「石原慎太郎」その存在の耐えられぬ軽さ
去る8月30日に東京都が2016年の夏季五輪国内候補都市に決まりました。
石原都知事は、今回の候補地の競争相手である福岡市をバカにしたような発言を繰り返してきました。一都民として、まこと慙愧に耐えない。
東京は過去にオリンピックを開催しているのだし、将来もまだまだチャンスがあります。もし次回日本で開催するなら、私は東京以外の都市でと思うのですが。
この選考会議の席上石原知事は、「さっき、どこか外国の学者さんが東京は理念がないとおっしゃっていた。何のゆえんだかわかりませんが。」と発言しました。
その後の祝賀パーティーの挨拶でも、「怪しげな外国人が出てきてね。生意気だ、あいつは。」などと述べています。
これは福岡市の応援演説をした姜尚中・東大教授を指したもので、因みに姜教授は在日韓国人2世で、熊本で生まれ育ちました。
およそ文学者とは思えない、品性のかけらも無い発言です。
石原知事はしばしば自分の意見に反対する人を侮辱したり人格攻撃をしますが、これは精神的に大人になれない、典型的な幼児性です。
石原慎太郎の中国、韓国嫌いは今に始まったことではない。
国会議員当時、石原陣営が同じ選挙区から出ていた自民党候補者(在日の帰化人)の選挙ポスターに、一夜にして「朝鮮人」というシールを貼った事件もありました。
私の兄は石原知事と同年代ですが、確かに終戦後そうした人たちから「お前ら敗戦国民」と蔑まれ、口惜しい思いをしたそうです。恐らくは彼の第三国人発言も、そうした体験からきているのでしょう。
しかしこのような個人的な思い出をいつまでも引きずって、公の場でも侮蔑発言を行っているのであれば、これまた一人前に成長しきれていない幼児性の特徴です。
それほど憎んでいる韓国ですが、選挙では「統一教会」から応援を受けていたのですから、ワケが分からない。
石原知事のもう一つの特徴としては、民主主義に対する敵愾心です。
一例をあげれば、2003年に外務省の田中均外務審議官の自宅で発火物とみられる不審物が見つかった事件について、石原慎太郎は次のように発言しています。
「爆弾を仕掛けられて、当ったり前の話だ。彼がそういう目に遭う当然のいきさつがあるんじゃないですか。」
この発言がテロ行為を認めるとして問題になると、次のような釈明を行っています。
「起こっちゃいけないああいう一種のテロ行為がですね、未然に防がれたかもしれないけれど、起こって当たり前のような今までの責任の不履行というのが外務省にあったじゃないか。」
つまり自分が気に入らない意見や行動をする人間は、テロにあっても止むを得ないというのが真意です。
因みに、ここで石原知事が言っている外務省うんぬんというのは、北朝鮮の拉致問題です。
拉致問題が初めて国会で取上げられたのは1988年で、当時石原慎太郎は大物国会議員でした。彼の選挙区に私は長く暮らしていますが、彼が国会議員当時、拉致問題の解決のために奔走したというのは聞いたことがありません。
以前このブログの「”小皇帝”都知事の綻び」という記事で書いたように、石原都知事が公約で掲げた政策に関して殆ど実現していませんし、中には本人でさえ忘れてしまったのではないかと疑うものもあります。
25年間も国会議員を務めていた割には、これといった実績を残していません。
記憶にあるとすれば、運輸相時代に宮崎県にあったリニア実験線を「豚小屋と鶏小屋の間を走っている」と評したことぐらいでしょうか。どうも都知事殿は、もとから九州がお嫌いと見えます。
その昔「ネッシー探検隊」を組織したり、最近では沖ノ鳥島に上陸したりといったパフォーマンスには熱心ですが、自らの政策を着実に実行に移すという政治家の資質には欠けているように思えます。
今回の五輪立候補についても、経過を見れば都知事三選出馬とセットになっていると思われます。
もうそろそろ小皇帝は願い下げにしたい。
自由と民主主義を尊重するような良識を持った、口先で無く、着実に政策を遂行できるマトモな都知事を望みたい。
« 「反テロ」の方が恐ろしい | トップページ | 柳亭市馬の会with立川談志@横浜にぎわい座 »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 左翼の退潮とポピュリズムの台頭(2023.04.15)
- ウクライナ戦争と「反撃能力」(2023.04.06)
- 今のロシアはかつての日本と重なる(2023.02.25)
- 台湾というリスク(2023.02.04)
- 「首相長男の公用車観光」は日本の構造上の問題(2023.01.31)
