ミックス寄席「歌の入る噺の会」
9月17日練馬文化センター小ホールで「歌の入る噺の会」が。
全席自由席とのことだが、開場20分前に到着すると、玄関ホールは満員。整理券が配られ、番号順に呼び込みというシステムに戸惑う人もいたようだ。もちろん満席。
落語家が余興に歌ったり、噺の中にちょっと歌を入れることはあるが、歌入りの落語と銘打って会が催されるのは、初めての試みかも知れない。
三遊亭白鳥「牛丼晴れ舞台」
圓丈の弟子らしく、どこかトンダところのある白鳥の芸風と、この新作落語は良く合っていて楽しめた。
自作の「牛丼音頭」(?)の完成度も高く、客席を沸かせていた。歌う前は自分はオンチだと謙遜していたが、どうしてどうして結構歌唱力有り。
柳亭市馬「掛取り」
今回の企画に市馬が入るのは、他の落語家から見ると規則違反に見えるだろう。それほど市馬の歌はプロ級の折り紙付き。
相撲甚句の後は、得意の三橋美智也のメドレー、ア・カペラで歌っても十分聞かせる喉は大したもの。
歌入りということで、噺の方はややいい加減にしていた傾向がある中で、市馬の「掛取り」はしっかりと。
今後は春日八郎バージョンとか、三波春夫バージョンとか、市馬のオハコになりそうな予感。
昔昔亭桃太郎「子ほめ」
独特の芸風で人気の桃太郎だが、この日は風邪なんだろうか、咳がひどく聞いているほうが集中できない。
ミュージカル風にふんだんに歌を取り入れていた工夫は認めるが、いかんせん音痴。
ご愛嬌といってしまえばそれまでだが、途中から客席もダレていた。
仲入り後
柳家喬太郎「井戸の茶碗」
まさか歌入りをこのネタでと意表をつかれた。
随所にウルトラマンやモスラの主題歌を入れながら、ちゃんと「井戸の茶碗」をまとめたあたり、さすがは喬太郎。
この人は客へのサービス精神、特に若い女性客を喜ばせる術は、断然群を抜いている。
しばらくは喬太郎の時代が続くか。
柳家権太楼「一人酒盛り」
マクラで我が一門はこんなことしてる場合じゃないと言っていたが、当代柳家小さん襲名披露のことだろう。確かにその通り、林家正蔵と比べても、今回の小さん襲名に対して落語協会、少し冷た過ぎやしないだろうか。
酒好きの権太楼にとって打って付けのネタで楽しめた。
権太楼得意の「ジャンバラヤ」は前座がやってしまったし、どんな歌を入れるかと思っていたら、「東京ホテトル音頭」とは意外な選曲。
もっとも途中から「本家」喬太郎が加わって、どうりで喬太郎の高座でこの歌が出なかったのか納得。
本日の勝負、予想通り市馬の一人勝ち。
でもこの企画、なかなか良かったですよ。
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