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2006/09/08

「ライブドア裁判」に見る検察の腰砕け

Horie
最近の選挙では開票前に当確が打たれることがありますが、今回の自民党総裁選は告示前に「当選確実」が出ました。これはもう選挙というよりは芝居と言った方が良い。

さて9月4日一連のライブドア事件の中の、堀江貴文被告に対する公判が始まり、久々に公の場所に姿を見せた堀江前社長は余裕の表情を浮かべていました。
「裁判は晴れの舞台」ということで、いつもはとらない朝食を食べ、昼食もウニやカニが入った海鮮丼の弁当を食べ、「あすは焼き肉弁当」とリクエストし、初公判後の弁護士らとの打ち合わせでもビールを飲みながら、牛肉や羊肉、魚のグリルを平らげたそうです。
何だか食い物の話題ばかりですね。
少なくとも堀江被告の中では、この裁判は終わりが見えているという証でしょう。
検察もナメラレタものです。

ナメラレタのも無理はありません。予想はされていたとはいえ、検察側の冒頭陳述はおよそ迫力に欠けるものでした。
ご存知の通り、堀江被告の容疑は、証券取引法違反の有価証券報告書の虚偽記載(粉飾決算)罪と偽計、風説の流布罪です。
しかし堀江主導で行われたというこうした違法行為ですが、冒頭陳述では「そんなにもうかっちゃうの。そりゃーすごいね。」とか、「やるしかないだろう。やりきるしかないよね。」という堀江の発言が引用されているに過ぎません。
後は、宮内らかつての堀江の部下の証言に期待するしかないとしたら、真に心許ない。

ここで今年1月16日に行われたライブドアへの強制捜査、23日の堀江らの逮捕の頃を思い起こして頂きたい。
東京地検特捜部は、捜査員100人体制で捜査を行いましたが、これは30年前のロッキード事件以来の大掛かりな規模でした。
粉飾決算や風説の流布というのは入り口にすぎず、検察はこの事件の背後にある真相を暴くのが本当の目的だと言われていました。
そうしてこの事件は、戦後最大の経済事件との喧伝がなされていました。

株価をつり上げ企業を乗っ取る、こうした時に暗躍するのは政治家と暴力団と、昔から相場が決まっています。
企業は彼らの力を借りてビジネスを成功させ、利益の一部を彼らに還元する、こうして持ちつ持たれつの関係が生まれるのです。
折から、ライブドアの幹部で事件の重要人物と言われていたエイチ・エス証券野口英昭副社長が、強制捜査の直後に沖縄県那覇市内のホテルで急死する事件があり、暴力団の影が浮かんでいました。
又、主犯格の堀江被告が前年の衆院選に立候補し、自民党の幹事長を始め大物議員が次々と応援に駆けつけたことから、政治家との係わりは当然の事と受け止められていました。
そういえば、偽メール事件というオマケまでありましたね。あれで武部幹事長殿はメデタシメデタシとなりましたっけ。
海外の口座を使ったマネーロンダリングのことも話題となり、国際的な経済事件という様相も呈していました。

あれはみんな何だったのでしょうね。
綺麗さっぱり全ての疑惑はウサンムショウし、結局入り口の容疑だけが残ってしまったわけです。
原因として2つ考えられます。
一つは、捜査の見込み違いで、元々これだけの事件であり、意外に堀江被告が小物だったという可能性です。
もう一つは、事件の真相に迫れば迫るほど、権力の中枢にいる人物にぶつかってしまう。その結果自己規制したのか、あるいはその筋から圧力がかかったのか、検察側が一方的に幕引きをしてしまった可能性です。
私は後者の可能性が高いと見ています。
堀江被告の余裕も、この事件の真相が永久に暴かれることが無いという安心感なのでしょう。

そうして後に残ったのは、ライブドアの市場からの退場とグループの解体であり、それに伴う投資家達の損失です。
ライブドアや経営者に対して、損害賠償を求める動きもあります。
しかし損をした人がいる反面、得をした人が出るのが証券市場の宿命でもあります。
捜査情報を事前にキャッチし、高値で売り抜けた人もいるでしょう。捜査直前で空売りを掛けて大儲けした人もいる筈です。
1株700円で買って70円で売った人がいれば、同じ数(株数)だけ70円で買って700円で売った人がいる、これが株式の市場原理です。大きく見れば全体の利益と損失を合計するとゼロになる、いわゆるゼロサムの世界だということは認識しておいた方が良いでしょう。

堀江被告に対して有罪判決が出るかは微妙だと思います。
有罪になったとしても形式犯であり、堀江以外の被告は執行猶予が付くでしょう。
結局このライブドア事件というのは、検察が国策で捜査を開始し、国策で幕を閉じるという事件になりました。
検察の腰砕けには失望するばかりです。
ライブドア裁判は、総裁選と同様「芝居」で終わるのでしょうか。

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