、村上ファンドの育ての親であり、有力な出資者でもあったオリックスの宮内義彦会長、彼の場合実に沢山の政府委員をしていますが、こうした筋から入ってくる情報は、極めて有効なものでしょう。
そして昨日国会で問題となった、日銀の福井俊彦総裁です。日銀総裁といえば、その存在自体がインサイダーみたいなものです。しかも村上ファンドへの出資だけではなく、アドバイザーもしていたそうですね、何をアドバイスしていたのでしょうね。
政府も本人も、民間人だった時期だから問題ないと言ってますが、日銀の副総裁と総裁の間の時期ですから、これはどう見ても、純粋な民間人と言い張るのは無理があります。
村上の周辺には、そうした有力な情報提供者がおり、それらの秘密情報が、巨大な利益を生み出してくれたと考えるのが、素直だと思います。

「額に汗している人に報いる」、これは最近良く聞く言葉です。
村上も堀江も、厳しい取調べを受けた時は、額に脂汗をかいていたことでしょう。
しかし宮内会長や福井総裁は、収益金を手にしただけで、汗はかいていない。

検事総長殿、これは問題ないのでしょうか。

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