国立演芸場4月中席
国立演芸場の運営について、一つ要望したい。
現在国立は、上席と中席だけで下席がない。
今月でいえば上席は落語協会、中席は落語芸術協会所属の芸人が主に出演しているが、これからは下席の公演も行うようにして、立川流と圓楽の一門の芸人を出演させたらどうだろうか。他の定席では難しいだろうが、国立なら可能だろう。
これで国立演芸場も都内5番目の定席となるし、現在定席に出演できない談志、圓楽一門の芸人の励みになると思うのだが、どうだろうか。検討願いたい。
今月は珍しく、先週の国立演芸場の上席に続き、4月14日の中席へ。
以前は寄席の記事を書くとき、ネタを調べるのが一仕事(特に新作)だったが、最近は他のブログを見るとすぐに演目が分かるから便利ですね。
・桂夏丸「青い鳥」
前座だが、しっかりした高座だった。歌が入ると、曲が終わる度に客席から拍手を受けていた。
今日の客は(甘)いい客だ。
・桂花丸「アドバルーン」
こちらも新作だが、アタシが子供の頃聴いた覚えがある、古典的な新作。昔は商店の宣伝に、よくアドバルーンを上げていたが、最近はとんとお目にかかれない。新作も世相とずれてくると、やたら古臭く感じる。
・宮田陽・昇「漫才」
このコンビは、着実に力をつけてきている。これからが楽しみな二人だ。
・桂平治「源平盛衰記」
お目当ての三遊亭遊雀が休演だったのは残念。
代演の平治の源平は先週聴いたばかりだが、いつ聞いても面白いものは面白い。
・ケン正木「奇術」
この人は初見だが、珍しい「和妻」だ。
音楽にのせたテンポの良い芸で、彩りも華やか。いかにも寄席芸。
・仲トリは、桂歌春「鮑のし」。
陽気に「鮑のし」を。
ちょっと古今亭圓菊を思わせる芸風で、噺もしっかりとしていて楽しめた。
仲入り後
・桂歌蔵「片棒」
このネタの聴かせ所は、祭り(父親の葬儀)の囃子の口真似。ここが下手だと、噺がしまらない。
・柳家蝠丸「宮戸川」
何の変哲も無い「宮戸川」。それと理屈に合わない表現が2ヶ所あり、気になった。
①半七がお花に家に帰れと言っていたが、お花は自宅を締め出されているのだから、有り得ない。
②二人が2階に上がってしばらくして、「夜も次第に更けて・・・」と言っていたが、元々この二人が叔父さんの家に来たのが深夜なので、これもおかしい。
・ボンボンブラザーズ「曲芸」
大好きな芸人。
鼻の上に紙テープを立てての曲芸は、今やこの人たちだけの芸となった。
・トリは、桂歌丸「心のともしび」。
原作は宇野信夫で、かつて新国劇で上演された由。
風邪とのことで、やや声がかすれ気味ではあったが、しっとりと聴かせてくれた。
歌丸の語り口が、人情噺や怪談噺向きなのだろう。
落語芸術協会は、色物はなかなか充実しているが、噺家の中堅どころの層が薄く、毎度のことながら、今一つ満足感に欠ける。
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私は別の日に行きました。
「アドバルーン」は、おそらく柳家金語楼(作者としては有崎勉)のものでしょう。
最近では桂文珍が「風来坊」という名で演じています。
投稿: ジャマ | 2007/04/17 12:33
ジャマ様
コメント有難うございます。
寄席は毎日のようにネタが変わりますし、日によって芸人の出来不出来がありますから、評価も変ってきます。そこが又面白いところなのでしょう。
やあ、遊雀の「四段目」、聴きたかったなあ。
「アドバルーン」は、柳家金語楼の作のようですね。
文珍ならどう演じるのでしょうね、一度聴いてみたいですね。
投稿: home-9 | 2007/04/17 23:01