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2007/05/03

春風亭小朝の会@横浜にぎわい座

Koasa5月上旬の横浜にぎわい座は、開場5周年記興行念ということでズラリ人気者を並べ、前売り完売が続く文字通りのにぎわいとなっている。
5月2日は「春風亭小朝の会」、小朝の独演会をこの広さの会場で聴けるのは珍しく、補助イスの出る満席だった。

当方は以前、小朝の独演会で漫談を2席聴かされてガッカリしてから、しばらくこの人の独演会には遠ざかっていたので、久しぶりである。

前座は春風亭ぽっぽ「平林」
学園祭だったら大受け間違いなし。女流の噺家は妙に上手いと、かえって痛々しい。

春風亭小朝「たがや」
小朝の売り物の一つは、現在の風俗を題材にしたマクラだろう。ここで大爆笑させて本題に入るというパターンだ。
しかしここが、最近微妙にずれて来ている。時代の空気を捉える能力というのは、人間誰しも歳と共に落ちてくるが、小朝のマクラにもその影響が見られる。
志の輔や志らくに見られる、世相観察への鋭さがない。
本題の「たがや」、江戸時代の両国花火時分の情景描写はさすがである。小朝自身の時代劇出演の経験を織り込んだ立ち回りシーンも良かった。
だがもう一つ胸に迫るものがない。
恐らくは、侍から打ち首にされようとしている「たがや」のが、助命を願う場面での必死さが足りないせいだろう。ここに観客が感情移入できないと、この作品は物足りなくなってくる。

仲入り後、
五明樓玉の輔「マキシムド呑兵衛」
玉の輔は、二ツ目のあさ市の頃から期待していた若手であったが、その後すっかり伸び悩んでいる。マクラも古臭いし、芸の修行を怠っているとしか思えない。
この辺りで奮起しないと、パッとしない中堅落語家で終わってしまう。
この「マキシムド呑兵衛」、よく高座にかかるのだが、私にはこのネタの面白さが理解できない。

春風亭小朝「浜野矩随」
義弟の林家正蔵の脱税事件のエクスキューズをマクラにして本題へ。
近ごろ、芸能界でも二世をサラブレッドと呼ぶ習慣があるが、小朝が「親が駄馬で、子が駄馬、こういうのはサラブレッドとは言わない」と語っていたが、同感である。こういうのは「バカ息子」と呼ぶのが正解。
さて肝心の「浜野矩随」、小朝という落語家は器用で、何をやらしても上手い。これほどあらゆるジャンルの演目を上手にこなせる噺家というのは、過去にも類例がないのではなかろうか。
しかし心を打たない。寄席を出てしまうと、残らないのだ。
このネタは三遊亭圓楽がオハコにしていたが、圓楽の高座は心に沁みるような思いがした。
小朝には、それが足りない。ここが惜しい。

志ん朝が世を去り、圓楽が引退し、談志が衰えた今、落語会の第一人者は小朝だと言って良い。
しかし小朝の代表作はナンだろうと訊かれると、多くの落語ファンは答に窮するだろう。
小朝が落語界全体を盛り立てるための努力をしていることは評価するが、そろそろ自身の型を築いても良い頃ではなかろうか。

小朝にはいつも厳しい評価をしているが、それは期待の大きさの反映である。

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コメント

お久しぶりに書き込みます。
小朝は大好きですが、最近独演会を聴いてません。
そうですか、まくらが・・・。
枕部分にとても切れ味があったのですがね。
くまさんことくまボンでした。ではでは(^.^)/~~~

投稿: くまさん | 2007/05/03 17:38

くまさん様
コメント有難うございます。
小朝の立場は、もうマクラで勝負する立場ではありません。本題で客を感動させて欲しいし、又それが出来る力を持った噺家です。
鈴本演芸場のトリでやった、「芝浜」なんぞ結構でしたよ。

投稿: home-9 | 2007/05/04 11:50

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