表題を見て
思わずお邪魔してしまいました。
裕次郎の兄
おっしゃる通りですネ。
勘違いしたまま歳をとってしまったようです。
草葉の陰で弟の裕次郎が
「アニキ、空イキガリはやめなよ、
似合わないよ」と言ってるかも知れません。
投稿: おぅんごぉる | 2006/09/03 13:45
おぅんごぉる様
初めまして、コメント有難うございます。
そちらのブログを拝見しましたが、イラストがとてもお上手ですね。
安倍ソーリの似顔絵、そのうち是非引用させて頂ければ幸いです。
都庁では誰もが、石原知事に逆らえない状態が出来ていますが、加えて自分の息子達を次々と国会議員に送り込んでいます。
今や東京都は石原王国と化しました。
結局石原慎太郎が目指すのは北朝鮮の様な国をモデルにして、金正日の代りに自分が据わるような国家形態ではないかと思われます。
こうした危険な人物は、首都の首長から早めに放逐したいものです。
投稿: home-9 | 2006/09/04 10:00
石原知事のみならず、最近表に出ている「大物」政治家等の人気はどこから出ているのかについて、我々選挙民こそ反省しなければならないところが多いかもしれません。
投稿: | 2006/09/05 20:14
コメント有難うございます。
政治家に対する支持が、人気投票にすり替えられているのは由々しき現象です。
石原知事や安倍長官は支持率が高いのですが、果たしてどれだけの人が本人達の政策、見識、実績を知った上で評価しているのかは、大変疑わしい。
結局国民が賢明になることが、政治を良くすることの基本だと思います。
投稿: home-9 | 2006/09/06 07:00
よく言ってることが分かりませんが、石原都知事の韓国中国嫌いを批判してるんですか?中国韓国の表立った反日活動に比べれば可愛いもんだと思いますし、日本のマスコミは何故か中国韓国には遠慮してるんで、石原都知事みたいな人もいた方がいいと思う。あと、理由も無しに嫌いになったりはしませんよ?
投稿: ☆ぁぉぃ海☆ | 2006/11/23 13:35
度々ごめんなさい。確かに石原都知事の発言には、私も昔は「言いすぎだろ」とか「威張っちゃってっ」とか思ってましたが、他にああいうことを言う政府とかっていないですし、冷静に言ってること聞いてれば結構正論言ってますよ?たまに、それは言いすぎってのもありますがね。中国韓国については私も嫌いです。でも、それはただの差別とかではないですし、過去の戦争を美化してるわけでもありませんよ~。
投稿: ☆ぁぉぃ海☆ | 2006/11/23 13:40
あおい海様
コメント有難うございます。
石原知事の支持率は依然として高い、ということは私の様な意見は少数意見といえるでしょう。
最もいけないのは、都議会でも、マスコミでも、石原知事に対する真正面からの批判が殆どなされてこなかったと云うことです。
知事というのは実に大きな権力を握っていますので、チェックが甘くなると、どうしても独善的行動に陥ります。これは福島、和歌山、宮崎で起きている知事の不正を見ても分かります。
いかに権力が強かろうと、人気が高かろうと、おかしい事はおかしいと指摘すべきだろうと思います。
その上で最終的に選挙民が判断すれば良いのです。
石原知事の記者会見を見ると、たまに批判的な意見が出されると、直ぐに威圧的な態度をとったり、恫喝したりしますが、恐らくは彼の幼児性の表れでしょう。
それを好ましいと思うか、嫌悪感を感じるかは、人によって違います。私の場合は後者です。
なお私も中国は嫌いな国で、このブログでも再三にわたり中国を批判する記事を書いていますので、興味があればご一読下さい。
但し批判する事と、バカにする事とは区別しています。
投稿: home-9 | 2006/11/23 17:23
都知事だからと言って、図にのりすぎです。
こういう人間性すきじゃないです。
正直辞任してほしいね
精神的に大人になれない、典型的な幼児性なんですね。
投稿: V | 2009/03/08 21:47
Vさま
コメント有難うございます。
人間の幼児性というのは時に愛嬌や可愛さに通じることもありますが、権力者としてはおよそ似つかわしくない性格といえます。
石原知事はまた家族思いで有名ですが、これも個人としては美徳という面もありますが、新銀行東京(石原銀行)の失敗のように、息子や側近の利益のために公金を無駄に使う結果となりました。
都知事としては相応しくない人物であることは、間違いないでしょう。
投稿: home-9(ほめく) | 2009/03/09 09:06