「株主総会」初体験記
今日で6月が終わり、つまり1年の半分が終わってしまうということです。年齢と時間の早さは、対数目盛りではないかと思えてきます。加齢するほど間隔が短くなるようです。
さて昨日29日は、株主総会の集中日でした。多くの企業は3月末決算ですが、決算が確定し株主総会が開けるのがちょうどこの時期になります。
それ以上に、企業の本音としてはあまり沢山の株主に出席して欲しくないわけで、この日に集中させれば出席者が分散できるというメリットがあります。そういうわけで昨日は、東証上場企業の55%にあたる1003社が、総会を開催したのだそうです。
以前は総会屋対策という大義名分がありましたが、全国で350人とも400人とも言われる絶滅寸前の総会屋ですから、現在ではそれ程神経を使うことは無い筈です。
それでも警視庁は、総会での不測の事態に備えるため、都内630社余りにおよそ1800人の捜査員を派遣したそうですから、なにか警察、気合が入っていますね。
その株主総会というものに、初めて出席してきました。
過去に自社の株主総会には出たことがありますが、社員株主として業務で出ていただけで、サクラでしたから、まともな総会は初体験ということです。
え、株なんか持ってるのかですって、失礼な(怒)。Y社の株をなんと10株も持っています。こう見えてもレッキトシタ株主であります。「ほめくファンド」の代表なのです。でも規模が小さく、経営参加もTOBも無理ですけど。
そのY社ですが、2000年のITバブル当時は、成長企業として人気を集め、公開直後は1株1890万円をつけました。その後30分割してますから、計算すると1株が63万円になります。
で現在はというと、株価は数千円から1万円の間をウロウロしてますので、実に60分の1以下に下落したわけです。
ライブドアの株主の皆様、あなたがたは未だ未だ幸せなのですよ。
私の場合はそれ程大きな損失にはなっていませんが、Y社の株主の大半は損している。
さてそのY社の株主総会ですが、出席者はおよそ200名程度、10時に開会し終了は12時10分なので130分間で、その内社長の報告と決議案の提案が20分ですから、質疑応答が110分掛ったということになります。
私が在籍していた企業は、Y社に比較すると20倍以上の規模でしたが、総会の出席者は毎回80名程度で、関係者以外の純粋な出席者は10名に満たない。発言はゼロで、開催時間は20分強というのが通例でしたから、その落差に驚きました。
関連企業の総会も似たような状況と聞いていましたので、世の株主総会というのはそういうものだと思い込んでいたわけです。
会社は5期連続の赤字が継続中、苦境が続いていますので、株主の質問は大変厳しいものでした。社長の責任を問う声、役員報酬の減額を求める声、取締役の新任を拒否する声が相次ぎました。
特に黒字転換の見通しが立たない状況にどう対処するのかに、質疑が集中しました。
IT企業の社長ということで、すっかりホリエモンのような人物を想像していましたが、T社長は実直な印象で、質問には丁寧に答えていました。時に自分の発言を取り消し陳謝したり、苦しい胸の内も吐露しました。
誠実な人柄だという印象を受けましたが、果たしてこの社長、生き馬の目を抜くIT業界の中で、大丈夫なのだろうかという不安もよぎります。
とにあれ、途中で質疑を打ち切ることもなく、質疑のある人には全員発言させていました。
当初は険悪であった会場の空気も次第になごみ、全議題が承認され、無事お開きとなったわけです。
印象的であったのは、株主側の質疑でも、会社側の回答でも、成る程と思う意見には会場から拍手が沸いていたことです。
翻って一部の企業の総会では、社長の報告にだけ社員株主から拍手が起こり、賛否を問えば一斉に「了解」が唱和され、一般株主が最初から発言できるような雰囲気がありません。
昨日の総会で感じましたが、最初の社長の報告は通り一遍で、内容を伴っていない。
むしろ質疑に答える中で重要なことが開示、説明され、出席者の大半は初めて中身を理解できたと思われます。
こうした新興企業の経営者が、積極的に対話をしていこうという姿勢を持っていることは、評価されます。
反面、古い企業が未だに総会屋対策の名の下に、依然として威圧的な総会を行っているのは、反省が必要でしょう。
いつもでもこうした総会の運営を続けていると、よほど経営者として自信が無いのか、それとも何かウシロメタイことでもあるのかと、勘繰られるだけです。
でも総会出席者のお土産が、紅茶のティバック1箱(10個入り)とは、赤字企業とはいえ、トホホでした。
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