又しても警察の不法な捜査、「選挙違反」無罪判決
2003年4月の鹿児島県議選を巡る選挙違反事件で、公職選挙法違反に問われた志布志市の元県議中山信一被告(61)ら12人の判決公判が、2月23日鹿児島地裁で開かれ、全員に無罪が言い渡されました。
当然の判決であり、それだけに県警の違法な捜査と、それをチェックできなかった検察の責任が問われることになります。
この選挙違反事件については、警察および検察の立証に元々無理がありました。
①住民20名の小さな集落で、191万円もの買収資金が渡されたとされていたのは不自然。
②「買収会合」事件として立証されたが、当初バラバラだった会合日時や買収金額が、いつの間にか完全に一致していたのは不自然。
③会合が4回としながら、当初検察側はいずれも日時を特定しないまま起訴していた。弁護側の追求で検察側は、昨年になってようやく2回の会合を特定したが、その2回とも中山元県議のアリバイが成立していた。
つまり会合そのものがデッチ上げだっとと言う事です。
この事件での警察の取調べは苛烈を極めていました。
ある被疑者は、「お父さんはそういう息子に育てた覚えはない」「早く正直なおじいちゃんになって」と書かれた用紙を、取調室で足下に並べられました。この男性の母親や孫のメッセージとされていました。
しかし実際には県警の警部補が書いたものでしたが、その警部補が男性の足首をつかみ、強引に紙を踏ませました、まるで江戸時代の踏み絵ですね。
この件では、この男性が起こした損害賠償の裁判で、警察の不法な取調べが認められ勝訴が確定しています。
取調べ時間は、一人平均で550時間を超えています。
映画「それでもボクはやってない」をご覧になった方はお分かりのように、あの過酷な取調べを550時間も続けられれば、大抵の人はおかしくなります。
被告の一人は、1年1ヶ月もの間勾留されていました。
現に被告に一人は、あまりの辛さに滝つぼに身を投げて、自殺を図っています。
長期の勾留で職を失った人、家族がバラバラになってしまった人もいます。
小さな村落の内部で、お互いが疑心暗鬼になり、地域のコミュニティーが失われました。
これは私の想像ですが、警察も検察も途中から、何かおかしいとは感じていたと思われます。
処が、警察や検察と言う組織は、いったんこうだと決めてしまうとブレーキが利かなくなってしまう。疑問に思っても後戻りできない仕組みになっています。
そうなると何が何でも、自白させ→起訴し→有罪判決を出させるという方向に突き進んでゆきます。
こうなると真実などはどうでも良く、あるのはメンツだけです。
人間誰しも間違いは避けられない。警察の捜査が誤ることはあるでしょう。
それをチェックするのが検察であり、最終的には裁判所の筈です。
処が、刑事事件に限ると、警察=検察≒裁判所という関係になり、そのチェック機能が殆ど働かない。
先日富山県の男性が強姦事件で実刑判決を受けて、約2年間服役して出所してから真犯人が現れ、冤罪であったことが判明しました。
もちろん警察や検察の捜査がズサンであったことは責められて当然です。
しかし一番いけないのは、有罪判決を出した裁判所ではなかろうか。ここの責任はもっと問われていい筈です。
今回の事件にしても、捜査を指揮した警察と検察の人物は、責任を取るべきです。
警察というのは、普段は私たちにとり非常に頼もしい存在に見えます。
しかしいったん無実の市民に標的が向けられると、これほど恐ろしい存在はありません。
刑事事件の捜査や裁判のあり方を、真剣に考えさせられる今回の無罪判決でした。
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このようなことが明るみに出て、関係者が反省し、段々世の中が良くなれば良いのですが、一過性だと困ります。
もう一つ、それぞれのケースで被告の弁護士は何をしていたのか疑問が残ります。被告の最後の砦も警察、検察側だったのではないかと疑われます。
投稿: Bannnockburn | 2007/02/24 12:05
Bannnockburn様
コメント有難うございます。
残念ながら警察や検察の体質が改まらない限り、こうした冤罪は無くなりません。
今回の選挙違反事件でも、署内には捜査に批判的だった人もいたようですが、皆担当を外されたとのことです。
指揮をした署長は、今年で退官とか。
結局誰も責任をとることもなく、誤りが検証されることも無しに終わるものと思われます。
投稿: home-9 | 2007/02/24 18:22