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2007/04/22

「幇間(タイコモチ)」評論家・記者どもへ

Seibu4/21付“Ohmynews”で、新聞書評のデタラメさが取り上げられている。
本の著者が評者を指名することさえあるそうで、「今の日本の新聞や雑誌の新刊書評の8割は、なんらかの「コネ」で発注されているのが現状」とも指摘されている。
要は、お互い仲間内でほめ合っているというのが実状のようだ。

以前に養老孟司という人が書いた「バカの壁」が、文字通りバカ売れした時があった。家族や周囲の友人の中にも、読んだ人が多かった。
大新聞の書評に、「この小さな面白い本が提起する問題はかぎりなく大きく、人類の未来を左右する。」なんて書かれりゃ、誰でも手に取って見たくなろうというもの。
この本が、人類の未来を左右するわけないじゃん。
読後感は散々で、ある知人は「こういうのを買って読む人間が『バカの壁』」と言っていた。
こんな書評を書くなら、文芸評論家という看板を下ろして、広告のコピーライターに転職した方が良い。

こうした甘い批評は、何も書籍にとどまらず、世の中のあらゆる分野にその傾向が見られる。
私は好きでよく寄席に行くが、どうもパッとしないと思っていたのに、新聞の批評欄ではベタホメだったりして、この人本当に見に行ったのかなと疑いたくなることがある。
歌舞伎もそうだ。
欠点には全て目をつぶり、良いことだけを書くとああいう記事になるのかなと、感心させられることがある。

会場で何回かそういうセンセーらしき人物の姿を見たことがあるが、公演関係者らが入れ替わり立ち替わり挨拶に訪れてきて、あれじゃあ悪口は書けないやと思った。
何も欠点だけを採り上げろと言ってるんじゃない。才能を認めて伸ばしていくと言う姿勢も、もちろん必要だ。
しかし専門家である以上は、間違ったこと、未熟な点は指摘せねばなるまい。

スポーツの世界でも同じことが言える。
最近、大相撲の八百長騒ぎがあったが、背景に力士の規律のユルミが指摘されている。仕度部屋に関係者以外の人間が出入りしていたなんて、その騒動で初めて知った。
なぜ相撲評論家やスポーツ記者は、今までそうした事を見逃していたのか。
かつて讀賣新聞の相撲欄に記事を書いていた、彦山光三という名物評論家がいたが、全盛の横綱だろうと人気絶頂の力士だろうと優勝をかけた大一番だろうと、怪しいと思えば翌日には「無気力相撲」とハッキリと記事で指摘していた。
今そんな人物は、どこにもいない。

プロ野球球団の不正資金もそうだ。
予てから新人のスカウトに多額の裏金が存在しているなどという事は、関係者の間では常識になっていた筈だ。
どこでもやっている、皆が知っている、だから不正を不正と思わなかったのは球団関係者だけではなくて、マスコミのスポーツ記者もそうだったのだろう。

政治のスキャンダルや企業の不祥事もまた同じ。
例えば先日、石原都知事が記者から、海外出張での乱脈な経費の使い方を質問されたとき、「あんた方だって一緒だったじゃないか」と切りかえされて、一言もなかった。
同行取材してたんだから知っていたんだろ、というわけだ。
石原知事を擁護するつもりはコレッポチもないが、黙認してきたマスコミの責任は大きい。

ネットやブログで、市井の人々が声をあげることも大事でしょう。
しかし何より、圧倒的な影響力を持つ新聞やTVの記者や評論家らが、澄んだ目でモノを見て、間違ったことや不正な行為を厳しく監視し、報道することが肝要です。

厳しい批評家の眼が、良い芸人を作る。

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

評論家自体が金儲けに走ってるんでしょうか・・・
中曽根康弘が20年ほど前、ある政治家に金を配ったのを知っていますよ。
これはどういういきさつだかまで知りませんが、金額は100万です。
こんなのは中曽根に限らずもっといるでしょうね。

政治関係ではありませんが、テレビ業界になるともっと酷いですね。
物真似をすればど素人より下手な関根勤。
彼が芸能界で30年もの長きにわたって出続けているのは、彼の芸とはおそらく何の関係もなく、
ただひとえに所属するプロダクションの力のおかげでしょうね。
もちろん、プロダクションが彼を出演させるにあたりプロデューサーと昵懇になるのもしかりですが、芸能評論家などとの会食も当然してのことでしょうね。
彼の所得は億を超すとか・・・。
その彼の娘が海外留学から戻り、タレントデビューしてる。
何をかいわんやですね。

本題からそれたレスで申し訳ありません^^;

dejavue様
コメント有難うございます。
本題とそれるどころか、私が申し上げたかったことの本質的な問題です。
政治、産業、スポーツ、芸能など、いずれの分野においても業界内部の馴れ合いが進み、ジャーナリストや批評家までがその輪の中に加わっています。
お互いが甘い言葉をかけあい、まるで互助会です。
世間から批判の声が起きて初めて、今度は批判者側の顔をして正論をはきだす。
タイコモチたる由縁です。

home9さん
 「近ごろの民族蔑視の風潮ってナンなんだろう」(のコメントに続き連続投稿お許し願います。
 上記home9さんの記事http://home-9.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_3628.html)との関連でいえば、これは、「幇間評論家・記者」のみの問題ではなく「体制翼賛社会」の兆しではないでしょうか?

柴田晴廣さま
コメント有難うございます。
一つにはご指摘の体制翼賛会的に権力に迎合し、報道機関の本来の任務である権力へのチェックを怠る傾向が強まっていることがあります。
第二に、ジャーナリストたちが社会に不正に鈍感になっている。むしろ外部から指摘されたり、大きな問題となって社会の関心を集めるようになって、ようやく不正であることに気がつく。
これがタイコモチ・ジャーナリストの出現に繋がっているのではないでしょうか。

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