フォト
2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

« 「ものを言えぬ株主」総会の裏側 | トップページ | 「死刑制度」は必要です »

2006/06/22

小泉総理の迷惑な「置き土産」

Koizumi6_1
小泉政権の5年間を振り返って、実績として強く印象に残るのは、米国のイラク戦争支持と自衛隊派遣、それに郵政民営化でしょうか。郵政民営化も元々は米国政府からの要請に基づくものですから、米国寄りの政策が目立ちました。
戦後の政権が、米国とアジア諸国とのバランスに立っていたと言えるでしょうが、小泉首相の場合は旗幟を鮮明にして、米国一辺倒に舵を切った5年間でした。

小泉・自公政権は6月20日、安全保障会議でイラクのサマワに派兵している陸上自衛隊の撤退を正式に決定しました。
2003年7月のイラク特措法の成立を受けて、2004年1月に陸上自衛隊のサマワ派遣が始まり、以後延べ約5500人の隊員が現地に派遣されていました。
以前から自衛隊のイラク派遣については、自らの政権の間に撤収する意向を示唆していましたから、一種のケジメとも見られます。
しかしイラク戦争に関与した最高権力者としてのケジメとしては、2つ問題が残されていると思います。
一つはイラク開戦を支持した自らの言動であり、もう一つは航空自衛隊の活動継続です。

この間の小泉首相の国会や記者会見での発言がどう変わってきたか、見てみましょう。
「問題の核心は、イラクが自ら保有する大量破壊兵器、生物兵器、化学兵器を廃棄しようとしないこと」
「フセイン大統領が見つかっていないからイラクにフセイン大統領は存在しなかったということ言えますか、言えないでしょう。大量破壊兵器も私はいずれ見つかると思う」
「私も、あのころはいずれ見つかるんじゃないかと思っていた。しかし結果的にはないということ」
「思いと予想と見込みは外れる場合がある」

一方イラクのいわゆる「大量破壊兵器」情報が誤りであったことがはっきりした際に、ブッシュ米大統領は、イラク戦争の開戦理由とした大量破壊兵器保有の情報に「多くの誤り」があったことを認め、「攻撃を決断した責任がある」と表明しました。
もう一人の立役者だったコリン・パウエル前米国務長官は、イラクの大量破壊兵器開発・保有を「告発」してイラク・フセイン政権打倒の軍事攻撃を正当化した2003年2月の国連安全保障理事会での演説について、人生の「汚点」だと語りました。

ここでブッシュやパウエルの発言を賞賛するつもりはありません。
責任者が誤りを認め謝罪するのは当然のことであり、しかも戦争という重大な問題であれば尚更です。
これに対する小泉発言は、いかにも軽い。もっといえば三百代言、言葉のすり替え、言い逃れ、居直りと言って良いでしょう。
恐らく小泉総理の頭の中は、「自分はブッシュの指示通り動いただけであり、米国の判断の誤りに責任を感じる必要は無い」程度のとらえ方なのでしょう。
一体我が国のインテリジェンスは、どうなっているのでしょうね。
もう一つ、こうした小泉発言が、ライブドア事件の堀江被告、村上ファンド事件の村上容疑者から最近の日銀福井総裁の一連の居直り発言のまで、通じているような気がします。
責任者が責任逃れする社会、これは恐ろしい社会だと思います。

もう一つの陸自撤退後の航空自衛隊の活動継続ですが、これからむしろ拡大するのではと懸念しています。
今までは陸自への物資補給という大義名分がありましたが、今後は名実ともに米軍支援のための輸送活動に専念することになります。
戦闘行為に加わるわけではないという見解もあるようですが、輸送というのは軍隊では兵站・ロジスティクス(Logistic)とも呼ばれ、大変重要視されます。俗に「素人は戦術を語り、玄人は戦略を語り、プロは兵站を語る」とされているように、輸送は戦闘の帰趨を左右します。
大義なきイラク戦争への関与は、もういい加減にしましょうよ。

「たつ鳥あとをにごさず」です。
小泉さん、自らまいた種は、自ら刈り取って行ってくださいね。

« 「ものを言えぬ株主」総会の裏側 | トップページ | 「死刑制度」は必要です »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

