ロストロポービチさんの死を悼む
現代を代表するロシアのチェリストであり、偉大な指揮者でもあったムスティスラフ・ロストロポービチ氏が、4月27日モスクワの病院で死去しました。80歳でした。
昨年秋まで旺盛な音楽活動を行ってきましたが、今年に入って手術を受けるなど体調を崩し、心配されていました。
旧ソ連最後の巨匠といわれたロストロポービチ氏ですが、その活躍は音楽にとどまらず、ロシアの民主化を求める政治活動でも知られておりました。
旧ソ連時代には、芸術家への政治介入に反対したため、市民権を奪われていました。
また政府から迫害を受けていたノーベル賞作家ソルジェニーツィン氏を、永らく別荘で保護したことでも有名です。
1991年8月の旧ソ連クーデター未遂事件では、軍部隊に囲まれたロシア共和国庁舎に立て篭もり、軍部と対峙した闘士でもあります。
日本へも度々来日しており、特に阪神大震災の復興支援コンサートや、美智子皇后の70才誕生の祝賀コンサートでの演奏が知られています。
それでは、以前 amazon.com に投稿した、ロストロポービチ氏指揮、パリ管弦楽団演奏、R.コルサコフ作曲「シェヘラザード」のCDに対する批評を、以下にご紹介します。
多くのクラッシックファンは、自分の好きな曲を様々な演奏家、指揮者の異なったディスクを買い求めて聞き比べ、この中から自分の気に入ったディスクを見出していると思われます。
私も通常そうした方法で、my favorite を探索しているですが、中には他のディスクと比べるまでもなく、一聴思わず膝を打つ名演に出会うことがあります。
現代最高のチェリスト、ロストロポーヴィチがパリ管弦楽団を振った、このRコルサコフ”シェヘラザード”は、正しくそれです。
第一曲の冒頭から、ゆったりとした序奏部が聴く者を千夜一夜物語の世界に誘ってくれます。特に第2曲の演奏が実に見事です。各々の楽器のアドリブによるソロ演奏が次々と織り成され、極彩色の世界を紡ぎだして行きます。
第4曲まで全曲を通してルーベン・ヨルダノフのヴァイオリンソロが、甘く切ない音を響かせていますし、パリ管の音の明るさ、美しさが、この曲の魅力を十分に引き出しています。
少し大袈裟に言えば、何か生きている幸せをしみじみ味わせてくれる様な、そんな素晴らしい名盤です。
ご冥福をお祈り致します。
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こんばんは
クラシックに造詣のない小生ですが、ピアニストではフー・ツォンが好きです。
ショパンといえばルービン・シュタインや日本では中村紘子さんなどの名前がすぐに浮かび、それらの演奏を聞いていました。
でも、フー・ツォンの演奏を聞いたら、これがショパン?といい意味でイメージをつぶされました。
ダイナミックというか、小生のボキャブラリーでは表現できないのですが・・・。
小生が音楽に興味を持ち始めたのは加山雄三の「君といつまでも」でしたが、高校時代はジャズや映画音楽。そして、20歳ころはなぜか古い日本歌謡に心惹かれました。
田端義男、若山彰、三浦光一、名前を思い出せませんが「東京ラプソディー」や「東京の花売り娘」などを直立不動で歌った、あ、藤山一郎さんですかね?
そういった歌が好きでした。
でも、齢をとるとともに聞くのは歌のないジャズやクラシックが多くなってきました。
それでもペリー・コモやナット・キング・コールなども好きですが・・・
今夜はサティーでも聴くことにします。
投稿: dejavue | 2007/06/24 21:32
dejavue様
コメント有難うございます。又暫くお休みしていたため、ご返事が遅れ申し訳ありません。
私も音楽は雑食で、何でも聴きます。幼い頃一番先に耳に入ってきたのはジャズでした。「センチメンタルジャニー」「ボタンとリボン」「カモナマイハウス」などを、意味も分からず口ずさんでおりました。だから私にとっての懐メロは、ジャズヴォーカルのオールディズです。
歌謡曲も大好きでしたが、ド演歌全盛になってから嫌気がさしました。
クラシックはいいですね。ピアニストでは内田光子が好きです。
投稿: home-9 | 2007/06/30 08:36