鉄砲が生んだ政権
「プレスリーのところに行っている時にテポドンを撃たれたら格好が悪かった。おれはついている」。今年7月に行われた北朝鮮のミサイル発射実験についての小泉前首相の弁です。
国民が深刻な思いをしていた割には、指導者というものは意外に呑気なもんですね。
それはともかく政治家にとってやはり「運」は大事です。サラリーマンもそうですけど。
9・11テロ事件の発生が、ブッシュ大統領の再選を後押しました。恐らくブッシュは、ビン・ラディンに足を向けて寝られません。
同様に北朝鮮の拉致問題が無ければ、安倍政権は誕生しなかった。
先のミサイル発射で安倍支持率が一気にあがり、福田元官房長官は出馬を断念し、あれで総裁選の勝負がつきました。
安倍さんもやはり、「北」の金正日に足を向けて寝られないのでしょうか。
新政権が誕生して早くも、週刊誌などは来年の参院選で自民党が敗北し、安倍政権は短命に終わるという予想を出ています。
私は逆に来年の選挙は自民党が議席を伸ばし、安部首相は意外な長期政権になるのではと危惧(又はイヤな予感)していました。
恐らくその時期に合わせて、北朝鮮がミサイルを再発射するか、あるいは核実験を発表する可能性が高いと見ていたからです。別段根拠はありません、単なるカンです。
そうなれば自民党の圧勝間違いなしです。
そうしていたら3日に、北朝鮮外務省が「科学研究部門で今後、安全性を徹底して担保された核実験をすることになる」という声明を出しました。今のところ、実験の具体的な日時などについては一切言及していませんし、単なる脅しに過ぎない可能性も高い。
恐らく安倍首相の支持率が上がるのは確実でしょうし、何より今週末予定の日中・日韓首脳会談への絶妙なタイミングとなりました。
私のイヤな予感が、当たりつつあります。
一部のサイトでは、安倍晋三→統一教会→北朝鮮の関係から、北朝鮮が意図的にこうした動きをしているとの指摘がなされています。
確かに安倍晋三一族は、祖父、父と3代に亘って韓国統一教会とは深い関係にありますし、統一教会が北朝鮮へ多額の資金援助を行っているのは事実のようです。
しかしこの事で、「北」が安倍氏と裏で手を結んでいるとの推理は、いかにも穿ち過ぎです。
結果として北朝鮮の打つ手が全て、安倍首相にとって有利に働いていると考えるべきでしょう。
小泉前総理と同様に、「ついている」わけです。
現在北朝鮮に関する軍事情報は、殆どアメリカに依存しています。
一方米国が進めようとしている米軍再編に、我が国政府の協力は不可欠です。米国が自国の利益のために、「北朝鮮カード」を我が国に対し切ってくることは十分予測できるところです。
イラク戦争開戦の経緯から分かるように、もともと軍事情報というものは恣意的なものが多く、誤った情報に幻惑されぬよう私達も注意が必要です。
何せ、今日これだけ世界各国に沢山の核兵器が所有されていますが、実際に使用したのは米国だけですから。
「政権は鉄砲から生まれることを知らねばならぬ」とは毛沢東の有名な言葉ですが、中国とは逆の意味で安倍政権は、鉄砲が生んだ政権といえるでしょう。
「美しい国」の名の下、この政権の向かう先は、十分注視する必要があります。
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