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2006/09/23

「上海総領事館員自殺事件」の検証(上)

Karaoke防衛庁が内局職員や自衛官を対象にした内部調査を実施し、無断で海外渡航した経験のある職員、自衛官は合計575人にのぼることが明らかになりました。まあ実際にはもっと沢山いるんでしょうけどね。
今回の調査は、海上自衛隊の一等海曹が機密資料を持ち出す一方、無届けで8回も上海への渡航を繰り返していたことが発覚したことが引き金になったものです。
上海では、先般領事館員の自殺で問題となったカラオケ店に通っていたのですが、まさかカラオケを歌うためにわざわざ上海に行くヤツはおりません。
目的は唯一つ、女性を買うためでしょう。
先の無断渡航にしても多くが買春目的と思われます。だから無断にならざるを得ない。
ここで発端となった上海総領事館員自殺事件を、改めて検証して見たいと思います。
私はあの事件は、日本政府や外務省にとって決して名誉な事件ではない、むしろ不祥事と考えるべきではないか、少なくともこの領事館員を悲劇のヒーロー扱いするのは間違いだと思っています。

ここで、事件全体をちょっとおさらいしてみます。
2003年当時、上海領事館員が地元のカラオケ店に出入りしているうちに、ある中国人女性と親しくなりました。この文脈で“親しく”といえば、女性との間に性的関係にあったと考えるべきでしょう。
ところが6月にその女性が、中国の情報当局により売春容疑で拘束されます。これを機に中国情報当局は、この女性を連絡係として、館員との接触を始めます。
2004年に入ると、当局は電信官であったその館員に対して、日本側の情報を提供するよう迫るようになります。
この館員は、一度は情報提供に同意しますが、これから先要求がますますエスカレートすることを苦慮し、同年5月6日遺書をしたため自殺したものです。

事件発生直後、外務省は中国に対して、ウィーン条約に違反するとして口頭で抗議および真相の究明を要求したとのことです。しかし遺族への配慮となどの理由から公表は差し控えていました。
また外務大臣や官邸へは報告しなかったとされています。
処が、今年初めの週刊文春に掲載された記事をきっかけに、メディアがこの事件を大々的に取上げるようになり、日中両国間の問題に発展していきます。
外務省は、この自殺が中国当局からの脅迫が直接原因であった旨の声明を発表、中国側はこれを完全否定し今日に至っています。
経緯から見れば日本側の主張通りであり、中国側が嘘をついているのは明白です。
問題なのは、脅迫されるに至るプロセスでしょう。

私が最初にこの事件を知った時真っ先に考えたのは、外国からの情報収集に関して映画やドラマ、あるいは書籍に書かれているのは本当なんだなという感想です。つまり女性をエサにして秘密を聞き出すという、あの古典的手口です。
現に外務省OBへのインタビューでも、この種の事件は過去にもあったとの証言がありました。
男をたらしこむには、昔から「飲ませる、抱かせる、握らせる」と相場が決まっています。酒食でもてなし、女性を提供し、金品を渡す、これが相手を落とす3原則ですね。
何も外交問題だけではありません。通常の商取引の接待の世界でも、まま見られることです。
日本だって、外国から要人が来た時に、高級ソープランドに案内する場合がありますよね。よく大手商社などがアレンジしていますが、
違いますか?

問題は、この上海総領事館員自殺事件に登場する日本人向けカラオケ店の実態です。
先日TVのある番組で、問題となった上海カラオケ店に潜入した映像が放映されていました。
店に入ると、番号札を付けた若い女性がズラリと勢揃いして、三つ指つぃてお出迎えです。客は気に入った女性を指名し、そのまま二人で個室に消えてゆきます。
これは誰が見たって、この店が売春店であることは分かります。
中国の一部のカラオケ店が売春の隠れ蓑になっていることは、元上海総領事の杉本信行氏が書いた「大地の咆哮」(PHP研究所)でも指摘されています。
事件当時杉本氏の部下であった館員も、当然そのことは承知していた筈です。

次回へ続きます。

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