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2006/08/15

「グレート・東條」

Tojo
古いプロレスファンなら、「グレート東郷」というレスラーを覚えているでしょう。ヒール(悪役)を売り物にしたレスラーでしたが、ユーモラスなしぐさで人気がありました。
窮地になると、手を合わせて許しを請うと見せて、油断した相手レスラーの股間を攻撃するというのが得意技でした。塩を使った目潰し攻撃という技もありました。
彼が終戦後アメリカでは、グレート東條と名乗っていたのを知っている人は少ないと思います。
卑劣な悪人=東條英機というイメージが、米国ではウケタのでしょう。
最近、東條英機の孫娘という人物が頻繁にマスコミに登場しますが、その度にこのグレート東郷を思い出してしまいます。

私は戦争を直接知らない世代ですが、その爪跡は覚えています。
小学校の時は、履物が無くて裸足で登校してくる生徒がおりました。傘が無くて、雨が降ると学校を休む生徒も。
高校ではクラスの3分の1が母子家庭でした。皆父親が戦死した人です。
戦時中実兄は学童疎開していましたが、昭和20年の1月に東京に戻されています。当時兄は12歳でしたが、本土決戦に備えて首都を守るんだと、教師から説明を受けたそうです。
東京大空襲では多くの学童が犠牲になりましたが、こうした背景があったためです。
そんな時代の空気は、鮮やかに記憶に残っています。

さてその東條英機、この人の肩書きが実にすごい。第40代内閣総理大臣兼内務大臣・陸軍大臣・陸軍大将、更には外務大臣・文部大臣・商工大臣・軍需大臣・参謀総長を兼任しています。
戦争の最高責任者として、全ての権力を手中にしていたわけです。
軍部は、支那などちょっと脅かせば直ぐに降参すると公言し日中戦争に突入し、勝てる勝てるという根拠の無い見通しでアメリカとの戦争を始めました。

東京裁判(正式には極東国際軍事裁判)は間違っていたという論調がありますが、戦争で勝者が敗者を裁くのは、法律上の正当性の是非はともかく、現在でもごく普通に行われています。
米国のブッシュ、イラクのフセイン、どっちの方がより悪人かというのは議論が分かれるでしょうが、戦争で勝利したブッシュが、一方的に敗者フセインを裁いています。
勝敗が逆転していたら、ブッシュが裁かれたでしょう。
これが不条理というなら、それは戦争が本来持っている不条理さによるものでしょう。

東條英機については、多くの人が様々な評価を行っています。
官僚としての手腕を評価する声がある一方、彼の行いに対して多くの批判があります。
軍部の中でも、東條の意見に反する人間や嫌いな人物は、次々と危険な前線に送られ命を落としました。
軍人だけではありません。「竹槍では戦争に勝てない」と書いた新聞記者を、硫黄島に送ろうとしました。批判が出ると、記者と同年配の人を多数招集して激戦地硫黄島に送り、全員が戦死したと伝えられています。
東海大学を創設した松前重義は東條ににらまれ、42歳で二等兵召集され、中国戦線に送られています。
陰湿で小心な人間が権力を握れば組織を誤る、東條はその典型です。

こうした人物を最高責任者に任命した者の責任はどうかと問われれば、これはあると考えてよいでしょう。
東京裁判は、東條らA級戦犯の責任を裁くと同時に、天皇の戦争責任を棚上げにした裁判でもありました。結論はともかく、この点はもっと議論しておくべきでした。
東京裁判について惜しまれるのは、出来れば日本人の手によって裁判が行われていれば良かった。
しかし、当時の国内外の状況がそれを許さなかったと思われます。

今日8月15日、62回目の終戦記念日です。

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