小泉首相の詭弁でもならない、いい加減な言い回しに、なぜ国民からそんなに支持されたと思いますか。

コメントで、なぜ小泉総理がそんなに支持されたと思うかとのご質問、実は私がお聞きしたいことでもあります。周辺に、小泉総理の支持者が余りいないもので、よく分からないというのが本音です。
ここから先は想像にしか過ぎませんが、次の様に考えています。
①バブル崩壊を経て、政治、経済などあらゆるシステムの疲弊が表面化していた時期で、「壊す」「改革する」というメッセージが分かり易く新鮮に映ったこと。
②ポピュラリズム、小泉劇場と呼ばれた演出の巧みさ。マスコミを利用して、常に映像効果を考えて自らを演出した、我が国で始めての総理だったと思います。
③ナショナリズムを掘り起こし、それを保守派に取り込んだこと。戦後我が国でもナショナリズムが高揚した時期がありましたが、その際は矛先が反米の方向に向かい、反政府運動と結びつきました。今回はそのエネルギーを、反中国、反韓国にうまく振り向けていました。
④性格なのか、能力の問題なのか、「反省」「熟考」「羞恥」という概念に、言動が捕われなかった。これが却って「思い切りの良さ」と映り、従来政治に無関心だった層の支持を得た。

民主党を始めとした野党の主張は現実的ではない。
しかし、派閥の領袖が牛耳っているナアナア体質の自民党には期待できない。

本来的には、政治家と言う人種は自分の主張を大衆に解り易く述べ、大衆の理解と賛同を得ながら政治を進めるべきだ。
ところが日本の大衆が知っている政治家は「うぅ~、あぁ~」の大平元首相、言語明瞭意味不明瞭の竹下元首相を筆頭に何を言っているのか平均的な大衆には理解できない者ばかり。

こんな政治には飽き飽き!
そんな時に自民党員でありながら「自民党をぶっ壊します」と言いながらワンフレーズで解り易いと大衆が感じる主張をする小泉純一郎が現れた。

国務大臣の任命についても従来の派閥主導主義を廃し、自分自身の考えで選ぶなど従来の因習に捉われた政治のあり方を変えそうだという事を解り易く示した。
更には支持率が落ちそうになる毎に北朝鮮訪問とか、サプライズを準備した。

こんなところではないでしょうか?小泉内閣の支持率が過去の内閣より高かったのは。
全面的に小泉内閣を支持する訳ではありませんが、タケチャンマンは一定の評価は出来ると考えております。

タケチャンマン様
コメント有難うございます。
小泉政権の5年間をどう評価するか、様々な意見があるでしょう。
いずれ、このテーマで別途エントリーしたいと考えています。
一つ政治を分かり易く語るというのは、広範な国民にアッピールする上では有効であったのは間違いありません。
しかし、本来の政治というものは、それ程分かり易いものでは無い。そこを無理やり分かり易くということになると、問題を単純化するしかない。
話は逸れますが、その昔毛沢東の著作を何冊か読んだことがありますが、大変分かり易い。全ての問題が単純化されていて、子供でも十分理解出来ます。だから文化大革命の時に、紅衛兵を動員できたのでしょう。
しかし毛沢東の著者や政策が正しかったといえば、否です。
ちょっと脱線したかも知れませんが、小泉首相の分かり易さが、実は「曲者」だと考えています。

ナショナリズムを煽って政治を動かすことは国民にとして大変危険なことです。そういう意味では現任首相よりも、そのポストの一人がもっと危険ですね。

私は、現在の世の中で最も危険なものは、偏狭なナショナリズムと、宗教の原理主義だと思っています。
そのいずれもが、自分達の意見だけが正しい、それ以外の意見は全て間違いだという、共通性があります。
ポスト小泉の有力者がこうした人物であるとしたら、非常に不幸なことです。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 小泉総理の迷惑な「置き土産」:

» 陸自は撤収、空自は任務拡大 [ねじれ川柳惑星]
 陸上自衛隊がサマワから撤収することが発表された。これは米の駐留延長要請を拒否したものだという。その [続きを読む]

» イラク陸自撤退と言っても・・・航空自衛隊は活動拡大、いつでも派兵の法案準備 &WC [日本がアブナイ!]
 20日に小泉首相がイラク派遣中の陸自の撤退を正式発表することになった。  だが、他方、今も行なわれている航空自衛隊のクウェートーイラク間の空輸活動は、いま だに危険なバクダッドまで活動領域を広げるなど、支援活動を拡大するのだという。  また自民党では、あの石破元防衛庁長官の下に、いつでも自衛隊の海外派兵を可能にする 法案のもとが作られているというニュースも出ていた。  大事なニュースなので、前記事の続きはまた後日に回すとして、今回はこの自衛隊派遣 の話を中心に書きたい。<おしま... [続きを読む]

« 「ものを言えぬ株主」総会の裏側 | トップページ | 「死刑制度」は必要です »