同和団体の「恫喝」に屈してきた地方自治体
奈良市の職員による「不正休暇」問題は、本人の解雇にとどまらず逮捕される事態に及び、刑事事件に発展する可能性が出てきました。
この元職員中川昌史容疑者が長期の病気休暇を繰り返しながら建設会社を実質的に経営していた問題で、奈良県警は11月14日入札制度改革を延期させるよう市に圧力をかけたとして、職務強要の疑いで逮捕しました。
ようやく警察も重い腰を上げたようです。
奈良市は8月に談合を防止するために「郵便入札」の採用拡大を決めていました。これに対して中川容疑者は市の担当職員に、「対象を個人業者にまで広げるのは話が違う」と制度を変更しないよう要求。担当職員は、この男は大声を上げたり、机をひっくり返すなど威圧的な態度だったそうで、圧力と感じたと話しています。
これに対し奈良市は、中川容疑者が部落解放同盟奈良市支部協議会の副議長(当時)であることを考慮し、事を荒ら立てたくないという理由で入札制度変更を延期しています。
今回の経過を見ていくと、過去にいかに奈良市が部落解放同盟幹部の恫喝に屈してきたか、良く分かります。こうした事態は日常茶飯事だったのでしょう。
今回の不正休暇問題が明るみに出ていなければ、中川という男はこれからもこうした恫喝により市を屈服させて、私腹を肥やしていったものと思われます。
問題は奈良市だけではありません。
今年度に入って職員の逮捕者が8人にのぼっているお隣の京都市では、桝本市長は逮捕者のうち6人が環境局職員であることを踏まえ、「同和行政の柱として行った優先雇用での甘い採用が大きな要因の1つ」と指摘しました。いわゆる「同和優先採用枠」の存在です。
市長は、今後は制度も含めた「解体的な出直し」を図る意向を表明しました。
他の自治体の中にもこの枠に縛られて、不祥事で解雇した人間を再び採用している例が報告されていますので、見直しは当然です。
その隣の大阪市でも、同和団体関係者による相次ぐ犯罪や不祥事により、同和行政のあり方が論議されています。
最近発売された週刊誌の中で、関淳一大阪市長は、「これまでやっていた同和行政といわれるようなものは、もう存在し得ない。全て廃止する。」と発言したとされています。
この発言は、従来からのやり方は見直す決意と受け止めて良いでしょう。
では、なぜ今迄は関西を中心とした地方自治体で、こうした不正が永年続けられ、黙認されてきたのでしょうか。
この最大の原因は、地方議員、自治体の幹部と職員らが、部落解放同盟などによる差別「糾弾」を恐れて、彼等の言い分通りにしてきたことに拠ると思われます。
「糾弾」の目的は、本来は部落差別を撤廃させるための有効な手段とされていましたが、批判=差別という図式の下に、次第に一部は利権確保の手段に使われてきました。
「糾弾」をするぞと思わせるだけでも、相手を威圧できます。今回の奈良市の事件は、その典型でしょう。
過去「糾弾」が、監禁や脅迫といった暴力的な面を持っていたことは否定できません。かつて「糾弾」の正当性が争われた「矢田事件」の判決の中で、
「被告らの監禁行為は限度を超えており、処罰に値する」(1981年3月、2審の大阪高裁)
としています。
多くのマスコミもまたそうしたトラブルを恐れ、当たらずさわらずの姿勢で、この種の報道を自主規制してきたことも見逃せません。
現在ではそうした暴力的な行為は無いという意見もありますが、過去におけるそうした行為が、恫喝を効果的にしていることは間違いありません。
暴力団だっていつもいつもピストルをぶっ放すわけではありません。でも何時かはやるかも知れないと思わせることで、人々を恐れさせているのと同じ構図です。
「糾弾」に対してはこうした事を踏まえて、1989年8月法務省人権擁護局は、「確認・糾弾会は同和問題の啓発に適さないと言わざるをえない。」との通達を出しています。
先にあげた「矢田事件」民事裁判における大阪地裁の判決では、「糾弾」に対し明快な指摘を行っています。
「ついには一定の考え、思想が独善に落ち込み、反対の理論ないし思想の存在、更にはその考えや思想に同調する人々の存在をも許さないという結果に陥ることになる」。
最も反省すべきは、こうした恫喝に怯えて彼等の不正を長期にわたり放置してきた地方自治体です。彼等の利権のために、多額の税金がムダ使いされてきたのは、自治体の責任です。
今回の奈良市職員の不祥事を教訓に、全国の地方自治体がこうした恫喝に屈することなく、不正な利権を排除する立場に立つことを強く要望したいと思います。
私は従来から述べているように、部落差別を含むあらゆる差別に反対ですし、差別は撤廃すべきであると考えています。
しかし差別に反対する行動は常に法に則った措置と言論により行われるべきで、周囲の人々の支持と共感を得ることが大切です。
脅迫や恫喝は、かえって差別を助長すると思います。
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