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2006/10/17

昔若庵(若手研精会OB連落語会)

Kitahachi10月16日国立演芸場で「昔若庵」という名称の落語会がありました。顔ぶれを見て直ぐに前売りを買いましたが、それほど今回の出演者は若手から中堅に掛けた実力派揃い、落語協会の最強メンバーといっても言い過ぎではないでしょう。
互いに競い合うような熱演が続き、期待通りの充実した会となりました。

開口一番は春風亭一之輔「牛ほめ」
今日の出演者中、ただ一人の二ツ目です。このネタは典型的な前座噺ですが、一之輔の高座はさすが前座とは格の違いを見せて、堂々とした「牛ほめ」になっていました。
容貌も芸も端正(当今女性ファンが増えてきて落語家といえどもルックスの時代になった)で、これから人気が出るかも知れません。

柳家三三「突き落とし」
落語としてはやや後味が悪いせいか、高座に掛かる機会が少ないネタです。
三三は決して悪い出来でなかったのですが、不満が残りました。
落語には廓噺というジャンルがあり、名作古典も多いのですが、何せ肝心の「吉原」が無くなって久しく、現役の落語家でも経験者がいなくなってしまいました。
そのせいか、どうもこの廓噺に雰囲気が伝わってこない。花魁や遣り手、妓夫(若い衆)にリアリティが無くなっています。時代の流れなので、ある程度止むを得ないことではありますが。
それだけに、「おあがんなりょー」という送り声一つとっても、先輩たちの録音が残っているわけですから、大事に演じて欲しいところです。

入船亭扇辰「紋三郎稲荷」
久々に見たのですが、髪が白くなりました。
扇辰は師匠扇橋ゆずりの古典一筋で、品が良い正統派という点でも、大師匠である先代三木助のDNAをしっかり受け継いでいます。
珍しいネタで、意気込みを感じましたが、稲荷をかたる紋三郎をもう少しそれらしく見せたらどうでしょうか。例えば歌舞伎の忠信のように、時々キツネの手つきをさせるとか、より説得力が増すと思いますが。

柳亭市馬「夢の酒」
以前はやや地味な感じがあったのですが、最近の市馬は華やかさが出てきました。喬太郎や花緑と並んで、次の落語協会を背負って立つ芸人になりつつあります。
このネタも良い出来でした。ヤキモチを焼くおかみさんに色気がありました。
欲を言えば、大旦那にもう少し貫禄が欲しいところです。

仲入り後は、桂ひな太郎「文違い」
由あって一時期落語界を離れての再入門ですので、古いファンなら古今亭志ん上の方が、名前が通るでしょう。
文違い、良い出来でした。元々実力もキャリアも十分な人ですから、同じ廓噺をさせても三三と比べると、遥かにリアリティがあります。
5人の登場人物の演じ分けも申し分ない。
欠点をあげれば、この人の芸がキレイ過ぎることでしょう。

トリは柳家喜多八「鈴ヶ森」
トリの喜多八、本来は30分の持ち時間なのに、前の出演者の時間が押して10分しかないと言いながら、この得意ネタに入りました。
確かにトリとしてはやや軽目でしたから、当初は別のネタを用意していたのかも知れません。
このネタは何回聴いても可笑しい。喜多八のとぼけたキャラが、主人公のマヌケな泥棒と実に良く合っています。
いつも目の下にクマを作っていますが、本当に身体が悪いんじゃないんでしょうね。

今日の落語会、満員の観客も満足して帰られたでしょう。

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